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朝鮮半島

2016.11.01

(短評)朴槿恵韓国大統領の窮状

 朴槿恵大統領が私人に秘密文書を渡していたことが発覚し、韓国内で猛烈な批判が起こっている。同大統領の支持率は危険な水準まで落ちているそうだが、いくつか考えておきたいことがある。
 第1に、大統領に退陣を要求するデモはまことに激しい。帰国した同大統領の「友人の女性」、チェ・スンシル氏はデモ隊と取材記者の洪水で押しつぶされそうになり、脱げた靴を履きなおす余裕もないくらいだ。しかし、これまで判明していることと比べ、この批判の波は大きすぎはしないか。
 「ミル」という財団の設立に際して大統領府が不正に便宜を図ったのではないかという疑惑はたしかに浮かんでいる。問題があったことを裏付けるいくつかの関連事実も挙げられている。
 しかし、朴槿恵大統領がチェ・スンシルに「操られている」ということについては、父親同士からの関係で、かつ、新興宗教の影響があったことなど様々なことが言われているが、疑問だ。私は韓国政治に全く縁がなく、朴槿恵大統領の肩を持つわけではないが、同大統領は強い人だと思う。孤独であったことも自叙伝からうかがわれるが、そんな時、枕元に置いてある中国の古典を見ていたそうだ。四書五経のような有名な本ではない。普通の人は知らない古典だ。そのような人が、親しい友人であり、父親が宗教家であるとはいえ、チェ・スンシル氏の「操り人形」になるか。中国の古典の例は否定するほどの根拠でないが、簡単に「操り人形」説を信じるわけにいかない。
 第2に、朴槿恵大統領は秘密文書を渡したことを認め、謝罪した。また、チェ・スンシルも大きな罪を犯したことを自認した。どちらも謝罪するのが非常に早かった。それで批判を抑えられると思ったのか。実際にはそのような効果はあげられなかったようだが、早々と謝罪したことは一種の政治的ジェスチャーのような気もする。
 さらに、朴槿恵大統領はチェ・スンシルに近い側近の秘書官3名を更迭した。チェ・スンシルが送り込んだとも言われている秘書官で、評判は悪かったそうだ。
 ともかく、朴槿恵大統領の動きは速い。これは韓国に特有のことか。前任の李明博大統領は、野田首相が慰安婦問題についてなかなか動かないので激怒した。
 第3に、外交面でチェ・スンシルの影響は認められるか。今のところは、そのようなことはなさそうだ。外交と言えば、朴槿恵政権の初期においては日本に対する厳しい姿勢が目立った。しかし、今から約1年前から韓国の外交姿勢は日本に友好的・協力的になった。急展開したと言っても過言でないだろう。初期も後期も朴槿恵大統領自身の考えであったと思う。少なくとも、チェ・スンシルが一定の影響力を行使したという形跡は皆無であろう。

 以上3つの疑問は、部分的には断定して書いたが、基本的にはさらに検証すべきことだ。前任の李明博大統領、さらにその前の廬武鉉大統領とは逆に、朴槿恵大統領は任期の後半において親日的な姿勢を見せている。だんだんよくなってきたのだ。知人との関係で確かに過ちを犯したが、日韓関係に悪影響が及ばないことを願いたい。
 

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