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中国

2015.10.09

(短文)米艦は中国が埋め立てた南沙諸島から12カイリ以内に立ち入るか

 10月8日付英国紙Financial Timesは、米高官の内話として、米艦船が2週間以内に、中国が埋め立てた南沙諸島から12カイリ以内に立ち入る予定であると報じた。
A senior US official told the Financial Times that the ships would sail inside the 12-nautical mile zones that China claims as territory around some of the islands it has constructed in the Spratly chain. The official, who did not want to be named, said the manoeuvres were expected to start in the next two weeks.
(注 南沙諸島で埋め立てから滑走路建設にまで進んでいるのは、ファイアリークロス(永暑)礁、スービ(渚碧)礁およびミスチーフ(中国名・美済)礁の3岩礁である。)
 
 先般の米中首脳会談後の記者会見で、オバマ大統領が「争いのある海域で埋め立てや軍事拠点化を進めることに深刻な懸念を習近平主席に伝えた」と説明したのに対し、習近平主席は、「南シナ海は昔から中国の固有の領土であり、中国の主権だ」と、挑戦的とも聞こえる発言をしていた。オバマ大統領は強く刺激され、不快視した可能性がある(東洋経済オンライン10月3日「中国が南シナ海で強硬姿勢を貫く根本原因 どうせ米国は何もしないと高をくくっている」を参照されたい)。
 同紙によれば、中国が主張する領海、つまり、これら人工島から12カイリ以内への米艦による立ち入りは、カーター国防長官が求めてもホワイトハウスがなかなか首を縦に振らなかったが、習近平主席の訪米後ゴーサインを出したそうだ。
 米国はかねてから中国による埋め立てや滑走路建設を認めないと公言しており、その考えを単純に適用すれば、米艦が12カイリ以内に立ち入ることもありうるが、米国は実際にそうすることは自制していた。争いのエスカレーションはできるだけ避けたいからであり、米艦が本当に人工島から12カイリ以内に立ち入るか断定するのは早すぎるかもしれない。
 おりしも米国務次官補のAntony Blinkenが8日から訪中し、国務委員の楊潔篪および解放軍総參謀長の房峰輝と会談しており、米国の非常に強い考えを説明し、中国側が何らかの対応措置を取るよう迫った可能性がある。
 ともかく、国際法と周辺諸国の反対を無視し、米国の強い警告にもかかわらず挑戦的とも取れる強い姿勢で振る舞う中国に米国は強く刺激されていたことは間違いない。
 TPPの交渉が妥結した際、オバマ大統領が行なった「中国のような国に世界経済のルールを書かせることはできない。我々がルールを書き、米国製品の新たな市場を開くべきだ」との、通常の国家間では考えられないほど強い声明と言い、米国は中国に対してこれまで以上に強い態度で臨もうとしているようだ。

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