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2015.05.04

中国がミドル・インカム・トラップに陥る危険?

 4月24日、中国の楼継偉財政部長は、清華大学での講演で現下の中国経済、とくに労働力関係の主要問題を語った。29日に360図書館(中国の民間情報サイト)がその速記録と以下の概要を流している。細かい問題の内容はこれでは分からないが、大きく見るには参考になる。とくに第1の点は中国内で広く注目され、しきりに再報道、転送された。

1. 中国がミドル・インカム・トラップ(中所得国の罠。中所得には比較的早くなれるが、先進国になるのは困難である)に陥る危険は50%強である。カギとなる課題は、6.5-7%の成長を実現し、「全面的小康状態」を実現し、人口老齢化が加速するまでに、つまり5-7年の間に「全方位改革」を進め、市場機能のひずみを解消することである。具体的には以下のことが必要である。

2. 農業改革。食糧に対する「全方位」補助を減少し、農産品の輸入を奨励する。中国が食糧の輸入に頼ると、外国は食糧供給を断つかもしれないなどと考えるべきでない。輸入増加により、農村の労働力を移転し、労働力が不足している製造業とサービス業に回すことができる。また、賃金の上昇を生産性の上昇より低く抑えられる。

3. 戸籍制度の改革。戸籍移転の障害を除去する。各地において、住居の賃借を可能にする。住宅税は徴収する。借料と売却価格の調整が必要。教育、医療も与える。農村から移動してきた人たちが安心して都会に住めるようにする。中国西部では省都で、東部では都市地域でそのような改革が必要である。産業地域を形成させ、サービス業を発展させる。

4. 労使関係。欧米のように、一定の地域、業種ごとの労働組合を許し、雇用主と実力交渉させてはならない。個別の企業と労働者に決定させる。労使関係の柔軟性を増大させる。

5. 土地改革。農村建設用地に一定の金を出してやれば、都市の土地と同様に流動性が出てくる。しかし、農民に土地提供の条件を自由に交渉させなければならない。先に土地を取り上げ、その後で売却価格、再就職条件、社会保険条件を交渉してはならない。

6. 社会保障。97年以前に保険料の不払いから生じた欠損を国の予算で補てん・解決する(中国では1997年以降、年金、労災などに関し社会保障制度が相ついで制定された)。保険料を下げ、真の「多交多得(多くの人が保険料を支払い、多くの保険金をもらう)」システムにしなければならない。これに関連するいくつかの料率も下げ、公平にする。各地でうまく運営して初めて国家は全体を動かすことができる。社会保険は一種の保険であり、貯蓄ではない。個人はこのことを聞かされていない。彼らは、いつまで生きれば、いくらもらえるという頭だ。
7. その他。起業の奨励。就職の柔軟性。人口計画の改正など。

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