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中国

2015.02.18

中国の「海上シルクロード」 続き1

 中国はギリシャへ観光や不動産業などの分野でも進出しているが、COSCO(中国遠洋運輸集団)によるピラエウス(Piraeus)港への投資は突出して大きなプロジェクトである。その背景にはギリシャの財政困難があり、中国マネーはギリシャにとって魅力的である。COSCOは同港の貨物ターミナル部についてはすでに35%の株を保有しているが、さらにギリシャ政府が保有するピラエウス港の67%の株式を購入したいと手を挙げており、他にも希望者がいるが最終選考リストに残っているそうである。
 中国側では、COSCOによるピラエウス港の増改築はギリシャと地中海地域にとっても、また、中国が力を入れている「海上シルクロード」のためにも重要な意義があり、このプロジェクトは双方にとってウィンウィンになると官民を挙げて強調している。
 中国は「海上のシルクロード」建設の戦略目標の下に、近年ギリシャとの関係増進に力を入れており、昨年6月の李克強首相のギリシャ訪問に際しては、20以上の協力協定・契約に署名した。また、中国の投資銀行はギリシャの海運業を支援するため50億ドルの特別基金を設置した。
 なおギリシャ支援の関連で、中国はIMFへの拠出を増加させたいが、その前にIMFの改革が必要だとか、欧米の格付け会社がギリシャの評価を一段と下げたのは無責任だ、中国は独自の格付け会社Dagong(大公)を立ち上げ公平に格付けしているとか吹聴しているそうである(ロイターやウォールストリート・ジャーナル紙など)。

 しかし、1月25日に行なわれたギリシャの選挙で反緊縮を掲げる野党・急進左派連合(SYRIZA)が勝利し、3200ユーロの債務削減のためIMFとEUの強い圧力の下で始められていた民営化計画を白紙に戻すと発表したので、中国との関係もにわかに暗雲が立ち込めてきた。中国の新聞は一斉にギリシャの新政府を非難し、李克強首相はチプラス首相に電話をして中国は投資を増加する、つまりギリシャへ供与する資金を多くすることも検討するという姿勢を示すなどして牽制した。
 これに対しチプラス首相はCOSCOの利益を尊重すると説明したと報道されているが、電話内容について公式の発表は行われておらず実態は不明である。EUとの債務救済・財政再建についての再交渉で結論が出るまで、ギリシャとしては確定的なことを言えないだろう。チプラス首相はEUとの合意期限を6カ月延長することを要請する方針であると伝えられている。中国との関係もいましばらく不透明な状態が継続するであろう。

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