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2020.10.30

中国共産党5中全会

 10月26日から開かれていた中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)が29日閉幕した。2021~25年に適用される新たな中期経済計画「第14次5カ年計画」の内容が固められた。正式の採択は来年春の全国人民代表大会(全人代、国会に相当する)で行われるのであろう。

 タイミング的には、第13次5カ年計画は今年で終了するので新しい計画を策定する時期になっており、その意味では第14次計画の確定は予定通りであった。しかし新計画には重要な背景があった。中国は過去1年間、コロナ禍と戦い、世界で最も効果的に感染拡大を抑制した国の一つであり、ダメージを受けた経済も予想以上に回復しつつあることと、米国との対立は今後も長期にわたって続くと見通されることである。

 習近平政権は成立して以来、7%前後の成長を持続していく「新常態」(new normal)を目指す方針を表明していた。しかし、その後の経済成長は下降傾向になり、「新常態」に代わる新しい目標設定が必要になっていた。

 今次会議で固められた新計画では、「今世紀半ばまでに、1人当たりのGDP(国内総生産)を中堅先進国の水準に引き上げること」、「核心的な技術分野で躍進し、先端のイノベーション型国家の仲間入りをすること」、「中間所得層の大幅拡大」、「文化強国、教育強国、人材強国などを目ざし、文化や価値観などで世界をひきつけるソフトパワーを強化すること」などが目標として掲げられた。

 中国では去る5月頃から、「双循環」を習近平政権の新しい発展モデルとする議論が生まれていた。「双循環」とは「国内循環」と「国際循環」の2つの循環を指す。その主旨は、米国への依存を減らすことを目標とするが、完全に米国から離れることはできないので、14億人という超巨大な市場を活用し、自己完結性を高めることであった。しかし、政府は具体的な説明を現在までできていなかっただけに、この問題がどのように扱われるか注目されていたが、今次会議のコミュニケはこの問題には深入りしなかった。米国との関係にはまだ不確定要因があるのだろう。

 一方人事については、習近平総書記の後継者(候補)がまだ決まっていないという異例の状況が続いているので、今次会議で何らかの進展があるか注目されていたが、何も出てこなかった。後継者問題は先送りになったとみられる。

 そんなことから、習氏は任期が満了する2022年以降も総書記を退かず、また、それどころか、かつて毛沢東らが務めた「党主席」となる可能性があると取りざたされている。だが、そのような状況になっていくと現体制はどうなるか。現在でも、習近平氏に対する批判は水面下でかなりの勢力となっており、習近平氏の地位が高くなりすぎると、共産党内でのバランスが崩れる恐れがある。そんな中でカギとなるのは経済成長であるが、かつてのような高度成長を継続することは困難になる一方、米国との関係は厳しさを増している。米国との関係を切り離す「デカプリング」が進めば、中国経済の持続的成長は望めなくなるという見方が大勢である。「双循環」はまだ研究者による議論の段階にあり、現実的な選択肢になるのはかなり先のことだと考えられる。

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