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2016.01.25

台湾の総統選と中国

 台湾の総統と立法院の選挙において民進党が圧勝した結果、中国の台湾政策は変化するか。中国はこれまで民進党を警戒し、国民党を支持してきたが、今後も国民党の復権を期待して支持を続けるのか。そうすると中国の台湾に対する影響力が弱まるのではないか。これらの問題を含め中国としてはこの際台湾に対する政策の見直しを進めているのではないかと思われる。

 総統選から3日後の1月19日、中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁)の龔清概副主任が規律検査を受けたことが発表された。規律検査は、習近平主席が持つ2本の鞭の1本である。
 龔清概は習近平が福建省の省長であった2000年から2002年、同省内の晉江市長を務め、習近平に知られるようになり、2013年、国台弁の副主任に抜擢された。習近平に近い人物と見られていた。
 台湾の総統選の直後の発表だったので、同人が台湾情勢を読み誤った責めを問われたのかと思われたが、香港の『明報』紙は、昨年10月の「中央巡視組」が国台弁を調査した時に同人はすでに調査の対象であったという噂が漏れ出ていたと報道している。本当のことは分からない。
 龔清概台湾語を話し、台湾の商人と関係が深かった。2014年にはお忍びで台湾を訪問した。
 晉江市は民営企業が活発であり、政府との関係が密であると言われている。 

 中国に胡舒立という有名なジャーナリストがいる。「財新網」などの主筆であるが、王岐山とならんで習近平の側近の一人であり、汚職追及の報道などで「中国で最も危険な女性」と呼ばれている。米国での活動歴もある。

 次は、「財新網」1月18日に掲載された胡舒立の論文の要約だ。
「今回の選挙は両岸関係を最終的に解決する始まりだ。台湾政策の目標を具体的に明確にする必要がある。
 台湾内部では問題が山積しており、矛盾は大きい。 
 民進党の両岸関係についての態度は以前より慎重になっている。今回の総統選でも国民党の両岸政策の攻撃に重点を置かなかった。
 今回の総統選の結果は中国の指導者にとって読みのうちで、対策があるはずだ。
 中国は台湾の新総統と両岸の往来の政治的基礎を再確認すべきだ。調整期間中、両岸の接触と協力は減少するかもしれない。守るところも攻めていくところもあってよい。
 台湾の青年の心情と主張は今後の台湾の行く方向に関係してくる。」

 この論文で一番注目されるのは、国民党との関係について完全に沈黙していることである。その代わりというわけでもないが、台湾の青年の考えを重視すべきだと示唆している。

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