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2021.01.18

慰安婦問題の解決は国際司法裁判所で

 韓国のソウル中央地裁は1月8日、元従軍慰安婦の女性12人が日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、請求通り1人当たり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。

 日本政府は、国際法上、国家は外国の裁判権に服さない(「主権免除」の原則)ことを理由に訴訟への関与を拒否してきた。が、ソウル地裁は、慰安婦の動員や管理は「反人道的な犯罪行為」で、主権免除を適用すべきでないとの原告側主張を受け入れたのである。

 その後、日本政府は国際司法裁判所(ICJ)への提訴を検討し始めたと伝えられている。ICJでの解決が実現すればもちろん、実現する以前においてもよい方策である。

 2012年、李明博韓国大統領が竹島へ上陸した際、野田首相よりICJでの解決を提案したことがあった。しかし、韓国は同意しなかった。ICJについては、事前に「義務的管轄権」を受諾していれば、いちいち同意しなくてもICJへ行くことになるが、韓国はそれを受け入れていなかったのであり、現在も同じ状況である。

 慰安婦問題についてはこれまでICJでの解決を提案していなかったが、今回韓国の裁判所が日本政府に賠償を命じる判決を下したので、韓国側から法的な解決を主張し始めたのであり、ICJでの解決を求めるのがふさわしい状況になった。

 韓国政府は、しかし、竹島の例などにかんがみても慰安婦問題についてもICJでの解決に応じないかもしれないが、日本政府としてはICJでの解決を主張し続けることにより、公平な姿勢であることを示すことができる。

 また、韓国側でもICJでの解決が望ましいとする意見が出てきている。韓国国民大学の李元徳教授は「平和的に解決するには、両国の合意のもと国際司法裁判所(ICJ)で判断するしかないだろう」との意見である(朝日新聞1月9日付)。日本政府としてはICJでの解決がよいとする韓国の論者にも働きかけ、韓国政府と共に提訴するのが望ましい。

 日本では強い姿勢で韓国に臨むべきだとか、相星孝一・新駐韓大使の赴任を遅らせるべきだとか、次期駐日大使として来日予定の姜昌一氏の受け入れを拒否すべきだとかの主張があるようだが、いずれも問題の解決には役立たない。相星大使は現地へ行き、今後の対応策を至急検討すべきである。

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