2023 - 平和外交研究所 - Page 14
2023.02.06
気球が米側によって探知されてから、中国側が米側から説明を求められたことに疑う余地はない。単に説明を求められたというより、もっと強い姿勢を見せられた可能性が大きいが、具体的なことはわからない。ブリンケン国務長官は3日の会見で、「中国の監視用気球だと確信している」と述べ、「明らかな米国の主権の侵害で、国際法違反だ」と批判した。
中国側は「気象分析などの科学研究に使われる民間のもので、西風の影響でコントロールを失い、予定のコースから大きく外れた」と主張し、「不可抗力によって生じた予想外の状況だ」とした。また、「中国政府は、米国側に冷静かつ専門的、抑制的な方法で適切に対応するよう求めてきた」とした(5日の中国外務省声明)。
中国側の説明はこれですべてであっただろうか。もし中国側が丁寧な説明をしなかったのであるならば、米側は到底納得しないだろうし、撃墜もやむを得なかったということになる。
中国側から米側に説明すべきことはいくつかあったはずである。
・飛行計画の詳細。
・なぜこの気球は中国側の手でコースを変えられなかったのか。
・民間とはどのような企業(?)で、科学研究の内容はどのようなものであったか。
・中国政府とその企業との関係いかん。
明らかにすべきことはもっとあるかもしれない。ともかく、米国の領空を侵犯した中国の気球は深刻な状況に陥っており、それが撃墜されるのを回避するには米側を納得させる説明が必要であった。
しかし、中国側が、「気象分析などの科学研究に使われる民間のもので、西風の影響でコントロールを失い、予定のコースから大きく外れた」、「不可抗力によって生じた予想外の状況だ」、「中国政府は、米国側に冷静かつ専門的、抑制的な方法で適切に対応するよう求めてきた」以上の説明をしなかったのであれば、米側を納得させることはできない。撃墜されても文句を言えない。
米側についても疑問がある。トランプ前政権時代に少なくとも3回、バイデン政権の発足直後も1回、中国の監視用の気球が米本土上空を短期間通過したことがあると説明されている。その際、米側は中国側に対してどのような態度で臨んだのか。今回は米国上空の滞在時間が長かった点で、従来と異なるというが、今回、前4回と異なる対応をしたことは理解されるか。
もちろん、そこまでは米側も発表してくれないだろう。安全保障のためすべてをさらけ出すことはできないのはわれわれとしても理解しなければならない。
中国外務省は2月5日朝、「強烈な不満と抗議」を示す声明を発表し、「明らかな過剰反応であり、国際慣例の重大な違反」などと反発した。
米側がどのように対応したか不明である。上述した問題点についてかりに中国側が詳細な説明を行っても米側が理不尽な行動をとったならば、中国が問題視するのも分かる。国連や国際的裁判などで米国を訴えるのもよいだろう。
しかし、問題を起こした側が木で鼻をくくったような説明で済まそうとしても、理解は得られない。
中国気球の米上空飛行問題
中国の気球が1月末にアリューシャン列島付近で米国に探知された後、カナダ領空に抜け、31日に再び米領空に入り(アイダホ州で)、その後東へ飛行を続け、4日、サウスカロライナ州沖の米領海上空で撃墜された。この間約1週間、米国と中国の間で何があったか。発表されていることは一部にすぎないが、中国も米国もその言動には不可解な点がある。気球が米側によって探知されてから、中国側が米側から説明を求められたことに疑う余地はない。単に説明を求められたというより、もっと強い姿勢を見せられた可能性が大きいが、具体的なことはわからない。ブリンケン国務長官は3日の会見で、「中国の監視用気球だと確信している」と述べ、「明らかな米国の主権の侵害で、国際法違反だ」と批判した。
中国側は「気象分析などの科学研究に使われる民間のもので、西風の影響でコントロールを失い、予定のコースから大きく外れた」と主張し、「不可抗力によって生じた予想外の状況だ」とした。また、「中国政府は、米国側に冷静かつ専門的、抑制的な方法で適切に対応するよう求めてきた」とした(5日の中国外務省声明)。
中国側の説明はこれですべてであっただろうか。もし中国側が丁寧な説明をしなかったのであるならば、米側は到底納得しないだろうし、撃墜もやむを得なかったということになる。
中国側から米側に説明すべきことはいくつかあったはずである。
・飛行計画の詳細。
・なぜこの気球は中国側の手でコースを変えられなかったのか。
・民間とはどのような企業(?)で、科学研究の内容はどのようなものであったか。
・中国政府とその企業との関係いかん。
明らかにすべきことはもっとあるかもしれない。ともかく、米国の領空を侵犯した中国の気球は深刻な状況に陥っており、それが撃墜されるのを回避するには米側を納得させる説明が必要であった。
しかし、中国側が、「気象分析などの科学研究に使われる民間のもので、西風の影響でコントロールを失い、予定のコースから大きく外れた」、「不可抗力によって生じた予想外の状況だ」、「中国政府は、米国側に冷静かつ専門的、抑制的な方法で適切に対応するよう求めてきた」以上の説明をしなかったのであれば、米側を納得させることはできない。撃墜されても文句を言えない。
米側についても疑問がある。トランプ前政権時代に少なくとも3回、バイデン政権の発足直後も1回、中国の監視用の気球が米本土上空を短期間通過したことがあると説明されている。その際、米側は中国側に対してどのような態度で臨んだのか。今回は米国上空の滞在時間が長かった点で、従来と異なるというが、今回、前4回と異なる対応をしたことは理解されるか。
もちろん、そこまでは米側も発表してくれないだろう。安全保障のためすべてをさらけ出すことはできないのはわれわれとしても理解しなければならない。
中国外務省は2月5日朝、「強烈な不満と抗議」を示す声明を発表し、「明らかな過剰反応であり、国際慣例の重大な違反」などと反発した。
米側がどのように対応したか不明である。上述した問題点についてかりに中国側が詳細な説明を行っても米側が理不尽な行動をとったならば、中国が問題視するのも分かる。国連や国際的裁判などで米国を訴えるのもよいだろう。
しかし、問題を起こした側が木で鼻をくくったような説明で済まそうとしても、理解は得られない。
2023.02.04
軍政府は2年前のクーデタの際にも総選挙は2023年8月まで延期することを示唆していたので、今回の発表は必ずしも約束違反ではないが、国軍の弾圧は甚大な被害を生んでおり、2年間に2940人の市民が犠牲になったという(人権団体による)。内外のメディアも厳しく弾圧され、日本人では映像ジャーナリストの久保田徹氏が2022年7月から4か月間拘束された。
各国は軍政府による非常事態宣言の延長を批判し、米政府は1月31日、国軍と関係のある6個人と3団体に制裁を科すと発表し、英国、カナダ、オーストラリアなども制裁を強化した。
日本とミャンマーの関係は深い。日本から進出している企業はクーデタ前430社以上に上っていた。日本はミャンマーに対する最大の援助供与国である。日本としては、ミャンマーが国際的に孤立すれば、中国への接近を招くとの懸念もある。日本は独自の制裁には慎重な姿勢で臨んだ。だが、クーデタ後もミャンマー政府への経済支援を行えば、軍事政権を認めることになるのでODAの新規案件は進めないことにしたが、既存の援助案件は完了までに数年かかるものが多く、クーデタ後も軍政権(国軍系企業MECなど)に日本からの資金が流れた。そのためヒューマンライツウオッチ(HRW)など国際的に活動している団体からは厳しい目を向けられた。ミャンマーに関する国連特別報告者のトーマス・アンドリュース氏は今回の非常事態延長に伴い、日本に対し、国軍関係者らに対する経済制裁網への参加を提言。ODAなどの経済支援の見直しや、防衛省が国軍から受け入れている留学生の送還などを促した。
非常事態の延長は日本の立場をいっそう困難にするだろう。これまで日本が欧米諸国とは異なり、対話を通して国軍に暴力行為をやめるよう働きかけてきたのは、説得によってミャンマーの民主化の実現を扶けるのが最善だという考えだったからである。しかし、今回の非常事態延長はそのような外交重視方針に冷水を浴びせかけた。
非常事態を終わらせる総選挙が半年延期されたことは、冒頭で述べたように全くの驚きではないにしても、軍事政権が政権を明け渡す可能性が遠のき、下手をすると軍事政権が半年どころでなく長期にわたって続くことになる危険が増大したからである。
今後の展開を左右する一つのカギは民主派勢力が樹立した「統一政府(NUG)」と国軍との関係がどうなるかである。国軍は相変わらず強権的だが、かなり手を焼いているのも事実であり、民間人への被害が及ぶのにもかまわず空爆を行ったり、一部地域では村を焼き払ったりするなどかなり強引に民主派勢力を鎮圧しようとしている。
一方、民主派側も自分たちの力で政権を取るには程遠く、彼らが統治していると主張する地域は一部の農村部だけである。都市部は、基本的に軍が支配している。
また、国民の3分の1近くを占める少数民族は必ずしも政府に従っておらず、武装闘争も継続している。そのため政府としても軍に依存することとなる。つまり、民主派勢力、国軍、少数民族のあいだの微妙なバランスは依然として続いている。
国軍を支える外部勢力は中国とロシアである。中国はミャンマーと隣接している関係で以前から少数民族地域への影響力は大きい。そのために従来から国軍や政府とも一定の友好関係があり、クーデタ後もミャンマーの安定を望み、軍事政権とは距離を置き、国家の安定性について懸念を表明していた。王毅外相がクーデタ後初めてミャンマーを訪問したのは翌2022年の7月であった。
ロシアは違っており、東南アジアにおいて中国のように広範囲に及ぶプレゼンスはなく、国軍が発言権を持つミャンマーとの関係だけが突出している。特に武器輸出は中国の次である。NLD(国民民主連盟、アウンサンスーチーが党首)政権下の18年にはスホイ30戦闘機の供給契約を結んだ。クーデタ直前の2021年1月にはショイグ国防相がミャンマーを訪問し、地対空防衛システムや偵察用無人機などの契約を結んだ。そしてクーデタ以降、ロシアは中立的立場をとった中国と異なり、ミャンマーとの軍事関係を一層強化した。3月、ミャンマーであった「国軍記念日」の行事に日本や欧米諸国が出席を見送るなかロシアから国防次官が出席した。6月にはミンアウンフライン最高司令官がモスクワで開かれた「国際安全保障モスクワ会議」に出席し、パトルシェフ国家安全保障会議書記、ショイグ国防相と会談した。ロシア側の厚遇が目立ったという。
翌22年7月、ロシア軍によるウクライナ侵攻の5か月後であったが、ミンアウンフライン司令官が再度ロシアを訪問した。モスクワで会った人物にはロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスのロゴジン社長が含まれていた。両者は何を話し合ったのか。ミャンマーは宇宙分野にも関心があるのだろうか。ロシア国防省は12日声明において「戦略的なパートナーシップの精神に基づき、軍事面や技術協力を深めていくことを再確認した」と発表した。
ロシアは武器取引を通じてミャンマーとの関係を緊密化し、軍事政権の数少ない支持国になった。これはミャンマーにとって大きな意味があり、ロシアの友好国であることをアピールしてロシアに報いた。世界の嫌われ者同士が手を結んだというのは言い過ぎかもしれないが、ミャンマーの軍事政権はロシアが支えてくれるかぎり支配を継続できると考えている可能性がある。
日本が対話を通して民主化の実現に寄与するという方針は、軍事政権としてもいつまでも強権的、暴力的に民主派勢力を抑圧することはできないだろうという見通しの上に立っている。しかし、ロシアのウクライナ侵攻がどのように展開するかにもよるが、この前提は崩れるかもしれない。そうなると対話を通して効果を生み出すことは困難になる。日本政府の意図でないが、軍事政権を甘やかしているという風当たりが国際的に強くなる危険もある。日本外交にとって容易ならざる事態となることが懸念される。
ミャンマーとロシアは日本外交を困難にする
ミャンマーで実権を握る国軍は2月1日、憲法で定められている2年の期限が到来した非常事態宣言を半年間延長すると発表した。軍事政権がそれだけ継続するのだが、延長が半年で終わるか情勢は不透明である。軍政府は2年前のクーデタの際にも総選挙は2023年8月まで延期することを示唆していたので、今回の発表は必ずしも約束違反ではないが、国軍の弾圧は甚大な被害を生んでおり、2年間に2940人の市民が犠牲になったという(人権団体による)。内外のメディアも厳しく弾圧され、日本人では映像ジャーナリストの久保田徹氏が2022年7月から4か月間拘束された。
各国は軍政府による非常事態宣言の延長を批判し、米政府は1月31日、国軍と関係のある6個人と3団体に制裁を科すと発表し、英国、カナダ、オーストラリアなども制裁を強化した。
日本とミャンマーの関係は深い。日本から進出している企業はクーデタ前430社以上に上っていた。日本はミャンマーに対する最大の援助供与国である。日本としては、ミャンマーが国際的に孤立すれば、中国への接近を招くとの懸念もある。日本は独自の制裁には慎重な姿勢で臨んだ。だが、クーデタ後もミャンマー政府への経済支援を行えば、軍事政権を認めることになるのでODAの新規案件は進めないことにしたが、既存の援助案件は完了までに数年かかるものが多く、クーデタ後も軍政権(国軍系企業MECなど)に日本からの資金が流れた。そのためヒューマンライツウオッチ(HRW)など国際的に活動している団体からは厳しい目を向けられた。ミャンマーに関する国連特別報告者のトーマス・アンドリュース氏は今回の非常事態延長に伴い、日本に対し、国軍関係者らに対する経済制裁網への参加を提言。ODAなどの経済支援の見直しや、防衛省が国軍から受け入れている留学生の送還などを促した。
非常事態の延長は日本の立場をいっそう困難にするだろう。これまで日本が欧米諸国とは異なり、対話を通して国軍に暴力行為をやめるよう働きかけてきたのは、説得によってミャンマーの民主化の実現を扶けるのが最善だという考えだったからである。しかし、今回の非常事態延長はそのような外交重視方針に冷水を浴びせかけた。
非常事態を終わらせる総選挙が半年延期されたことは、冒頭で述べたように全くの驚きではないにしても、軍事政権が政権を明け渡す可能性が遠のき、下手をすると軍事政権が半年どころでなく長期にわたって続くことになる危険が増大したからである。
今後の展開を左右する一つのカギは民主派勢力が樹立した「統一政府(NUG)」と国軍との関係がどうなるかである。国軍は相変わらず強権的だが、かなり手を焼いているのも事実であり、民間人への被害が及ぶのにもかまわず空爆を行ったり、一部地域では村を焼き払ったりするなどかなり強引に民主派勢力を鎮圧しようとしている。
一方、民主派側も自分たちの力で政権を取るには程遠く、彼らが統治していると主張する地域は一部の農村部だけである。都市部は、基本的に軍が支配している。
また、国民の3分の1近くを占める少数民族は必ずしも政府に従っておらず、武装闘争も継続している。そのため政府としても軍に依存することとなる。つまり、民主派勢力、国軍、少数民族のあいだの微妙なバランスは依然として続いている。
国軍を支える外部勢力は中国とロシアである。中国はミャンマーと隣接している関係で以前から少数民族地域への影響力は大きい。そのために従来から国軍や政府とも一定の友好関係があり、クーデタ後もミャンマーの安定を望み、軍事政権とは距離を置き、国家の安定性について懸念を表明していた。王毅外相がクーデタ後初めてミャンマーを訪問したのは翌2022年の7月であった。
ロシアは違っており、東南アジアにおいて中国のように広範囲に及ぶプレゼンスはなく、国軍が発言権を持つミャンマーとの関係だけが突出している。特に武器輸出は中国の次である。NLD(国民民主連盟、アウンサンスーチーが党首)政権下の18年にはスホイ30戦闘機の供給契約を結んだ。クーデタ直前の2021年1月にはショイグ国防相がミャンマーを訪問し、地対空防衛システムや偵察用無人機などの契約を結んだ。そしてクーデタ以降、ロシアは中立的立場をとった中国と異なり、ミャンマーとの軍事関係を一層強化した。3月、ミャンマーであった「国軍記念日」の行事に日本や欧米諸国が出席を見送るなかロシアから国防次官が出席した。6月にはミンアウンフライン最高司令官がモスクワで開かれた「国際安全保障モスクワ会議」に出席し、パトルシェフ国家安全保障会議書記、ショイグ国防相と会談した。ロシア側の厚遇が目立ったという。
翌22年7月、ロシア軍によるウクライナ侵攻の5か月後であったが、ミンアウンフライン司令官が再度ロシアを訪問した。モスクワで会った人物にはロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスのロゴジン社長が含まれていた。両者は何を話し合ったのか。ミャンマーは宇宙分野にも関心があるのだろうか。ロシア国防省は12日声明において「戦略的なパートナーシップの精神に基づき、軍事面や技術協力を深めていくことを再確認した」と発表した。
ロシアは武器取引を通じてミャンマーとの関係を緊密化し、軍事政権の数少ない支持国になった。これはミャンマーにとって大きな意味があり、ロシアの友好国であることをアピールしてロシアに報いた。世界の嫌われ者同士が手を結んだというのは言い過ぎかもしれないが、ミャンマーの軍事政権はロシアが支えてくれるかぎり支配を継続できると考えている可能性がある。
日本が対話を通して民主化の実現に寄与するという方針は、軍事政権としてもいつまでも強権的、暴力的に民主派勢力を抑圧することはできないだろうという見通しの上に立っている。しかし、ロシアのウクライナ侵攻がどのように展開するかにもよるが、この前提は崩れるかもしれない。そうなると対話を通して効果を生み出すことは困難になる。日本政府の意図でないが、軍事政権を甘やかしているという風当たりが国際的に強くなる危険もある。日本外交にとって容易ならざる事態となることが懸念される。
2023.02.01
〇戦闘状況
ロシア軍は2022年2月24日にウクライナに対し「特別軍事作戦」を開始。当初、ロシアは数日でウクライナを制圧できると考えていたが、ウクライナの反撃は強く、ロシア軍は劣勢に立つことが多くなっている。
4月にはロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」が撃沈された。
ウクライナ軍はハルキウ市とヘルソン市をそれぞれ5月、11月に奪還。
5月9日、G7首脳テレビ会議共同声明。「ゼレンスキー大統領は、自国の主権と領土一体性を守るというウクライナの強い決意を強調した。同大統領は、ウクライナの究極の目的は、ロシア軍及び装備のウクライナ全土からの完全な撤退を確実なものとし、また将来的に自国を守る能力を確保することであると述べ、G7メンバーからの支援に謝意を表明した。」
5月31日付米紙ニューヨーク・タイムズに公表された「ウクライナで米国がすること、しないこと」と題されたバイデン氏の寄稿
・米国の目標は、ウクライナがさらなる侵略を抑止・自衛する手段を持つこと。
・この戦争は外交を通じてのみ終結する。交渉の席でウクライナが有利になるよう大量の兵器を提供してきた。
・米国はプーチン氏をモスクワから追放しようとはしない。
・ロシアに苦痛を与えるためだけに戦争を長引かせることはしない。
・ウクライナ政府に、領土の譲歩を迫ることはしない。
・いかなる核兵器の使用も容認できず、深刻な結果をもたらす。
6月頃から米国が供与した高機動ロケット砲システム(HIMARS(ハイマース))が配備開始。ロシア軍に大打撃を与えている。
ウォレス英国防相は8月、ロシア軍は(ウクライナ全土の)占領は困難で侵攻は南部と東部に絞られてきたと指摘し、攻勢は頓挫して「負け始めている」と強調。同様の報道はその後も時折行われた。しかし。そこまで言えるか、明確でなかった。
しかしプーチン大統領は9月、軍事侵攻で占領したウクライナ東部、南部の支配地を一方的にロシアに併合することを宣言。
9月、自発的に降伏したロシア軍兵士に刑罰を科す法案がロシア議会で可決された。軍事活動に参加を拒否したものには、最長で禁錮10年、部隊から脱走したものは禁錮15年。
9月21日、ロシアは戦況を盛り返すため予備役30万人の動員を決定。
ゼレンスキー大統領は9月30日、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を正式に申請すると表明。これに対し、NATOのストルテンベルグ事務総長は記者会見で、「ウクライナが自らの安全保障体制を選ぶ権利を支持する」と語った。ただ、今後の手続きについては「加盟に関する決定は、加盟30カ国すべての合意がなければならない」と述べるにとどめ、見通しは示さなかった。
〇ロシア内で問題が起こっている
ロシア国内でプーチンへの批判がじわりと表面化しつつある
CNN0510 ロシア政府系のニュースサイト「Lenta.ru」に9日、所属するジャーナリスト2人の名前で、プーチン大統領のウクライナ侵攻や反対派への締め付けを批判する記事が少なくとも30本掲載され、直後に削除された。
ウクライナ国防省のブダノフ准将は5月14日放映の英スカイニュースのインタビューで、ロシアのプーチン大統領に対する「クーデター計画」が進行しているとの見方を示した。
チェチェン共和国の独裁者カディロフ首長は5月18日、ロシア軍のウクライナでの軍事作戦に関し「初めに間違いがあった」と述べ、想定通りには進まなかったことを認めた。
2023年1月後半の状況。プリゴジンは傭兵部隊ワグネルは損傷が甚大になったこともあり、正規軍が発言力を回復している。侵攻開始以来司令官を次々に代えている。2023年1月末、スロヴィキンに代わりゲラシモフ参謀総長が総司令官に就任。
ロシア軍の冬の装備、食料はみじめな状況か。
2023年3月、翌年のロシア大統領選挙戦の開始予定。
〇ウクライナ内部でも
ウクライナのゼレンスキー大統領は5月、領土防衛の任務を果たさなかったとして、情報収集や治安維持を担うウクライナ保安局(SBU)のハルキウ州(同国北東部)トップを解任。
ロシアによるウクライナ侵攻
ウクライナ侵攻の状況は刻々と変化しており、細かくフォローするのは困難だが、侵攻開始から1年を迎える前に、大雑把なまとめを作成した。〇戦闘状況
ロシア軍は2022年2月24日にウクライナに対し「特別軍事作戦」を開始。当初、ロシアは数日でウクライナを制圧できると考えていたが、ウクライナの反撃は強く、ロシア軍は劣勢に立つことが多くなっている。
4月にはロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」が撃沈された。
ウクライナ軍はハルキウ市とヘルソン市をそれぞれ5月、11月に奪還。
5月9日、G7首脳テレビ会議共同声明。「ゼレンスキー大統領は、自国の主権と領土一体性を守るというウクライナの強い決意を強調した。同大統領は、ウクライナの究極の目的は、ロシア軍及び装備のウクライナ全土からの完全な撤退を確実なものとし、また将来的に自国を守る能力を確保することであると述べ、G7メンバーからの支援に謝意を表明した。」
5月31日付米紙ニューヨーク・タイムズに公表された「ウクライナで米国がすること、しないこと」と題されたバイデン氏の寄稿
・米国の目標は、ウクライナがさらなる侵略を抑止・自衛する手段を持つこと。
・この戦争は外交を通じてのみ終結する。交渉の席でウクライナが有利になるよう大量の兵器を提供してきた。
・米国はプーチン氏をモスクワから追放しようとはしない。
・ロシアに苦痛を与えるためだけに戦争を長引かせることはしない。
・ウクライナ政府に、領土の譲歩を迫ることはしない。
・いかなる核兵器の使用も容認できず、深刻な結果をもたらす。
6月頃から米国が供与した高機動ロケット砲システム(HIMARS(ハイマース))が配備開始。ロシア軍に大打撃を与えている。
ウォレス英国防相は8月、ロシア軍は(ウクライナ全土の)占領は困難で侵攻は南部と東部に絞られてきたと指摘し、攻勢は頓挫して「負け始めている」と強調。同様の報道はその後も時折行われた。しかし。そこまで言えるか、明確でなかった。
しかしプーチン大統領は9月、軍事侵攻で占領したウクライナ東部、南部の支配地を一方的にロシアに併合することを宣言。
9月、自発的に降伏したロシア軍兵士に刑罰を科す法案がロシア議会で可決された。軍事活動に参加を拒否したものには、最長で禁錮10年、部隊から脱走したものは禁錮15年。
9月21日、ロシアは戦況を盛り返すため予備役30万人の動員を決定。
ゼレンスキー大統領は9月30日、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を正式に申請すると表明。これに対し、NATOのストルテンベルグ事務総長は記者会見で、「ウクライナが自らの安全保障体制を選ぶ権利を支持する」と語った。ただ、今後の手続きについては「加盟に関する決定は、加盟30カ国すべての合意がなければならない」と述べるにとどめ、見通しは示さなかった。
〇ロシア内で問題が起こっている
ロシア国内でプーチンへの批判がじわりと表面化しつつある
CNN0510 ロシア政府系のニュースサイト「Lenta.ru」に9日、所属するジャーナリスト2人の名前で、プーチン大統領のウクライナ侵攻や反対派への締め付けを批判する記事が少なくとも30本掲載され、直後に削除された。
ウクライナ国防省のブダノフ准将は5月14日放映の英スカイニュースのインタビューで、ロシアのプーチン大統領に対する「クーデター計画」が進行しているとの見方を示した。
チェチェン共和国の独裁者カディロフ首長は5月18日、ロシア軍のウクライナでの軍事作戦に関し「初めに間違いがあった」と述べ、想定通りには進まなかったことを認めた。
2023年1月後半の状況。プリゴジンは傭兵部隊ワグネルは損傷が甚大になったこともあり、正規軍が発言力を回復している。侵攻開始以来司令官を次々に代えている。2023年1月末、スロヴィキンに代わりゲラシモフ参謀総長が総司令官に就任。
ロシア軍の冬の装備、食料はみじめな状況か。
2023年3月、翌年のロシア大統領選挙戦の開始予定。
〇ウクライナ内部でも
ウクライナのゼレンスキー大統領は5月、領土防衛の任務を果たさなかったとして、情報収集や治安維持を担うウクライナ保安局(SBU)のハルキウ州(同国北東部)トップを解任。
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