2014 - 平和外交研究所 - Page 75
2014.02.23
この中台関係シリーズでは、「中華人民共和国」は「中国」と区別するため、便宜的にPRCと呼ぶこととする。「PRC」と「台湾」と「中国」の3つをどのように区別するか、これは難問である。「台湾」も「中華民国」と現地では呼んでいるが、ここでは「台湾」とする。
現在、PRCと台湾が別々の国家であることは明らかである。「国家」という言葉が適当でなければ「領域」を使って、別々の領域である。PRCではこの2つを一つの国家にすることを目標としており、またかつては台湾でも同様の目標を立てていた。その場合目標とされているのは、PRCが台湾を併合することか、それともPRCと台湾が一つの国家となることか明確でない。現在台湾では、PRCによって台湾が併合されたくないと、前者を否定的に想定する人が多いが、かつては台湾が中国大陸を回復することを目指していた。現在の感覚では、ウサギがクジラを呑みこむくらい非現実的と思われているが、そのように考えるようになったのは最近のことである。
PRCと台湾が「平等な立場で交渉」するというのは、どういうことか。PRCが台湾を併合するという可能性も、逆に台湾がPRCを併合するという可能性も、どちらも排除しないで交渉するという意味か。それともPRCと台湾が1つの国家になるという意味か。どちらの解釈も可能なようであるが、いずれにしても政治的意味合いは非常に大きいので、新華社電がその言葉を取り除いて報道したということはありうる。
中台関係②
「PRCと台湾が「平等な立場で交渉」するというのは、どういうことか」この中台関係シリーズでは、「中華人民共和国」は「中国」と区別するため、便宜的にPRCと呼ぶこととする。「PRC」と「台湾」と「中国」の3つをどのように区別するか、これは難問である。「台湾」も「中華民国」と現地では呼んでいるが、ここでは「台湾」とする。
現在、PRCと台湾が別々の国家であることは明らかである。「国家」という言葉が適当でなければ「領域」を使って、別々の領域である。PRCではこの2つを一つの国家にすることを目標としており、またかつては台湾でも同様の目標を立てていた。その場合目標とされているのは、PRCが台湾を併合することか、それともPRCと台湾が一つの国家となることか明確でない。現在台湾では、PRCによって台湾が併合されたくないと、前者を否定的に想定する人が多いが、かつては台湾が中国大陸を回復することを目指していた。現在の感覚では、ウサギがクジラを呑みこむくらい非現実的と思われているが、そのように考えるようになったのは最近のことである。
PRCと台湾が「平等な立場で交渉」するというのは、どういうことか。PRCが台湾を併合するという可能性も、逆に台湾がPRCを併合するという可能性も、どちらも排除しないで交渉するという意味か。それともPRCと台湾が1つの国家になるという意味か。どちらの解釈も可能なようであるが、いずれにしても政治的意味合いは非常に大きいので、新華社電がその言葉を取り除いて報道したということはありうる。
2014.02.23
政府はこの式典に高官を参列させるべきでなかった。
竹島の領有権について日韓間で争いがあるからという理由ではない。竹島については、戦後日本の領土の範囲を確定したサンフランシスコ平和条約で、日本は朝鮮半島、鬱陵島、済州島、巨文島を放棄する一方、竹島は放棄しなかったので明らかに日本の領土であることが認められており、法的には日本の領土である。
しかし、歴史的には問題があり、明治10年に日本政府は、竹島は日本の領土でないという決定を行なっており、この政府決定は尊重すべきものである。このことについてはもともと雑誌『FACTA』で論じ、本ブログでも6月29日に引用した。
ともかく、このような経緯のある竹島について日本としては慎重に扱う必要があり、日本の領土であると単純に主張すべきでないし、記念式典のようなことも控えるのがよいと思う。日本政府は法的な立場も歴史的な事情もすべて勘案して対応するべきである。
「竹島の日」記念式典への内閣府政務官の参列
2月22日、松江市で開かれた「竹島の日」記念式典に、政府は昨年に引き続き内閣府政務官を派遣した。今年参列したのは亀岡偉民氏である。政府はこの式典に高官を参列させるべきでなかった。
竹島の領有権について日韓間で争いがあるからという理由ではない。竹島については、戦後日本の領土の範囲を確定したサンフランシスコ平和条約で、日本は朝鮮半島、鬱陵島、済州島、巨文島を放棄する一方、竹島は放棄しなかったので明らかに日本の領土であることが認められており、法的には日本の領土である。
しかし、歴史的には問題があり、明治10年に日本政府は、竹島は日本の領土でないという決定を行なっており、この政府決定は尊重すべきものである。このことについてはもともと雑誌『FACTA』で論じ、本ブログでも6月29日に引用した。
ともかく、このような経緯のある竹島について日本としては慎重に扱う必要があり、日本の領土であると単純に主張すべきでないし、記念式典のようなことも控えるのがよいと思う。日本政府は法的な立場も歴史的な事情もすべて勘案して対応するべきである。
2014.02.22
「密接な関係がある国」とは米国を想定しているのであろうが、この表現では米国に限られない。今は考えられないかもしれないが、状況が変われば韓国と日本が「密接な関係がある国」になりうる。歴史、価値観、米国との同盟関係などを考慮すればそのような状況になりうるはずである。では、集団的自衛権はそのような状況の下では韓国との関係でも行使することを想定しているのか。想定という言葉が強すぎれば、行使することがありうると考えているのか。つまり、「密接な関係」が不明確なのではないかということである。
「放置すれば日本の安全に大きな影響があること」については、自衛権行使の要件として安易に過ぎるのではないか。日本が安全を脅かされた場合に自衛権を行使することが認められる条件として、急迫性、すなわち時間的に他の方法を取る余裕がないことが必要である。しかるに、「放置すれば日本の安全に大きな影響があること」だけではそのような条件を満たしていない。そのように考えると、集団的自衛権行使の場合は個別的自衛権行使の場合よりも要件を緩和してよいと懇談会は考えているのか。
また、他国を守るために日本が軍事力を行使することについては、あいまいな条件で行使できたり、できなかったりしてはならない。どのような場合、どの程度まで、などを明確に定める条約が必要である。具体的な例として、尖閣諸島に第三国が攻撃を加えてきた場合、日本として頼りにすべきは日米安保条約であり、米国が日本の防衛のために行使する集団的自衛権ではない。そのようなことを考えている人は皆無に近いのではないか。日本は米国が集団的自衛権を行使してくれるから安心なのではなく、条約できっちりと決まっているから安心できるのである。
安保法制懇の集団的自衛権についての考え
集団的自衛権について検討している首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の北岡伸一座長代理が2月21日、日本記者クラブで記者会見し、4月に提出する予定の同懇談会の報告書に盛り込む考えを説明した。集団的自衛権の行使が認められる条件として、5つの条件が満たされることが必要としていうようであるが、そのなかでは、「密接な関係にある国が攻撃されること」「放置すれば日本の安全に大きな影響があること」の2条件が問題になりうる。「密接な関係がある国」とは米国を想定しているのであろうが、この表現では米国に限られない。今は考えられないかもしれないが、状況が変われば韓国と日本が「密接な関係がある国」になりうる。歴史、価値観、米国との同盟関係などを考慮すればそのような状況になりうるはずである。では、集団的自衛権はそのような状況の下では韓国との関係でも行使することを想定しているのか。想定という言葉が強すぎれば、行使することがありうると考えているのか。つまり、「密接な関係」が不明確なのではないかということである。
「放置すれば日本の安全に大きな影響があること」については、自衛権行使の要件として安易に過ぎるのではないか。日本が安全を脅かされた場合に自衛権を行使することが認められる条件として、急迫性、すなわち時間的に他の方法を取る余裕がないことが必要である。しかるに、「放置すれば日本の安全に大きな影響があること」だけではそのような条件を満たしていない。そのように考えると、集団的自衛権行使の場合は個別的自衛権行使の場合よりも要件を緩和してよいと懇談会は考えているのか。
また、他国を守るために日本が軍事力を行使することについては、あいまいな条件で行使できたり、できなかったりしてはならない。どのような場合、どの程度まで、などを明確に定める条約が必要である。具体的な例として、尖閣諸島に第三国が攻撃を加えてきた場合、日本として頼りにすべきは日米安保条約であり、米国が日本の防衛のために行使する集団的自衛権ではない。そのようなことを考えている人は皆無に近いのではないか。日本は米国が集団的自衛権を行使してくれるから安心なのではなく、条約できっちりと決まっているから安心できるのである。
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