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2014.07.10
ロハニ政権の下で核問題に関するP5+ドイツとの協議がかなり程度進展していることも、イランと米欧諸国との間の雰囲気を改善するのに役立っている。
オバマ大統領は2009年の就任直後イランとも直接対話する用意があることを示していたが、実際には進展しなかった。一つの理由は、アフマディネジャド前大統領時代核協議が進まなかったためである。またイスラエルはいたずらに時間が経過していくことに苛立ち、イランに対して強硬な姿勢で臨むよう米国に圧力をかけており、その意味では米国の動ける余地が限られていた。また、オバマ政権はシリア問題への対応が原因で内外から批判を受けていたところに、今度はイラクでスンニ派の攻勢を受け、また、イラクのマリキ首相は米軍の撤退後米国の期待した挙国体制の確立とは逆にシーア派のみを重用するなどしたためスンニ派との対立を激化させる結果となり、そうなるとイラク戦争以来の米国の姿勢を問われる結果にもなり、オバマ政権はますます困難な立場に陥っている感がある。
イランのロハニ大統領やラフサンジャニ元大統領はそのような苦境にある米国と関係改善を図るよい機会とみなして対米協調的発言を行なったのであろう。
もっともイラン国内も複雑で対米強硬外交を好む勢力も少なくないので、ロハニ政権としても対米友好ばかりを強調するわけにもいかず、自ずと動ける限度はあろう。
また、イスラエルはまたもやパレスチナとの対立を深めており、双方で攻撃を再開している。米国は例によってイスラエルを擁護しているが、パレスチナ問題を解決に向けて前進させたい気持ちは強く、ケリー国務長官は就任以来2014年1月までに10回もイスラエルを訪問しているが、ネタニヤフ首相とはうまくいっていないようで、両者の間の険悪な雰囲気を伝える声が聞こえてくる。それに7月に入ってからパレスチナ人少年の殺害を機に双方が攻撃を再開した。米国の、ケリー長官の努力は今のところなんら実を結んでいないと言われても反論できないであろう。
イランのロハニ政権が示している外交姿勢は、イラクでもパレスチナ問題でも有効な手を打てない米国にとって積極的な要素であるのは間違いないが、イラン革命以来の米国とイスラエルに対抗するイランという大きな図式を変更する力があるか、そう簡単にはいかない。しかし、イランとイスラエルはもともと国交があり、イラン革命以後のイスラム復興、さらにはアフマディネジャド政権下で関係が悪化したのであり、状況が変化すればイラン・イスラエル関係が変わってくることもありうる。実際に動き出すには米国でもイスラエルでも次の政権になるまで待たなければならないかもしれないが、イランは一足早くこれまでと違った外交姿勢を取る用意ができつつあるようにも思われる。
以上、基本的な観点からの考察に過ぎないが。
イラン指導者の対米積極発言
イランのラフサンジャニ元大統領が、緊迫しているイラク情勢に関連して、「米国とは問題点を共有している。必要になればイランは協力する」と述べたと報道されている。ロハニ大統領もさる6月、米国との協力を積極的に考慮する用意があることを示唆する発言を行なっていた。ラフサンジャニはアフマディネジャド前大統領時代には政治の表に立つことはなかったが、ロハニ大統領と近いと言われており、今回の発言もそのような環境変化が背景にある。ロハニ政権の下で核問題に関するP5+ドイツとの協議がかなり程度進展していることも、イランと米欧諸国との間の雰囲気を改善するのに役立っている。
オバマ大統領は2009年の就任直後イランとも直接対話する用意があることを示していたが、実際には進展しなかった。一つの理由は、アフマディネジャド前大統領時代核協議が進まなかったためである。またイスラエルはいたずらに時間が経過していくことに苛立ち、イランに対して強硬な姿勢で臨むよう米国に圧力をかけており、その意味では米国の動ける余地が限られていた。また、オバマ政権はシリア問題への対応が原因で内外から批判を受けていたところに、今度はイラクでスンニ派の攻勢を受け、また、イラクのマリキ首相は米軍の撤退後米国の期待した挙国体制の確立とは逆にシーア派のみを重用するなどしたためスンニ派との対立を激化させる結果となり、そうなるとイラク戦争以来の米国の姿勢を問われる結果にもなり、オバマ政権はますます困難な立場に陥っている感がある。
イランのロハニ大統領やラフサンジャニ元大統領はそのような苦境にある米国と関係改善を図るよい機会とみなして対米協調的発言を行なったのであろう。
もっともイラン国内も複雑で対米強硬外交を好む勢力も少なくないので、ロハニ政権としても対米友好ばかりを強調するわけにもいかず、自ずと動ける限度はあろう。
また、イスラエルはまたもやパレスチナとの対立を深めており、双方で攻撃を再開している。米国は例によってイスラエルを擁護しているが、パレスチナ問題を解決に向けて前進させたい気持ちは強く、ケリー国務長官は就任以来2014年1月までに10回もイスラエルを訪問しているが、ネタニヤフ首相とはうまくいっていないようで、両者の間の険悪な雰囲気を伝える声が聞こえてくる。それに7月に入ってからパレスチナ人少年の殺害を機に双方が攻撃を再開した。米国の、ケリー長官の努力は今のところなんら実を結んでいないと言われても反論できないであろう。
イランのロハニ政権が示している外交姿勢は、イラクでもパレスチナ問題でも有効な手を打てない米国にとって積極的な要素であるのは間違いないが、イラン革命以来の米国とイスラエルに対抗するイランという大きな図式を変更する力があるか、そう簡単にはいかない。しかし、イランとイスラエルはもともと国交があり、イラン革命以後のイスラム復興、さらにはアフマディネジャド政権下で関係が悪化したのであり、状況が変化すればイラン・イスラエル関係が変わってくることもありうる。実際に動き出すには米国でもイスラエルでも次の政権になるまで待たなければならないかもしれないが、イランは一足早くこれまでと違った外交姿勢を取る用意ができつつあるようにも思われる。
以上、基本的な観点からの考察に過ぎないが。
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