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2014.04.30

尖閣付近での中露合同軍事演習

中国とロシアの海軍は5月末から6月初めにかけ、尖閣諸島の西北の海域で初の合同軍事演習を行なうそうである。4月29日に「ロシアの声」が報道したのを30日の『環球時報』(人民日報傘下の大衆紙)が引用している。4月30日現在、最後の協議のためにロシア海軍の代表団が上海を訪問中である。
両国の海軍は、合同演習地域で偵察を行ない、共同行動計画を明確化し、防空、対潜水艦、封鎖、航渡(中国語)、補給などの訓練を行なう。体育・文化活動などもある。
ロシアからの参加者は海軍作戦訓練局長、海軍司令部の職員、太平洋艦隊の代表などが、中国からは解放軍総参謀部の代表および東海艦隊の専門家が参加する。
双方は20艘あまりの海上艦艇、潜水艦および補助艦を派遣する。ロシア側は、ミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦、補助艦、遠洋タグボート各1艘が含まれている。ロシア海軍の編隊は対馬海峡を南下して上海に来航する予定である。

中ロ両国のこのような合同軍事演習は日本にとって不愉快なものである。
中ロ両国にはそれぞれ狙いがあるのであろう。中国としては、尖閣諸島に関し従来から続けている、嫌がらせを含む示威行動の一環であるが、オバマ米大統領の訪日に際して日米が安全保障面での同盟関係を強化し、日米安保条約が尖閣諸島に適用されることを大統領自らが確認したことを強く意識し、反発しているものと思われる。
ロシアが尖閣諸島付近での中国との合同演習に参加することとしたのは、中国からの働きかけに応じたものと推測されるが、ロシア海軍と日本の海上自衛隊はこれまでに防衛交流を積み重ね、また、捜索・救難の共同訓練なども行なってきており、さらにごく最近、外務・防衛閣僚級協議(いわゆる2+2)を立ち上げることに合意するなど友好協力関係を進めていただけに、今回の中国との合同演習は残念な出来事である。
ロシアは、ただ中国からの要望に応じただけではないのであろう。今回の決定の背景として、ウクライナ問題で惹起された米欧との緊張関係があり、日本もロシア非難に加わり、ビザの発給を制限し、また、岸田外相の訪ロを取りやめたことなどをロシア側は不快視している可能性がある。そのような問題が起こったのはロシアに原因があるが、それはロシアとして認めたくないのも不思議でない。今回の中ロ合同軍事演習は表面上日ロ関係とは結びつかないが、当然強く影響しているものと思われる。

4月30日の国防部網によれば、今回の合同演習は3回目であり、第1回は2012年4月末山東省青海卑近で、第2回目はウラジオストック付近で行われた由。


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