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2013.10.21

中国の対英原子力協力

英国で1995年以来初めて原発が新設されることになった。イングランド南西部に建設予定である。オズボーン財務相が北京で、英中両国はこの建設に協力するため覚書を結んだと発表した。
この決定は、中国の対英投資の面で注目を集めている。英中仏3国の協力案件であるが、中国の株式保有比率は、最初は低いが、将来支配権を持つ(majority)まで増加する可能性があるとオズボーン財務相は答えている。香港の新聞『明報』によれば、40%くらいになるそうである。一般的には、株式の過半数、つまり50%以上でないとmajorityと言わないように思うが、実際にどのような了解になっているのかよく分からない。
具体的な数字はともかく、中国がmajorityを持つようになる可能性があることを英国は許容しているわけであり、英国のエネルギー政策はそのようなものかと考えさせられる。
もっとも、英国の国際的感覚は我々よりはるかに進んでいる(?)可能性があり、それほど抵抗はないのかもしれない。本件を報道したロイターの記事のなかには、「昨年、日本の日立はドイツのRWEおよびEONから核関連の合弁会社を購入した。アジアの企業は英国の核工業に関心を抱いているのである。」という説明がある。E.ONは欧州最大のエネルギー会社、RWEはライン・ヴェストファーレン電力会社であり、ドイツの電力会社としてそれぞれ第一、第二位であり、日立は2012年秋、これら2社が保有していた英国の原子力発電会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収した。そこまではよいとして、中国と日本の会社をひとくくりにして「アジアの会社」と呼ぶ感覚は日本人にはない。ロイターは立派な通信社であるが、日本も中国も同じアジアの国という感覚がどこかに残っているのであろう。
なお、中国の対英投資はすでにかなり進展しており、英国にとって第3位の投資国だそうである。歴史的に英国と中国が深い関係にあるのは周知のことであるが、実務面、経済面でも中国は英国経済にとって重要な地位を占めていることが窺われる。


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