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2016.08.29

(短文)ドゥテルテ・フィリピン大統領に対する中国系新聞の評価

 南シナ海や東シナ海問題で各国と対立する中国は東南アジア諸国の支持を増やそうと躍起になっている。なかでもフィリピンのドゥテルテ大統領は中国との対話を重視する姿勢を見せていたため、6月末に発足した新政権に対する働きかけを強め、仲裁裁判の判決が出る前、裁判の取り下げをフィリピン政府に要求したこともあった。
 ドゥテルテ大統領は果たしてどのように中国との関係を処理するか。中国の持っている切り札は経済援助だが、新政権下で経済状況はどうなっているか。
 米国に本拠地がある中国語の多維新聞8月27日付は次のような趣旨の論評を行っている。同新聞は中国政府の監督下にないが、中国がドゥテルテ大統領をどのように見ているかを知る参考になる。
 
 「フィリピンにおける最近の世論調査ではドゥテルテ大統領の支持率は91%に達している。
ドゥテルテは大統領になってからも極端な発言を続けており、対外面では米国や国連にも、また中国にも厳しいことを口にしている。中国とは「最も強硬に対応するため準備している」などと言うこともあるが、実際には中国と対話する方針であり、中国側をいたずらに刺激しないように努めている。「中国と互恵の関係を築くことが最重要だ」とも述べている。
 フィリピンの経済界のドゥテルテに対する評価は180度変わった。世界の主要紙はこの点に注目していない。
 選挙期間中ドゥテルテは経済政策について語らなかったので、経済界の人たちは憂慮していた。しかし、経済面でのドゥテルテ大統領の行動は穏健で秩序だったものである。インフラ建設を重視し、国民生活重視の政策を進め、各地を回り投資の誘致に努めている。法人税を軽減した。教育への支出を増加した。
 ドゥテルテは攻撃的言論のせいで騒ぎを起こすこともあるが、積極的な効果を上げている。移動電話業者に対してサービス価格を下げるよう要請し、従わなければ外資に対する制限を撤廃すると警告した。その効果は顕著に表れている。
 治安は大幅に改善した。ドゥテルテ政権成立以来フィリピンでは1800人余りの人が麻薬取引の関係で死んだ。そのうち712例は警察の職務執行の結果であった。経済界はドゥテルテが人権を軽視していると思っているが、今後さらなる経済発展のための条件ができつつあり、民間投資も増加していることは認識しており、ドゥテルテ政権に対する期待は大きくなっている。今や経済界はドゥテルテ大統領を認めたと言えるだろう。」

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