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2016.03.10

(短文)習近平の株式市場に関する指示

 ブルームバーグ3月8日付の次の記事は中国ウォッチの観点からも注目される。

「個人投資家の利益を確実に保護するように。それが習近平国家主席の手書きメッセージの内容だった。急落した中国株式相場の回復措置策定を担当する当局者に、中国指導部はこう指示した。
  事情に詳しい関係者によると、習主席の指示は空売りなどを手掛ける「悪意ある」トレーダーの調査報告書に走り書きされており、 監督当局と法執行当局が昨年7月に開いた会議で示された。関係者は同会議が非公開だったことを理由に匿名で語った。その後の数カ月、中国当局は株価下支えを目的とした前例のない対応をエスカレートさせ、相場下落を増幅させたと当局が非難する投機家を処分することになった。
  結果は習主席が頭に描いていたものとは違ってしまったと言ってよいだろう。中国株式市場から昨年7月以来、時価総額7280億ドル(約82兆円)が失われただけでなく、相場急落への中国当局の対処はグローバルな運用者および当局が保護しようとした個人投資家双方の信頼を損ねた。中国当局による介入は、習主席のポピュリズムが市場本意の経済構築という主席自身が掲げる方針といかに矛盾するかを示す。これはまた、国有企業改革から人民元取引の一段の自由化容認まで習主席が幅広い課題に取り組む中で、今後もこうした政策上の失敗が起きるリス クがあることを示唆する。
  中国株急落を正確に予想したラボバンク・グループの金融市 場調査責任者マイケル・エブリー氏(香港在勤)は「株式市場への対処 が適切にできないなら、扱いがより難しい国有企業改革に中国当局はどう取り組むのだろうか。当局の試みは完全な失敗だった。それが投資家 の信頼感の大幅低下を招いている」と述べた。
原題:Xi’s Handwriting Betrays a Paradox at the Core of Chinese Policy(抜粋)」

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