その他
2014.12.24
JRが販売数を限定したのは「プレミア感」を出そうとしたためであろうと言う人がいる。これはどういう意味か。「プレミア」という言葉を冠した商品は他にもある。それは普通の商品でなく、とくに品質が高いものを言うようだ。SUICAは、今回記念に発売されるカードも普段使うカードも性能はまったく変わらないが、記念カードの特別デザインが価値を高めているのであろう。また、「プレミア感」はその販売数が限定されているためだとも指摘されている。希少価値ということで付加価値が生まれているのである。インターネットでは記念SUICAは驚くほど高値で転売されているそうである。
しかし、「プレミア感」という言葉を使うことには抵抗感を覚える。なぜ日本語を使わないのかといぶかっているのではない。我々の生活の中に外国語があふれていることは、決して理想的なことと思わないが、あまりの数のため外来語の使用をやめようと旗を振る気にはなれない。そんなことをしたら平成のドンキホーテになってしまうだろう。問題は外国語の使い方であり、外国語を無批判的に導入し、どんどん使っていくなかで、本来の意味とは違った意味で使用されることが既成事実化することである。
「プレミア」はそもそもpremierのことだろうが、これは「第一の」あるいは「首位の」という意味である。プレミア・リーグなどはそうであろう。これには、premiumのように付け加わるという意味はない。品質が追加的に、あるいは特別によいと言いたいのであれば、「プレミアム」と言うべきである。しかし、それは言いにくいので「プレミア」で代替させたということであろう。つまり、記念SUICAの場合も「プレミアム」というべきなのであるが、便宜的に「プレミア」と言っているのであろう。このような用法は記念SUICAが初めてではなく、以前からあったらしい。たとえば『広辞苑』なども、「プレミア」が「プレミアム」の意味で使われることがあるとしているので、日本社会ではかなり広く見られる現象となっているようである。
3千ページもある大きな辞書でさえ受け入れていることであり、また外来語の導入は日本人の柔軟性の表れでもあるが、それでも私は、「プレミア」の使用には抵抗がある。外来語の安易な使用が思わぬ結果を招来することをつくづく思わされる出来事があったので紹介する。北朝鮮が現在行っている特別調査に関することであるが、伊原外務省アジア大洋州局長は平壌訪問から帰国後、北朝鮮は拉致問題について「前回の調査結果にこだわらず」全面的に調査しなおしていると説明した。これ聞いた永田町界隈にいる外国語マニアが「ゼロベースで調査しているという説明であった」と言い換えた。「ゼロベース」は、情けないことに、国会でも使われた。これを聞いた拉致被害者家族会の代表である飯塚さんは、「今更ゼロベースで調査するとは何事」と反発したそうである。
要するに、「前回の結果にこだわらず」を「ゼロベースで」と言い換えるのは、「プレミアム」を「プレミア」と言い換えるのと同様、一般にはさほど目くじらを立てるほどのことでないかもしれないが、状況いかんで罪づくりになるのである。以上の理由から、かつ頭が固いためか、私は「プレミア感」などという言葉を使用する気になれない。
SUICAにプレミア感?
東京駅開業百周年を記念して特別のSUICA(磁気カード)が発売されるというので大勢の人が殺到し、危険な状況も出てきたため発売は途中で中止された。しかし突然の予定変更である。JRに怒りをぶつけた人も多く、現場は険悪な雰囲気になったそうである。今回発売されることとなった特別カードの数が限定されていたことが混乱の原因であり、疑問や批判が相次いだ。JRはその後方針を変更し、販売数を増加することにしたと報じられている。JRが販売数を限定したのは「プレミア感」を出そうとしたためであろうと言う人がいる。これはどういう意味か。「プレミア」という言葉を冠した商品は他にもある。それは普通の商品でなく、とくに品質が高いものを言うようだ。SUICAは、今回記念に発売されるカードも普段使うカードも性能はまったく変わらないが、記念カードの特別デザインが価値を高めているのであろう。また、「プレミア感」はその販売数が限定されているためだとも指摘されている。希少価値ということで付加価値が生まれているのである。インターネットでは記念SUICAは驚くほど高値で転売されているそうである。
しかし、「プレミア感」という言葉を使うことには抵抗感を覚える。なぜ日本語を使わないのかといぶかっているのではない。我々の生活の中に外国語があふれていることは、決して理想的なことと思わないが、あまりの数のため外来語の使用をやめようと旗を振る気にはなれない。そんなことをしたら平成のドンキホーテになってしまうだろう。問題は外国語の使い方であり、外国語を無批判的に導入し、どんどん使っていくなかで、本来の意味とは違った意味で使用されることが既成事実化することである。
「プレミア」はそもそもpremierのことだろうが、これは「第一の」あるいは「首位の」という意味である。プレミア・リーグなどはそうであろう。これには、premiumのように付け加わるという意味はない。品質が追加的に、あるいは特別によいと言いたいのであれば、「プレミアム」と言うべきである。しかし、それは言いにくいので「プレミア」で代替させたということであろう。つまり、記念SUICAの場合も「プレミアム」というべきなのであるが、便宜的に「プレミア」と言っているのであろう。このような用法は記念SUICAが初めてではなく、以前からあったらしい。たとえば『広辞苑』なども、「プレミア」が「プレミアム」の意味で使われることがあるとしているので、日本社会ではかなり広く見られる現象となっているようである。
3千ページもある大きな辞書でさえ受け入れていることであり、また外来語の導入は日本人の柔軟性の表れでもあるが、それでも私は、「プレミア」の使用には抵抗がある。外来語の安易な使用が思わぬ結果を招来することをつくづく思わされる出来事があったので紹介する。北朝鮮が現在行っている特別調査に関することであるが、伊原外務省アジア大洋州局長は平壌訪問から帰国後、北朝鮮は拉致問題について「前回の調査結果にこだわらず」全面的に調査しなおしていると説明した。これ聞いた永田町界隈にいる外国語マニアが「ゼロベースで調査しているという説明であった」と言い換えた。「ゼロベース」は、情けないことに、国会でも使われた。これを聞いた拉致被害者家族会の代表である飯塚さんは、「今更ゼロベースで調査するとは何事」と反発したそうである。
要するに、「前回の結果にこだわらず」を「ゼロベースで」と言い換えるのは、「プレミアム」を「プレミア」と言い換えるのと同様、一般にはさほど目くじらを立てるほどのことでないかもしれないが、状況いかんで罪づくりになるのである。以上の理由から、かつ頭が固いためか、私は「プレミア感」などという言葉を使用する気になれない。
2014.08.12
今年6月、第3回の再検討会議がマプト(モザンビークの首都)で開催された。数年に1回の重要な検討会議であったが、会議が始まる前は、米国はやはり結論を出せないだろうと見る人が多かったらしい。
しかし、米国の代表は同月27日、米国はオタワ条約に参加する予定であること、また、米国は対人地雷を生産しないことを発表し、大歓迎を受けた。米国はすでに大量の対人地雷を生産・保有しているが、条約加盟が発効するとすべてのストックを廃棄する義務が生じ、その履行のために計画が作られ、同条約の会議で監視を受けることになる。
対人地雷禁止条約への米国の参加意図表明
対人地雷禁止条約(オタワ条約)に米国が参加するか、1997年に同条約が成立して以来の懸案であった。2009年、オバマ政権の下で米国は、同条約の会議にオブザーバーとして初めて出席し、参加の是非を検討すると表明したので、米国の加盟への期待が盛り上がった。しかし、米国の検討作業はなかなか進展せず、同条約の会議の内外で繰り返し結論を急ぐよう、各国やNGOから迫られていた。今年6月、第3回の再検討会議がマプト(モザンビークの首都)で開催された。数年に1回の重要な検討会議であったが、会議が始まる前は、米国はやはり結論を出せないだろうと見る人が多かったらしい。
しかし、米国の代表は同月27日、米国はオタワ条約に参加する予定であること、また、米国は対人地雷を生産しないことを発表し、大歓迎を受けた。米国はすでに大量の対人地雷を生産・保有しているが、条約加盟が発効するとすべてのストックを廃棄する義務が生じ、その履行のために計画が作られ、同条約の会議で監視を受けることになる。
2014.05.14
(及川さん)今回、学内の人文科学研究所主催という形で、下記のイベントを企画しました。対外的にもオープンな企画で、事前の申し込みも特に必要ありませんので、ご関心とお時間がありましたら、ぜひご参加下さい。
第1部は、翰光監督の映画『亡命』(ダイジェスト版)を上映します。
すでに9日の東大でのイベントでご覧になっておられる方もいらっしゃると思います。今回は、上映会第二弾です!
29日は、第1、第2部の全体はもちろんですが、第2部のみのご参加も大歓迎です。
第2部は、天安門事件後に逮捕・投獄を経てアメリカに亡命した知識人、友人の陳破空さんが、今回ニューヨークから来日されるのに合わせた講演会です。陳破空さんは、昨年『赤い中国消滅』(扶桑新書)を刊行されました。今月は文春新書、今後は幻冬舎新書と出版予定も続き、ご活躍が注目されている方です。
今回は、翰光監督のご好意により、映画『亡命』の特別バージョンとして本編では公開されなかった陳破空さんのインタビューもあわせて上映する予定です。
なお、すでに報道もありますので、皆様ご存知の通りと存じますが、3日北京で、徐友漁さん、浦志強さんたちが、事件25周年記念の研究会を開催したことを理由に、現在、刑事拘留されています。とても厳しい状況です。
日本をはじめ、世界的にも注視され、支援の輪が広がっています。日本からのアピールについて、ご案内が重複している場合はお許しください。
最新情報として、本日18時のNHKニュースでの報道を、以下でご覧頂けます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140513/k10014417281000.html
29日の企画では、本件に関する最新情報の共有を含めて、みなさまとも議論できればと考えています。
ご参加を心よりお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 及川淳子
************ ご案内 *************
【映画と講演の集い】
天安門事件25周年によせて――活動家たちは今
【日時】2014年5月29日(木)14:45~17:30(最長18時まで)
【会場】日本大学文理学部 3号館3507教室
アクセス:http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/
キャンパスマップ:http://www.chs.nihon-u.ac.jp/about_chs/campus_map/
(3507教室は、3号館5階、エレベータ右手の大教室です)
【主催】日本大学文理学部人文科学研究所総合研究
「近現代におけるナショナリズムと歴史認識への各国の対応に関する研究」班
(代表:小浜正子・中国語中国文化学科教授)
【プログラム】
第一部 14:45~16:10
主旨説明(小浜正子) 講演者紹介(及川淳子・文理学部非常勤講師)
翰光監督講演「越境者・亡命者が語る近現代中国」(日本語)
映画『亡命 Outside the Great Wall』上映(ダイジェスト版、40分)
(16:10~16:20 休憩)
第二部 16:20~17:30
陳破空氏講演「My Story~民主化運動から亡命まで」(中国語、逐次通訳)
質疑応答、討論
このご案内は、転送大歓迎です!
ご関心のありそうな方に、ご案内頂けましたら嬉しいです。
天安門事件25周年 映画と講演の集い
及川淳子さん(研究分野は現代中国の言論空間。現在は、法政大学客員学術研究員、桜美林大学北東アジア総合研究所客員研究員、日本大学文理学部非常勤講師。著書『現代中国の言論空間と政治文化――「李鋭ネットワーク」の形成と変容』(御茶の水書房、2012年)など)から次の案内が来ています。転送歓迎ということですので掲載しました。(及川さん)今回、学内の人文科学研究所主催という形で、下記のイベントを企画しました。対外的にもオープンな企画で、事前の申し込みも特に必要ありませんので、ご関心とお時間がありましたら、ぜひご参加下さい。
第1部は、翰光監督の映画『亡命』(ダイジェスト版)を上映します。
すでに9日の東大でのイベントでご覧になっておられる方もいらっしゃると思います。今回は、上映会第二弾です!
29日は、第1、第2部の全体はもちろんですが、第2部のみのご参加も大歓迎です。
第2部は、天安門事件後に逮捕・投獄を経てアメリカに亡命した知識人、友人の陳破空さんが、今回ニューヨークから来日されるのに合わせた講演会です。陳破空さんは、昨年『赤い中国消滅』(扶桑新書)を刊行されました。今月は文春新書、今後は幻冬舎新書と出版予定も続き、ご活躍が注目されている方です。
今回は、翰光監督のご好意により、映画『亡命』の特別バージョンとして本編では公開されなかった陳破空さんのインタビューもあわせて上映する予定です。
なお、すでに報道もありますので、皆様ご存知の通りと存じますが、3日北京で、徐友漁さん、浦志強さんたちが、事件25周年記念の研究会を開催したことを理由に、現在、刑事拘留されています。とても厳しい状況です。
日本をはじめ、世界的にも注視され、支援の輪が広がっています。日本からのアピールについて、ご案内が重複している場合はお許しください。
最新情報として、本日18時のNHKニュースでの報道を、以下でご覧頂けます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140513/k10014417281000.html
29日の企画では、本件に関する最新情報の共有を含めて、みなさまとも議論できればと考えています。
ご参加を心よりお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 及川淳子
************ ご案内 *************
【映画と講演の集い】
天安門事件25周年によせて――活動家たちは今
【日時】2014年5月29日(木)14:45~17:30(最長18時まで)
【会場】日本大学文理学部 3号館3507教室
アクセス:http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/
キャンパスマップ:http://www.chs.nihon-u.ac.jp/about_chs/campus_map/
(3507教室は、3号館5階、エレベータ右手の大教室です)
【主催】日本大学文理学部人文科学研究所総合研究
「近現代におけるナショナリズムと歴史認識への各国の対応に関する研究」班
(代表:小浜正子・中国語中国文化学科教授)
【プログラム】
第一部 14:45~16:10
主旨説明(小浜正子) 講演者紹介(及川淳子・文理学部非常勤講師)
翰光監督講演「越境者・亡命者が語る近現代中国」(日本語)
映画『亡命 Outside the Great Wall』上映(ダイジェスト版、40分)
(16:10~16:20 休憩)
第二部 16:20~17:30
陳破空氏講演「My Story~民主化運動から亡命まで」(中国語、逐次通訳)
質疑応答、討論
このご案内は、転送大歓迎です!
ご関心のありそうな方に、ご案内頂けましたら嬉しいです。
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