中国
2013.04.23
これは中国が何回も繰り返し述べてきたことであり、新味はない。先に使用するか否かが問題になるのは核兵器の保有国同士の間であるが、中国以外の核兵器保有国は、先に使用したか否かは検証困難なので、中国の宣言していることに対しあまり意味はないと批評している。
核兵器を保有しない国は、中国に限らず核兵器保有国に対し核を使用しないことを法的に約束してほしいと要求しているが、核兵器保有国はそれに応じようとしない。つまり、今までの宣言は政治的なものにすぎず、もし何らかの事情で使用しても法的には責任を問われない状態になっている。今回の中国外交部軍縮局長の発言も同様の政治的宣言である。
さらに、核兵器を保有しない国は、米国などの核の傘で守られている国とまったく守られていない国に分かれ、前者についても中国は核を使用しないかというと、そのように扱わない。したがって日本に対して核を使用しないとは言わない。
中国は、核兵器を保有しない国との関係は他の核兵器国と同じであると主張しているが、核兵器保有に関する情報開示の点では他のどの核兵器保有国よりも遅れている。これは核兵器に限ったことでなく、通常兵器についても情報の開示は遅れており、国連などにおいてそのことは何回も指摘されている。
中国に限ったことではないが、核兵器に関する表向きの表明とは裏腹になすべきことは多々ある。
中国の核政策
4月22日、ジュネーブにおける核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会において、中国外交部の軍縮局長は、「中国はいかなる時も、いかなる状況でも核兵器を先に使用することはしない。また、非核兵器国および非核兵器地帯に対し無条件で核兵器を使用、あるいは使用の脅しをしない」と宣言した。これは中国が何回も繰り返し述べてきたことであり、新味はない。先に使用するか否かが問題になるのは核兵器の保有国同士の間であるが、中国以外の核兵器保有国は、先に使用したか否かは検証困難なので、中国の宣言していることに対しあまり意味はないと批評している。
核兵器を保有しない国は、中国に限らず核兵器保有国に対し核を使用しないことを法的に約束してほしいと要求しているが、核兵器保有国はそれに応じようとしない。つまり、今までの宣言は政治的なものにすぎず、もし何らかの事情で使用しても法的には責任を問われない状態になっている。今回の中国外交部軍縮局長の発言も同様の政治的宣言である。
さらに、核兵器を保有しない国は、米国などの核の傘で守られている国とまったく守られていない国に分かれ、前者についても中国は核を使用しないかというと、そのように扱わない。したがって日本に対して核を使用しないとは言わない。
中国は、核兵器を保有しない国との関係は他の核兵器国と同じであると主張しているが、核兵器保有に関する情報開示の点では他のどの核兵器保有国よりも遅れている。これは核兵器に限ったことでなく、通常兵器についても情報の開示は遅れており、国連などにおいてそのことは何回も指摘されている。
中国に限ったことではないが、核兵器に関する表向きの表明とは裏腹になすべきことは多々ある。
2013.04.18
一方、白書全体のバランスにも注意が必要である。右に引用した部分は白書の冒頭で世界情勢を述べるなかで出てくるものである。各論では、海上交通の安全確保、通信、補給、ヘリコプター訓練、救助、検査など各種訓練の面で日本を含む他国との協力、さらには東日本大震災における中国チームの救援活動などにも言及しており、全体として反日傾向が強いわけではない。
尖閣諸島問題にこれまで中国軍は直接関与していなかっただけに、日本を名指ししている今回の白書は注目されるが、中国軍が尖閣諸島問題に関して新しい方針で臨んでいると判断はできないと思われる。
中国の国防白書
4月16日、中国政府が2年ぶりに発表した国防白書に「一部の隣国は中国の領土主権と海洋権益に干渉し、問題を複雑化し、拡大させる挙動を行なった」「日本は釣魚島問題でもめ事を起こした」などの記述があり、日本の新聞各紙はかなり大きく、批判的に報道している。たしかに、この国防白書の描写は一方的であり、問題である。日本政府が抗議したのは当然であった。一方、白書全体のバランスにも注意が必要である。右に引用した部分は白書の冒頭で世界情勢を述べるなかで出てくるものである。各論では、海上交通の安全確保、通信、補給、ヘリコプター訓練、救助、検査など各種訓練の面で日本を含む他国との協力、さらには東日本大震災における中国チームの救援活動などにも言及しており、全体として反日傾向が強いわけではない。
尖閣諸島問題にこれまで中国軍は直接関与していなかっただけに、日本を名指ししている今回の白書は注目されるが、中国軍が尖閣諸島問題に関して新しい方針で臨んでいると判断はできないと思われる。
2013.04.10
この大きな展望は理解できる。対話を続けていくこと自体も日本として歓迎できるが、海洋大国化戦略などについてNATOとしてどのような姿勢で臨むのだろうか。
NATOと中国
ラスムセンNATO事務総長が4月13日からの訪日を前に、朝日新聞(10日)に語っている。アラブの春、テロ、サイバー攻撃などに関しては常識的なことを述べているが、中国についての発言は注目に値する。中国の軍事予算が増加しており、「世界のパワーバランスに影響を及ぼす可能性がある」ことは指摘しつつ、「中国は脅威でない」「中国が国際的な平和と安定のため軍事力を前向きに使うと中国自身の利益につながるからだ」「グローバル市場を阻害する脅威に対抗するのは、我々にも中国にも重要だ」と述べ、中国と「組織的な対話の枠組みを作ることが重要だ」と強調している。この大きな展望は理解できる。対話を続けていくこと自体も日本として歓迎できるが、海洋大国化戦略などについてNATOとしてどのような姿勢で臨むのだろうか。
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