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2014.08.22

ロシア・ウクライナ両大統領の会談が実現する?

8月26日にウクライナとロシアの大統領がベラルーシのミンスクで会談するそうだ。EUのアシュトン外交安全保障上級代表、ベラルーシのルカシェンコ大統領、カザフスタンのナザルバエフ大統領も出席する協議の場であり、ポロシェンコ大統領とプーチン大統領との2人だけの会談があるかどうかははっきりしないが、2人だけで会わなくても現在の緊張した関係にかんがみれば重要な機会になるのは間違いない。
両大統領は去る6月、フランスのノルマンディーで会ったが、その後マレイシア機の撃墜事件が起こりロシアとウクライナおよび欧米諸国の関係は非常に悪化していた。一方、ウクライナ東部ではウクライナ政府の攻勢が強くなり、親ロシア派の武器、食料などは欠乏しかけていた可能性があり、それに対するロシアからの陸路補給が新たな問題となっていた。
ロシアは、米欧諸国や日本の追加制裁に反発して逆に欧米系の店舗の営業停止を求めたり、日本も含め西側からの入国を制限したりしている。
26日にポロシェンコ大統領とプーチン大統領の会談が実現すれば、双方で突っ張りあっている状況を緩和する機会が生まれるかもしれない。大した理由もなく楽観的になるわけにはいかないが、少なくともロシアをめぐる状況はよくないし、プーチン大統領の立場も複雑であろうし、今回の会談はロシアの姿勢を測る一つの機会になるのではないか。

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2014.08.21

尖閣諸島に対する中国の変化?

8月15日付の『日本経済新聞』は、尖閣諸島に対する中国の行動に変化が見られることを報道している。

「中国が、尖閣の揺さぶり戦術を変えはじめた。」
「いちばんはっきりしているのが、尖閣周辺の領海に、中国船が侵入する頻度が下がっていることだ。今年1~6月に侵入した中国船は延べ40隻。月平均にならすと、6・6隻だ。昨年同期(94隻、月平均15・66隻)の半分以下に減った。」
 「1回当たりの侵入時間も短くなってきた。昨年は4時間を超えることも少なくなかったが、今春以降はほぼ2~3時間で推移しているという。」
 「これだけではない。昨年まで繰り返された危うい挑発にも、一定の抑えが効くようになった。政府関係者らによると、尖閣付近では昨年、中国船が日本の漁船を捕まえ、法執行をしようとしたり、日本の巡視船の進路に割って入ったりする動きがあった。だが最近、こうした行為はかなり減った。日本漁船を強引に追いかけ回すのはやめるよう、中国当局が指示を出したとの情報もある。」
「中国軍に近い日中関係筋によると、中国の安保担当者らは「監視船を増強し、いまの頻度で(領海侵入を)続ければ、日本の実効支配は着実に崩れていくと判断している」という。」
「この緊張がさらに高まれば、中国は南シナ海にも多くの監視船を配備しなければならない。その分、尖閣に回せる隻数は減る。南シナ海の状況は、中国の尖閣対応に大きく影響する。中国に精通した元米政府高官はこうみる。」

この記事は興味深い。中国の環球網(人民日報傘下)さらには台湾の聯合報も転載ないし、それを引用して報道している。
2つの異なる解釈が紹介されているが、両方とも正しい可能性もある。

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2014.08.20

教皇と中国

教皇が8月14-18日、韓国を訪問し熱烈な歓迎を受けた。中国との関係も注目されている。欧米の新聞やバチカンのニュースレターなどを集めてみた。

フランシスコ教皇と習近平主席はほぼ同時期に就任し(2013年3月 習近平は国家主席への就任)、その際両人は祝賀のメッセージを交換した。今回の韓国訪問に際して、教皇の乗機が中国の上空を飛行することを中国政府が許可したことも注目されている。許可を出す際の条件が問題だとする指摘もある(条件は発表されていない)。また、教皇は飛行中に祝福のメッセージを習近平主席に送った。

カトリックは中国政府が認める5つの宗教の1つであるが、中国では中国政府の監督下にある中国愛国カトリック協会がカトリック信者を管理しており、15百万人のカトリック信者のうち約半数はそれに従い、残りは政府に隠れて信仰している。司教の叙任(任命)は教皇の専権事項であるが、同協会は中国人司教の叙任も自分たちで行なっており、そのためバチカンとの関係はよくなかった。

フランシスコ教皇は中国に強い関心を抱いており、その一つの理由は、おなじイエズス会の宣教師で中国に眠っているマテオ・リッチ司祭の関係であり、また、ザビエルが訪問した日本にも行きたいそうである。

フランシスコ教皇は国務長官にPietro Parolin枢機卿を任命した。同人は、2002年から2009年まで国家関係担当の国務次官を務め、北京との関係改善に尽力し、最も困難な問題であった中国人司教の叙任は、バチカンと中国愛国カトリック協会双方の承認を必要とするという暗黙の了解を実現した。しかし、2010年、新しい司教の叙任の際に中国政府はバチカンの承認を取り付けなかったので、了解は破られた。2012年には、バチカンにより叙任された司教が中国愛国カトリック協会には参加しないとしたため拘束され軟禁される事件が発生した。
しかし、フランシスコ教皇の中国への関心は強く、その演説やイニシャチブは中国で好意的に受け止められている。
習近平にとって、教皇と親密な関係を築ければ、宗教の自由や人権擁護を重視する姿勢をアピールできるだろう。さる6月初め香港の『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』紙はバチカンと香港の教会に近い筋からの情報として、バチカンと中国の官員が年末以前にも会うかもしれないと報道した。
中国の宗教政策は中国のプロテスタントやチベットのダライ・ラマとの関係など多くの要因により左右されるので関係改善は簡単でないが、中国に強い関心を抱いているフランシスコ教皇の下でいずれ関係改善が進むだろう。

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