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2014.08.26

習近平主席のモンゴル訪問

習近平主席が8月21~22日、中国の元首として11年ぶりにモンゴルを訪問した。数カ国の歴訪でなく、1カ国だけの訪問は韓国に次いで2番目だそうだ。どれほど意味があるか分からないが、中国の新聞ではそのように報道されている。習近平主席は訪問中エルベグドルジ大統領から公私にわたって歓待を受け、また「両国間で全面的戦略パートナーシップ関係を構築・発展させる共同宣言」に署名するなど中蒙間の友好増進がプレーアップされている。中国側が熱意を示すのは少数民族対策との関連もありそうである。

8月24日付の『多維新聞』(米国に本拠地があり、中国の国内新聞とはちがって政府の管理下にない)は次のようなコメントをしている。
「中国政府は、両国間の関係が全面的戦略パートナーシップに格上げされることになったことを強調しているが、善隣友好協力とか中国のインフラを利用すればよいというのは中国側から持ちかけたことであり、モンゴルは中国側の過剰な熱意に警戒している。」
「ボイス・オブ・ロシアによれば、2002年から2013年に両国間の貿易は3・24億ドルから60億ドル強に増加し、今や中国はモンゴルの対外貿易の51%を占めている。エルベグドルジ大統領は習近平主席の来訪の前に、モンゴルの安全の観点から一つの国がモンゴルの対外貿易に占める割合は3分の1を超えるべきでないと言っていた。北京もそのようなモンゴル側の懸念は知っていただろうが、それが新しい矛盾にはならないと思っていたのかもしれない。」
「モンゴル人の中国に対する警戒心は歴史的に形成されてきた。(中略)中国政府に近い学者のなかには、相対的なモンゴル歴史観を持つ者がいる。300年に近い元の支配の間に中華民族との一体化が進み、モンゴルは大中国の領域の端で繁栄・発展してきたとさえ言う者がいる。中蒙間の認識の違いは両国の指導者間の信頼関係を阻害したが、双方が経済面で協力するのを妨げなかった。時には石炭に関するトラブルのような問題が起きたことはあった。それは、2013年、モンゴルが中国铝业公司(中国アルミニウム)に対して返済を拒否し、それに対抗して中国側は石炭を購入しないとしたことである。」
「モンゴル訪問の前より、習近平主席は経済関係でモンゴルをひきつけることは非現実的であることを認識しており、そのため今後の両国間では政治的安定を図ることが重要と考え、エルベグドルジ大統領に対し、中国としては第1に政治的安定のためモンゴルと協力したく、第2に実務関係を進展させたいと述べたことにそのような姿勢が現れていたとする見方もある。」


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