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2014.08.12

対人地雷禁止条約への米国の参加意図表明

対人地雷禁止条約(オタワ条約)に米国が参加するか、1997年に同条約が成立して以来の懸案であった。2009年、オバマ政権の下で米国は、同条約の会議にオブザーバーとして初めて出席し、参加の是非を検討すると表明したので、米国の加盟への期待が盛り上がった。しかし、米国の検討作業はなかなか進展せず、同条約の会議の内外で繰り返し結論を急ぐよう、各国やNGOから迫られていた。
今年6月、第3回の再検討会議がマプト(モザンビークの首都)で開催された。数年に1回の重要な検討会議であったが、会議が始まる前は、米国はやはり結論を出せないだろうと見る人が多かったらしい。
しかし、米国の代表は同月27日、米国はオタワ条約に参加する予定であること、また、米国は対人地雷を生産しないことを発表し、大歓迎を受けた。米国はすでに大量の対人地雷を生産・保有しているが、条約加盟が発効するとすべてのストックを廃棄する義務が生じ、その履行のために計画が作られ、同条約の会議で監視を受けることになる。

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2014.08.10

鄧小平生誕110周年と左右の争い

凌志军の著書『变化1990——2002年中国实录』を『多維新聞』(8月8日付)がその歴史欄で取り上げ、冒頭次のように書いている。今年の8月22日は鄧小平の生誕110周年に当たるので特に書いたのであろうが、現在の習近平政権をめぐる状況を知るのに役立つ。なお、この書物は2003年に出版されたものであり、多維新聞の記事はその価値を示す結果にもなっている。

「改革開放から今日に至るまで、中国での左右の争いは水と火のように繰り返されてきた。1992年、鄧小平は南巡講話で左派に猛烈な一撃を加え、改革に公然と反対する左派はつぶれガタガタになった。しかし、左翼的思想は中共内部で牢固な勢力を維持し、右の改革派は今でも党内の主流になれていない。凌志军のこの著書は鄧小平が逝去する前後、左派が巻き返し、改革に反対し、2千万の人を反体制者に仕立て上げようとしたことを指摘している。江沢民は中央党校での「五二九」講話(1997年)で左派に反撃し、改革の道の上にある障害を取り払うべきだと指摘した。」

「五二九」講話は全部で約2万字であったが、新華社が発表したのはその4分の1程度であり、報道されたものよりもっと明確に左派批判を行なっていた(紅潮網2012年8月27日)そうである。全文が発表されなかったのは左派の抵抗があったからであることが示唆されているように思われる。さらに、江沢民の処遇についても隠された意味があるのか気になるところである。

なお、拙文「習近平政権の基本方針」『習近平政権の言論統制』(蒼蒼社2014年)は、改革開放の開始から南巡講話までの左右の争いの中で鄧小平が果たした役割を論じており、凌志军の記述につながる形になっている。手前味噌であるがご参考まで。

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2014.08.09

中国雑記(コンゴでのダム建設に関する米中協力など)

○中国の在韓国大使館の高官と武官がそれぞれ外交通商部と国防部を訪れ、韓国がフィリピンに対する武器の供与を中止するよう要求した。かれらは強硬で、もし韓国がどうしても予定通り供与するなら中韓の首脳会談に影響すると言った(8月4日付の韓国の『週刊東亜』の記事を6日付『多維新聞』が報道)
○中国は2013年から米国に対して、コンゴ民主共和国で120億ドルのInga-3ダム建設に協力しようと持ちかけていた。前代未聞の話であり、中国はアフリカへの進出について各国の非難をかわすための戦略の一環として米国と協力しようと言い始めた可能性がある。さる7月の戦略経済対話ではその話に勢いがついてきた(gathered momentum)。
このダムについては何年も前から話があり、決着がついていなかったが、建設されれば世界最大の水力発電ダムになる可能性がある。世界銀行は最近、プロジェクトの評価を始めた。ワシントンで最近開催された米・アフリカ首脳会議では、アフリカにおける発電力の強化が主要議題の一つであり、コンゴのダム建設は同会議のフォローアプとして検討される。(Financial Times 8月5日By Geoff Dyer )

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