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2014.10.28

学生デモと香港の経済人

学生による占拠に対し香港の主要経済人がどのような態度を取るか、非常に微妙な問題になっていることを10月25日付の香港『明報』紙が伝えている。たとえば、長和主席の李嘉誠、恒基主席の李兆基、嘉里主席の郭鶴年および九倉主席の吳光正などは占拠を非難することをひかえている。このことを新華社が報道したが、彼らはそのように報道されると中国政府との関係で困るのであろう。中国政府に何らかの働きかけをしたためか、新華社報道はすぐに取り消された。

しかし、中国網などでは”Hong Kong tycoons reluctant to take side amid Occupy turmoil”という題名でこの記事が見られる。この記事は署名入りで、次のような内容である。
「政治協商会議副主席で前香港政府長官の董建華は24日メディアを通して再度占拠を中止するよう呼びかけた。董建華が率いる香港経済人の代表団は占拠が始まる1週間前に習近平と会った。習近平は彼らに対し、財界人は団結一致して中央と特区政府の下にある香港のために力を合わせよりよい未来を創造するよう要請した。
香港でデモに反対している経済人は董建華ら少数である。李嘉誠は10月15日声明を発表し、デモ隊に帰宅を呼びかけ、「みなさん、今日の激情が明日の遺憾になってはならない」と話しかけたが、デモ隊の要求に賛成かどうかについては態度を明確にしなかった。また、李兆基、郭鶴年、吳光正などの大物は一切沈黙を守っている。習近平と会見した人たちの中では董建華のみが24日の記者会見で、香港警察はデモを処理すべきである、しかし、梁振英長官らはそのようにしていないと明確に述べている。」

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2014.10.27

香港のデモと習近平

香港のデモについて中国政府が頭を痛めていることは間違いない。10月26日の「禁書網」サイトは香港の月刊誌『前哨』11月号を引用して、香港のデモに関して習近平をめぐる権力闘争が再燃していることを伝えている。真偽のほどは分からないが、記録しておいてよいことであろう。要点は次の通り。

○香港政府および香港警察の「反占拠」勢力は中南海の死活をかけた権力闘争に関係がある。占拠を排除するという名目で、全世界のフラッシュライトを浴びながら香港版天安門事件を起こし、すべての困難の責任を他人になすりつけようとする習近平の手を鮮血で染めさせようとする人たちがいる。かれらは、現職・退職の汚職官吏のため、習近平を引きずり下ろす爆薬を仕掛けているのだ。
○9月28日夜10時、中共中央の香港マカオ工作協調小組の張徳江組長、統一戦線工作担当の劉延東副総理、香港中連弁(中国駐香港特別行政区弁公室)の張暁明主任および香港政府の梁振英長官は、武力を用いてでも占拠を排除する意見を共同で提出した。また、これに先立って、デモ隊の中に紛れ込んでいた私服の警察官から、武器の使用が必要であるという意見が上がっていた。
○香港マカオ工作協調小組の李源潮などは、この共同建議に意見を述べず事実上反対の姿勢であったが、習近平はきっぱりと拒否した。李源潮により伝えられた習近平の言葉は次の通りであった。
「絶対に発砲してはならない。天安門事件の教訓を忘れてはならない。発砲を認める者は失脚する。催涙弾も必要でない。打つなら打ってもよいが、彼らが退けばすぐに止めるべきだ。占拠の問題は一歩一歩悪くなり、現在の状況に至った。どのように解決するか、あなた方の問題だ。結論的に言えば、流血は絶対まかりならない。民衆の支持を取り付けよ。香港のことは香港の人民と協議しなければならない。」
○9月28日午後5時58分、最初の催涙弾が撃ち込まれた。その後約8時間の間に、87発の催涙弾が発射された。しかし、デモ隊は一時的に避難しただけですぐに戻ってきた。しかも、それに怒りを覚えた一般市民までが応援に駆け付けた。そして、警察の防衛戦を破るため1万人に近い市民が占拠地をコーズウェー・ベイからモンコクに広げた。その間、警察は引き上げなければ銃を使う準備をしているという噂を流していた。29日1時57分、催涙弾の発射は止まった。
○もし発砲が行なわれていたら、学生がひどいことになっただけでない。習近平もそうなっただろう。そうなれば香港の繁栄は終わっていた。そうなっても張徳江は江沢民の庇護の下で責任をすべて他人に押しつけるのであろう。

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2014.10.24

中国共産党の四中全会で「法治」の推進を決定?

四中全会では「法治」が主要な議題になると、中国の新聞は会議開催前に報道していた。党の意向を受けた報道であることは明らかであった。
党の中央委員会全体会議は5年に1回開催される全国代表大会に次ぐ重要会議である。新政策が決定されることもある。だから、10月の20~23日開催される四中全会(第4回中央委員会全体会議)で「法治」が主要議題になると聞くと、しばし「本当か」と、中国には失礼ながら、考えてしまった。
しかし、四中全会のコミュニケは、「法治」はあくまで「社会主義の特色ある法治」であり、共産党の指導がすべてに優先すること、つまり司法の独立は今後もないことを再確認した。現体制下で真の「法治」などありえないことであり、一瞬でも本当かと考える必要さえなかったのであろう。
四中全会のもう一つの重要事項である、腐敗した大物の処分については、厳しい処分を受けることは決定済みと大方の中国ウォッチャーがみなしていた周永康前政治局常務委員は意外に処分されなかった。同人は石油閥のトップとしての地位を悪用して汚職に走ったのであり、同様に石油関係の人物で、いわば周永康の子分格である蒋潔敏などは噂通り厳しく処分された。
周永康の問題が晴れたわけではないが、政治局常務委員という高い地位であったことと、周永康のさらに上にいる曾慶紅前国家副主席、さらにその上の江沢民がブレーキをかけた可能性もある。習近平は権力を一身に集め、盤石の地位を築きあげている印象があるが、何でも鶴の一声で決めるには程遠いようだ。周永康の処分をめぐって権力闘争が渦巻いていることはやはり間違いなさそうだ。
1年前に開かれた三中全会は、習近平新政権の足固めのためもろもろの措置を決定する重要会議であったが、四中全会は真の「法治」でない法治を推進し、権力闘争で法治がゆがめられることを強く示唆する会議となった。国民の信頼はさらに遠のくのではないか。

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