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2013.06.28

サイバー攻撃と核

サイバー攻撃の脅威はかつての化学兵器や生物兵器の脅威に代わって、あるいはそれ以上の恐れられている感がある。安全保障に関する国際会議では、話題にならないことはない。先の米中首脳会談でも、シンガポールでのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)でもホットなトピックであった。米国内では、国防総省はもちろん、一般の世論においてもほぼ日常的に議論が戦わされていると言って過言でないだろう。
この中で、核兵器の抑止力に議論が及んでいることが懸念される。サイバー攻撃を防ぐために核の抑止力を維持すべきであるという考えであり、当然場合によっては核が使用されることが前提となる。これは健全な考えだろうか。場合によってはサイバー攻撃の発生源を核攻撃するということであろうが、そもそも発生源は明確に特定しえないのではないか。だからこそ、広範囲に敵を無能化する核が必要だというのは危険極まりない発想である。サイバー攻撃の発生源以外の人も何十万、あるいは何百万の単位で殺害されるであろう。そんなことは絶対に許されない。どんなにサイバー攻撃が恐ろしくても。
ワシントン・ポスト紙(2013年6月14日ネット版)に掲載されたRichard A. Clarke and Steven Andreasenの「サイバー攻撃は新しい核抑止政策を正当化しない」は専門的観点から問題点を指摘しているよい論文である。


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