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2014.08.15

北方領土での軍事演習

ロシアは8月12日、北方領土と千島列島で軍事演習を行った。2010年7月以来で2回目になる。千人以上の兵士が参加し、攻撃用ヘリコプター5機、軍用車両100台などを駆使しての演習であり、無人機も参加するというが、これはどういう場面に使われるのかよくわからない。
ロシアによる今回の演習は、ウクライナ問題に関して日本が米欧諸国とともに追加制裁措置を取ったことに対抗して行ったことである。報復措置であろう。プーチン大統領は今秋日本を訪問する予定であったが、ウクライナ危機のためにすでに雲行きが怪しくなっていたところに今回の軍事演習である。両国間の雰囲気はいっそう悪くなってしまったが、今後双方とも冷静に対応していく必要がある。
ロシアを見ていると、日本はロシアの機嫌を取って北方領土を返還してもらおうとしていると思っている節がある。たしかに日本には、プーチン大統領を怒らせてはいけないと用心する人がいるようだが、そんな考えの人は少数だ。今回のロシアの軍事演習に対する日本国民の対応は落ち着いているように思われる。ロシアがそのように考えているとすれば間違いだ。
ロシアは千島列島全体に対して領有権を持たない。日本は、サンフランシスコ平和条約で千島列島を放棄したが、ロシアに譲ったのではない。千島列島は全体で島が20あるとされているが、その20の島全体について法的地位が決まっていないのである。ロシアが占領しているのは事実だが、法的な領有権は別の問題である。つまり、日本もロシアも千島列島に対する権利は主張できない状況にあるが、千島列島の領有権を解決できるのは日本とロシアしかいないのも事実である。北方領土問題は、一皮むけばこのような千島列島の領有権が未決であるという問題があり、北方領土問題だけを解決することは不可能だと思う。
以上は法的立場。これはさておいて、国境問題を解決することにより両国関係を進展させることは日本にとってもロシアにとっても利益である。しかも大きな利益である。しかしながら、ロシアの側にはそのような認識が薄いようであり、したがってまた、国境問題については日本に恩恵を与えるべきかどうかという目で見がちなのであろうが、そのような姿勢では解決しないだろう。ロシアのこの点に関する認識を改めさせることが必要であり、そのためには日本としても積極的に協力すべきである。
一部に、北方領土問題についても妥協が必要だという意見があるようだが、妥協とは何か。安易な独りよがりになってはならない。


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