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2014.06.02

第13回シャングリラ対話

シンガポールで開催されるアジア安全保障会議はアジアのみならず米欧諸国も参加し、その議題は特定の問題に偏ることなく、アジアの主要な安全保障に関する諸問題を取り上げるが、中国の軍と率直な対話ができる唯一の場であり、また、各議題の下での議論に中国が関係することが多いので、実感としては中国との対話が会議全体の半分くらいを占めている。
しかし5月30日から6月1日まで開催された今年の会議(第13回)は、日本の安倍首相が基調演説で名指しこそしなかったが、中国の行動を非難し、国際法に従った行動を求める強い内容の演説(5月31日本ブログ)を行い、また、米国のヘーゲル国防長官も次のような、安倍首相の演説よりもさらに直接的に中国を非難する発言を行なったので、今回の会議は日米両国が他の諸国とともに中国に物申す場となった。

「アジア・太平洋地域は深刻な脅威に見舞われている。南シナ海および東シナ海での領土・海洋紛争、それに北朝鮮の挑発的行動、核兵器及びミサイルの開発などである」
「オバマ大統領が言ったように、米国は世界をリードしていく。もしそうしなければどの国もしないだろう」
「4つの重要点がある。第1に、紛争の平和的解決を促すことであり、航海の自由を含む諸原則を守り、強制、脅し(intimidation)、侵略に立ち向かう。第2に、国際的なルールと規範に従った地域的な協力のメカニズムを作り上げる。第3に、我々の同盟諸国が自力で安全を確保できるように、その能力を向上させる。第4に、我々自身の地域防衛能力を向上させる」
「最近、中国は南シナ海に対する権利を主張してこの地域を不安定化させ、一方的な行動を取っている。中国はスカーボロー礁へのアクセスを制限し、セカンド・トーマス礁におけるフィリピンのプレゼンスに圧力を加え、また、複数の島嶼に対する主権を主張し始め、移動式石油掘削設備を西沙諸島付近に移動した。」
「米国は多国間の領土紛争に介入しないが、どの国であれ、主張を実現するために脅したり、強制したり、武力を行使するのに断固反対する。また、どの国であれ、軍用船あるいは民間船による飛行や航行の自由を制限することに反対する。米国は、国際間の秩序に関する基本的な原則が挑戦を受ければ立ち向かう。我々はそのような諸原則を重要なものと考える。昨年11月、中国が一方的に設定した、尖閣諸島の上空を含む東シナ海の防空識別圏を従わないと声明した。また、尖閣諸島はオバマ大統領が先月明確に述べたように、日米安保条約が適用される」
「中国はWTOで第三者による紛争解決に同意し、ベトナムとの海上での国境紛争を平和的に解決し、ASEANとの友好協力協定に署名したではないか。」
「米国はオバマ大統領と習近平主席が合意した、協力を進め、競争を管理し、ライバルになることを避ける国家関係の新しいモデルを今後も追求する。」
「米国は、サイバー攻撃に関する中国との持続的、実質的な意見交換を支持していく。中国は米中両国の作業部会を停止すると発表したが、我々は今後もサイバー攻撃問題を中国側に提起していく」

これに対する中国代表の発言は『朝日新聞』(6月2日付)が報道しているが、私の感想は次回のブログで。


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