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朝鮮半島

2019.12.31

北朝鮮労働党中央委員会総会で何を決定するのか

 12月28日から、北朝鮮労働党の中央委員会総会が開催されており、31日も継続しているという。このように4日間も続く中央委員会総会は金正恩委員長になってからはもちろん、金正日時代にもなかったことであり、異例中の異例である。

 金委員長は2018年および19年と同様「新年の辞」を発表するだろうから、今次労働党中央委員会総会の意義と結論はその際に明らかになると考えられる。そうであれば明日まで待つのが賢明であろうが、北朝鮮をめぐる状況と米朝交渉の困難さにかんがみれば、「新年の辞」の発表前に問題点を確認しておくことは今後北朝鮮情勢を見ていく上で役に立つであろう。

 最大の焦点は、米国が北朝鮮の主張に一向に歩み寄ろうとしないことに業を煮やして、5月以降ミサイルの発射実験を計13回行い、さらに12月初旬には衛星発射場で「重大な試験」を成功させてきた北朝鮮が、今後、さらなる強硬策に出て、核とICBMなどの長距離ミサイルの実験を再開する、あるいはその方向での決定を行うかである。これは大方の見方であろうが、違った角度から見ておくことも必要ではないか。

 第1に、北朝鮮が対米強硬策を取るのに長い時間をかけて中央委員会を開催する必要性はあるか。強硬策を取るならば、金正恩委員長が命令一本で始められるのではないか。軍事的な行動であればあるほど、悠長に大会議を開くことなどしないのではないかという疑問がある。

 第2に、今次会議で、金委員長は「国の主権と安全保障の完全な確保に向け、積極的かつ攻撃的な措置をとる」と述べる一方で、「国家経済の主要産業部門の深刻な状況を早急に是正するための措置」を提示したのはなぜか。つまり、金委員長が軍事的強硬路線と経済発展重視路線を同時に示したのはどのような意図によるのかが問題となる。
 また、北朝鮮経済について「深刻な状況」と述べたのは異例の発言である。もし、軍事強硬路線をこれから取ろうというのであれば、そのようなことは隠すのではないか。

 金正恩委員長は「革命の最後の勝利のため、偉大なわが人民が豊かに暮らすため、党は再び困難で苦しい長久な闘いを決心した」とも述べている。「深刻な状況」と述べたのは、今後は「軍事より経済優先」という考えなのか、それとも、「軍事重視は今後も必要なので経済的には耐えるしかない」というメッセージなのか。前者であれば対米交渉において北朝鮮は譲歩してくる可能性があるが、後者であれば譲歩せず持久戦を戦うことになろう。同委員長の「新年の辞」を注目したい。

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