中国
2017.04.14
この問題をめぐる米国と中国の関係は複雑だし、それによく変わる。トランプ大統領は4月6~7日に習近平主席と会談したが、記者会見も発表も行われなかった。合意したことが少なかったからだろうが、12日、トランプ大統領はFOXニュースの番組「FOXニュース・ビジネス」のインタビューでシリア攻撃について習近平国家主席に対し説明した時、習氏は次のような反応だったという(翌日の『ハッフィントン・ポスト』報道による。読みやすくするため若干手を加えた)。
「習氏は10秒くらい何も言わなかったが、通訳を通じて『もう1度言ってほしい』と聞き返してきた。それから習氏は『小さな子供や赤ん坊にまで化学兵器を使う残忍な人には、ミサイルを発射しても大丈夫だ』と言った。習氏は怒らなかった。大丈夫だった。」
このほか、両者の会談では、トランプ氏から中国が一層努力すべきだと説得したのは間違いない。しかし、これだけであれば何十回と試みたことの繰り返しに過ぎないが、トランプ氏はさらに、「私は中国の習近平主席に説明した。中国が北朝鮮問題を解決するなら、米国との通商交渉ははるかによいものとなると」言っていた。これは11日のツイッターで述べたことであり、この発言はいかにもトランプ氏らしい。「カネで釣ろうとしている」とも解される恐れのある発言だが。
一方、習氏は、中国の影響力には限界がある、話し合いで解決することが必要だと述べたのだろう。米側からの求めで両氏が12日、再び電話会談した際、やはり「習近平主席は平和的な方法で問題を解決すべきだ」と述べたと中国外務省が説明している。習氏は同じ姿勢だったのだ。
トランプ氏が電話したのは、空母と攻撃能力が高い潜水艦を朝鮮半島に派遣したことを伝えるためだったと言われている。米国の本気度を示そうという気持ちもあったと思われる。
以上は、米中関係がこれまでとあまり変化がないことを示しているが、進展しつつあることを示唆することも出てきた。
12日、安保理はシリアで化学兵器が使われた疑惑について、同国政府に調査への協力を求める決議案の採決を行った。ロシアが拒否権を行使して廃案となったが、中国は棄権した。
翌日、スパイサー大統領報道官は記者会見で「 China’s abstention is a significant win for the President. He went down and had discussions with President Xi and I think you all saw that, heard his remarks about how he walked through. It really shows the success of the trip, first and foremost.」と述べた。トランプ大統領が習近平主席に働きかけたので中国は「ノー」でなく「棄権」にとどめたというのだろう。
トランプ大統領自身も、「12日の一連の会見やインタビューで、習近平主席との「絆」に言及した」(12日、ロイター電)。「習近平国家主席は適切に行動しようとしている。(中国に向かった北朝鮮の石炭貨物船が引き返したとし)中国が懸命に努力しようとしている」と評価した(『朝日新聞』14日付)。
また、就任前から繰り返し中国批判を180度転換させ、中国を為替操作国には認定しないとの意向を示した(12日、『ウォールストリート・ジャーナル』)。
中国は米国に対し一定の配慮はしているだろうが、トランプ大統領は変わり身が早く、予測困難であり、基本的にはこれからも警戒し続けるだろう。
同時に、「一つの中国」問題で中国側が断固とした姿勢でトランプ大統領を変えさせたことから、トランプ大統領は意外とくみしやすいという見方が中国にあるようだ。分からないでもないが、中国の指導者がそこまで自信を持てるようになっているとは思えない。
ともかく、そのような可能性も含めて米中関係を見ていく必要がありそうだ。
トランプ大統領と中国
北朝鮮は第6回目の核やミサイルの実験を強行するか、もしそうすれば米国は先制攻撃するか。今世界の注目はこの点に絞られている感があるが、米国が先制攻撃する可能性は低いことを4月13日、当研究所HPの「トランプ大統領は北朝鮮攻撃を決断するか」で書いた。この問題をめぐる米国と中国の関係は複雑だし、それによく変わる。トランプ大統領は4月6~7日に習近平主席と会談したが、記者会見も発表も行われなかった。合意したことが少なかったからだろうが、12日、トランプ大統領はFOXニュースの番組「FOXニュース・ビジネス」のインタビューでシリア攻撃について習近平国家主席に対し説明した時、習氏は次のような反応だったという(翌日の『ハッフィントン・ポスト』報道による。読みやすくするため若干手を加えた)。
「習氏は10秒くらい何も言わなかったが、通訳を通じて『もう1度言ってほしい』と聞き返してきた。それから習氏は『小さな子供や赤ん坊にまで化学兵器を使う残忍な人には、ミサイルを発射しても大丈夫だ』と言った。習氏は怒らなかった。大丈夫だった。」
このほか、両者の会談では、トランプ氏から中国が一層努力すべきだと説得したのは間違いない。しかし、これだけであれば何十回と試みたことの繰り返しに過ぎないが、トランプ氏はさらに、「私は中国の習近平主席に説明した。中国が北朝鮮問題を解決するなら、米国との通商交渉ははるかによいものとなると」言っていた。これは11日のツイッターで述べたことであり、この発言はいかにもトランプ氏らしい。「カネで釣ろうとしている」とも解される恐れのある発言だが。
一方、習氏は、中国の影響力には限界がある、話し合いで解決することが必要だと述べたのだろう。米側からの求めで両氏が12日、再び電話会談した際、やはり「習近平主席は平和的な方法で問題を解決すべきだ」と述べたと中国外務省が説明している。習氏は同じ姿勢だったのだ。
トランプ氏が電話したのは、空母と攻撃能力が高い潜水艦を朝鮮半島に派遣したことを伝えるためだったと言われている。米国の本気度を示そうという気持ちもあったと思われる。
以上は、米中関係がこれまでとあまり変化がないことを示しているが、進展しつつあることを示唆することも出てきた。
12日、安保理はシリアで化学兵器が使われた疑惑について、同国政府に調査への協力を求める決議案の採決を行った。ロシアが拒否権を行使して廃案となったが、中国は棄権した。
翌日、スパイサー大統領報道官は記者会見で「 China’s abstention is a significant win for the President. He went down and had discussions with President Xi and I think you all saw that, heard his remarks about how he walked through. It really shows the success of the trip, first and foremost.」と述べた。トランプ大統領が習近平主席に働きかけたので中国は「ノー」でなく「棄権」にとどめたというのだろう。
トランプ大統領自身も、「12日の一連の会見やインタビューで、習近平主席との「絆」に言及した」(12日、ロイター電)。「習近平国家主席は適切に行動しようとしている。(中国に向かった北朝鮮の石炭貨物船が引き返したとし)中国が懸命に努力しようとしている」と評価した(『朝日新聞』14日付)。
また、就任前から繰り返し中国批判を180度転換させ、中国を為替操作国には認定しないとの意向を示した(12日、『ウォールストリート・ジャーナル』)。
中国は米国に対し一定の配慮はしているだろうが、トランプ大統領は変わり身が早く、予測困難であり、基本的にはこれからも警戒し続けるだろう。
同時に、「一つの中国」問題で中国側が断固とした姿勢でトランプ大統領を変えさせたことから、トランプ大統領は意外とくみしやすいという見方が中国にあるようだ。分からないでもないが、中国の指導者がそこまで自信を持てるようになっているとは思えない。
ともかく、そのような可能性も含めて米中関係を見ていく必要がありそうだ。
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