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2017.10.19

憲法9条は改正すべきか

 憲法9条を改正することについて、検討すべき問題があると思う。

①「自衛」、したがってまた「自衛隊」が憲法に違反しないことはすでに60年以上も前に憲法の解釈として認められたことであり、今や、大多数の国民にその解釈は受け入れられている。憲法を改正する必要性はないのではないか。

②「自衛隊」という名称が不適切であれば、適切な名称に変更すればよい。たとえば、「国防軍」でも「防衛軍」でもよい。それには「自衛隊法」を改正すればできる。9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」は、このような名称変更にとって絶対的な障壁ではない。
「自衛隊は軍隊でない」ということは国会で政府が繰り返し述べてきたことであり、だから「自衛隊」という名称は変更できないという考えになりがちだが、この国会答弁を修正するのは絶対的にできないとみなす必要はないのではないか。自民党案のように9条を改正して「自衛隊」を書き込んでも過去の国会答弁は自動的に修正されるのではない。

③9条は、日本が先の大戦にどう向きあうかにかかわっている。現在の9条は、日本語としてもほめられるものでない。論理についても問題があるが、それらは技術的な問題である。
9条は、日本が戦争を起こしたこと、かつ、その結果に基づいて再出発したという歴史的事実と密接な関係がある。
 戦争については、日本は努力して反省をしてきたが、戦争のすべての局面が整理されているわけではない。一部には、日本は悪くなかったと主張する向き、戦争指導者を靖国神社に祀ることをあきらめられない考えも存在している。
 そんな状況の中で、9条は日本国と日本国民が戦争について忘れたり軽んじたりしないための重要な記念塔であり、安易に手を付けてはならないのではないか。

④「自衛隊」であれ、「防衛軍」であれ、日本にとってかけがえのないパワーであるが、かつての旧軍のように日本を誤らせないためのカギとなるのは「文民統制」である。しかるに、現憲法には、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」(66条2項)と定められており、政府はこれで問題ないと答弁してきたが、南スーダンへの自衛隊の派遣をめぐってこの規律だけでは不十分なことが露呈された。
 文民統制は複雑かつ困難な問題であり、自衛隊について9条の改正問題に飛ぶのではなく、まずこの問題の徹底的な検討をすべきでないか。
 

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