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朝鮮半島

2017.03.10

(短評)朴槿恵大統領の罷免

 3月10日、韓国の憲法裁判所は、先の国会での朴槿恵大統領の弾劾は適法だとの判断を下し、罷免を宣告した。60日以内に新大統領を選ぶ選挙が行われる。
 昨年10月に朴槿恵大統領の側近をめぐるスキャンダルが発生して以来韓国の政治は不安定な状態に陥り、大統領の罷免を求める世論は約77%と圧倒的な比率になっていた。今回の憲法裁判所の決定について多数の韓国民は歓迎するだろうが、政情がさらに不安定化するのは避けられない。
 韓国は日本にとって最も重要な国の一つであり、すでに慰安婦少女像問題をめぐってぎくしゃくしている日韓関係を早く改善させたい。しかし、新大統領の下で日本との関係が改善されるか、明るい展望は見えてこない。

 選挙結果を過早に先取りすべきでないし、今後2カ月間の変化も勘案しなければならないが、最有力候補は野党「共に民主党」の指導者の文在寅氏であり、その支持率は他の候補と見られている人たちを大きく引き離している。朴槿恵大統領を弾劾した韓国内の熱気は当分の間冷めないだろうから文在寅氏が新大統領に選出される公算は大きい。
 かりに文在寅氏が新大統領になれば、国家の指導者にふさわしい振る舞いを期待したいが、野党時代の言動には日本から見て懸念されることが少なくなかった。
 今問題になっている慰安婦問題については少女像の撤去に消極的であり、一度撤去した釜山市当局を批判したこともあった。2015年末の両政府間合意については再交渉を要求している。
 竹島には2016年7月25日、上陸した。
 日本との関係、とくに歴史問題については解決したい考えのようだが、両国関係の基本である1965年の日韓基本条約についてどのような姿勢か不明だ。印象的には再交渉を求めているようにも感じられる。
 
 中国については関係改善が韓国外交の最重要課題と位置付けている。THAADの配備については消極的だと見られているが、明確な態度表明を行っておらず、そのため批判も受けている。
 
 文在寅氏の特徴は廬武鉉大統領との類似性、緊密性である。文氏は廬武鉉氏と同様弁護士で市民運動から政治に身を投じ、廬武鉉政権では大統領室長を務めた。当時、国連における北朝鮮人権決議案への賛否を北朝鮮に事前に問い合わせた上で、棄権の判断を下したことが判明している(盧武鉉政権時に外交通商部長官を務めた宋旻淳の回顧録)。
 これはいわゆる太陽政策に熱心であった廬武鉉大統領の指示の下で行ったことだろうが、文在寅氏も北朝鮮との関係でどのような姿勢をとるか懸念される。
 文在寅氏が大統領となった場合、日本とも、また米国ともスムーズな関係にならないおそれがある。廬武鉉大統領は就任当時、日本と前向きな姿勢で関係を増進させていきたいという姿勢であったが、後半には日本との関係が悪化した。
 文在寅氏の場合は新大統領に就任した時点から厳しい日韓関係に直面することになる。就任した当時の状況は朴槿恵大統領と似ているが、朴槿恵氏のように、対日、対米関係の重視に転じることができるか。残念ながら否定的な材料が多いが、日本としては忍耐強く対応していく必要がある。

 なお、現在一時帰国中の長嶺駐韓国大使を一刻も早く帰任させるべきである。韓国内で巨大な変化が起こっているのに日本の大使がソウルにいないのは許されない。
 

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