平和外交研究所

3月, 2014 - 平和外交研究所

2014.03.31

習近平の5つの現代化

習近平は「普遍的価値」「憲法政治」「政治改革」などをいずれも拒絶する一方、昨年秋の3中全会では「国家のガバナンス(治理)の体系と能力の現代化」を唱えた。農業、工業、科学技術および国防の4つの現代化に加えて第5番目の現代化である。かつて魏京生(文革後民主化運動の先頭に立ち、鄧小平をも批判して逮捕された。仮釈放された後、天安門事件で当局の対応を批判したため再度逮捕され、人権団体や外国政府の圧力により釈放され事実上国外追放となった。現在米国などで活動を続けている)も5つの現代化を唱えていたが、それは西欧型の民主政治を目指すことであった。習近平の5つの現代化は、もちろんこれとは異なり、統治能力を高め、体制にあった系統的調整を重視している(多維新聞3月29日付)。

2014.03.29

烏坎村事件と党の反撃

烏坎村事件で村民委員会の委員として共産党支部と戦った庄烈宏は今次全国人民代表大会の選挙前、米国で政治亡命を求めた。同人を取材した香港のメディアに対し、同人は当局の報復が恐ろしいので帰国できないと語った。烏坎村では3月31日、当時やはり抗議事件に参加した2名の村民委員が襲撃に遭っている(3月27日付多维新闻)。
 烏坎村事件は2011年秋、広東省の烏坎村で起きた。共産党支部と当時の村民委員会の幹部が住民の同意をえないまま土地を開発業者に不正に売却し、村民にはごくわずかな補償金しか払われなかった。村民は何回も陳情を繰り返したが、どうしても聞き入れてもらえなかったので実力でバリケードをはり、対抗した。事件はその後広東省党委員会にまで上げられ、その時は党側が折れる形で解決した。
この事件は、中国で1年間に数万件発生しているいわゆる「群体性突発事件」の代表的な例として、また、村民側が党支部の圧力を跳ね返し、方針を変えさせた例として注目された事件であるが、この報道のような仕返しが行われているとすれば、烏坎村事件のみならず群体性突発事件についての認識を改めなければならなくなる。

2014.03.27

中国不動産市場の過熱

中国各地で建造しても入居者がいないマンションや建築が中断されている建物が問題となっている。英デーリー・テレグラフ紙は17日、中国の『経済日報』に基づき、寧波の不動産開発業者、浙江興潤不動産購入投資会社が5.7億元の負債をかかえ倒産の危機に瀕していることを報道している。野村証券の張智威によれば、「これは近年破産の危機に瀕した最大の不動産開発業者だ。不動産市場の激烈な調整は中国のシステム危機に発展する恐れがある。三四線(北京と上海は一線、天津は二線)の都市で特に危険が大きい。これらの都市での住宅建設は、2013年に全国の67%を占めている」「入居者がいない、あるいは建築が途中で中断している「鬼城」はオルドス(内蒙古)、温州からさらに8つの都市に広がっている。遼東半島の営口の不動産開発業者3社は半分建てただけで放棄し、外地へ逃れている。冀州と銅川も同様である」(多維新聞3月19日付)

「鬼城」については新華社など政府系メディアも報道している。問題はその程度であり、このアナリストの見方は、それが今後さらに悪化し、中国のシステム危機に発展する恐れがあるというものである。そこまで悪化するとは言えないにしても、不動産問題は地方政府の財政収入、農民の生活手段の喪失などの危険を伴う、現中国経済の主要問題の一つである。

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