平和外交研究所

2013年10月

2013.10.25

三中全会の見どころ

「360図書館(個人図書館と称するサイト)」の「18期3中全会に関し知っておかなければならない10の事項」と題する論文。
著者の王志浩(チャーター銀行中国部の首席エコノミスト)は、今次会議の焦点として、
政府機構の簡素化、政府の経済への関与(承認など)権限の縮小、地方財政に持続可能な収入を与えること、予算制度改革による資金支出の効率化、地方政府の現在および将来の債務処理など地方の財政再建の必要性を指摘している。
一方、国有企業については、「国有企業改革が今次会議で大いに議論されることを望む」「しかし、この問題はあまりにもデリケートである」「国有企業改革は「優勝劣汰」の過程にあり、会議の結論文書には盛り込めないかもしれない」「公共サービスの価格引き上げ、企業利潤の調整、利率改定、鉄道・医療などの民営化などにより現在の国有企業優越の経営環境は大きく変化するだろう」「地方政府の融資限度の引き下げにより国有資産を売却することが必要になる。レストラン、商業施設、ビジネス用ビルについてはすでに始まっている。さらに次の段階へ進んで工業資産にも及ぶことが期待される」など述べ、最後に、国有企業改革は別の名目の下に間接的に進められる可能性がある、ただし漸進的に改革されるのはよいが、時間がかかりすぎるのは問題だと指摘している。

2013.10.24

中ロ両首相共同声明

中国の李克強首相とロシアのメドベージェフ首相の会談が行なわれ、終了後共同声明が発表された。そのなかで、これまで中ロ間の共同声明ではいつも使用されてきた「非同盟(中国語の原文は「不結盟」)」という言葉が消え、「非集団化」という新しい言葉が使用されていると10月23日の『多維新聞』が論評している。
現在わが国でアクセスできる人民日報など中国の公式メディアでは、両首相の会談で貿易・投資の促進、航空・宇宙・原子力・ハイテク・イノベーション分野の共同研究開発と共同生産協力、エネルギー面での包括的・戦略的協力、青年などの人的・文化交流の緊密化、国連・上海協力機構・BRICS・G20など多国間枠組みでの協調などが合意されたこと、会談後に「第18回中ロ定期首相会談共同声明」が署名されたことなどが説明されているが、共同声明の内容については何もなく、何らかの理由で発表が遅れているようである。確認しなければならないが、発表されないかもしれない。
多維新聞は次のような説明も行なっている。
「「非同盟」の語がなくなったことは中ロ両国が連携して米国に対応することを意味している。」
「中国の外交は、これまでの敵と友人を区別しない政策をあらため、遠近や親疎をはっきりさせ、対象目標を明確化しつつある。」
「「非集団化」については、中ロ両国が同盟関係にあるというのは現実的でなく、アジア・太平洋地域においてこれまでと異なる新しい「联盟(原文通り)」を樹立しようとする意味がある。」(注 「集団化」は米国の主導で行なわれてきた協力のことらしい)
「共同声明は二国間の問題の他、国際的なホットスポットや世界秩序にも触れており、「紛争や意見の相違を平和的方法で解決する」とは、中国とアジア太平洋諸国との領土・領海に関する紛争(原文は「纠纷」)について述べたものである。中国は一貫して外部勢力が南シナ海および「釣魚島」問題に関与することに反対してきた。「中ロ双方は、アジア太平洋の諸国とともに(原文は「一道」)」という意味は、ロシアが今後これらの問題の解決に参画する(原文は「参与」)ということである。」

2013.10.23

中国の言論統制強化

中国の国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局は最近、全国の新聞やテレビ、通信社、雑誌などの記者25万人にマルクス主義などを学ぶ研修を義務付け、来年1月から2月にかけて、統一の免許更新試験を実施すると発表した。研修テーマは「マルクス主義報道観」「中国の特色ある社会主義」「虚偽報道の防止」など6項目。このことが報道されたのは10月12日である。免許更新試験に合格しなければ記者活動はできなくなる。言論に対する革命路線に従った厳しい締め付けであり、習近平が8月の講話において強調した思想性重視の一環である。
中国において、言論の自由がほとんど認められていないのは誰でも知っていることである。その厳しい状況にあっても、中国の言論人は客観的な報道に少しでも近づこうと努めている。温州付近で起こった高速鉄道事故の際には比較的自由な報道が増え、内外から注目を浴びていた。
しかし、習近平政権は言論を厳しく統制する姿勢を見せている。その一つの表れが、インターネットにおける意見表明を厳しく取り締まることであり、中国当局は無責任、あるいは事実でないと当局が判断する投稿を許さず、それに背いた者数名~数十名を逮捕している。
さらに、中国では比較的自由な報道で知られる羊城晩報グループの『新快報』は、次のような記事を掲げた(中国のインターネットや海外の報道機関が転載し始めたのは10月23日)。
「読者の皆様。我々の新聞記者、陳永洲が中聯重科(正式名は「長沙中聯重工科技発展股分有限公司」)の財務問題について報道したことに関し、長沙警察に連行されました。被疑事実とされたのは「商業上の名誉信用を損なったこと」とされています。これに対し我々は、「釈放を求める。我々はちっぽけな報道機関であり、お金もないが、気骨と誇りは持っている」と大声で叫びます。」
中聯重科は中国の代表的な建設機械・重機械大手メーカーであり、2008年イタリアのCIFA社の株式買収後、世界最大のコンクリート機械メーカーになった。本社は湖南省の長沙。企業の財務状況に関して報道したことを理由に逮捕されるのではたまらない。この事件に象徴されている中国の言論統制は危険性をはらんでおり、対外関係の報道にも影響は不可避であろう。

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