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中国

2013.09.14

朱建栄氏の拘束

1986年以来日本に居住し、東洋学園大学の教授を務めている朱建栄氏が中国当局に拘束されている。7月中旬に上海へ到着して以来しばし行方が分からなくなっていたが、非公式に消息が伝えられるようになり、9月11日の記者会見では、中国外交部の報道官が、同氏が当局に拘束されていることを強く示唆する発言を行なった。
同氏は、日本の言論界でもっとも活躍している中国人学者の一人である一方、中国政府と密接な関係があるとも見られている。今回拘束されたことについて中国の報道官は、朱氏は中国人として法律を順守しなければならないなどと述べているようであるが、中国当局は法律にしたがって拘束していることをきちんと説明できるか。朱氏の人権を侵害していないかなど、問題はありそうだ。
今回中国当局がこのような挙に出た理由については、対日関係上の意図があったとする見方もある。それを否定するわけではないが、中国は思想工作面(この内容は非常に広く言論統制なども含む。薄熙来の問題とも関連する)で現在なかなか困難な状況にあり、インターネットに対するコントロールを強化し、当局が好ましくないと思う言説をネット上で流している人を相次いで逮捕している。今秋の中央委員会総会に向けて習近平主席としても難しいかじ取りを強いられており、中国内にはかなりの緊張があるようだ。このようなことは日本ではもとより、中国にいても外国人にはわかりにくい状況である。中国のことをよく知っている朱建栄氏も油断していたのかもしれない。国内が緊張状態にある場合、当局が過剰に反応する傾向があるのは過去にもみられたことである。朱建栄氏の拘束もそのような状況を背景に見ていく必要があるのではないか。



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