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2014.04.23

台湾の南シナ海に対する主権主張

南シナ海の「牛の舌(南シナ海の全域、中国語では九段線)」に対し中国は主権を主張しており、その関係でやはり南シナ海の島礁に対し主権を主張する東南アジア諸国との間で争いが生じており、また、そのために中国と米国との間でも意見の不一致が生じているのは周知のことである。
米国政府は、このような領土主権に関する争いは平和的な話し合いで解決すべきであるという立場を従来から堅持しているが、米国にはこの問題に台湾をかませるべきでないかという意見が研究者の間にあり、今回のオバマ大統領の4カ国訪問に際しても、米国は台湾に南シナ海にたいする立場をあらためてはっきりさせるのがよい。そうすることによって中台間にくさびを打ち込むことができる、と言われているそうである。

台湾の南シナ海に対する立場は「主権は台湾にある。争いは棚上げする。平和互恵。共同開発」ということである。馬英九総統は一貫してこの立場を貫いており、台湾国防部の夏立言副部長も4月初め米国で台湾の立場はまったく変わらないと答えつつ、この問題について台湾を引き込むことは地域全体にとって有益でないと述べていた。

米中の間にある台湾にとってこれは非常に複雑、困難な問題である。中国は南シナ海と同時に台湾も自国の領土であると主張しており、両者は一体の戦略である。一方、台湾は、米国が台湾を防衛することを絶対的に必要としており、中国と同じ戦略はとれない。にもかかわらず南シナ海に対して中国と同様主権を主張することは、自己に都合のよいことだけを主張するものであり、それは許されない。
上記の米国の研究者は、このような台湾の主張が矛盾している面を突き、台湾は中国に対して台湾の立場は異なることを示すべきであり、その結果中台間の関係が悪化してもむしろそれは歓迎すべきことであるという考えである。
(4月22日付の『多維新聞』の記事に、若干の解説を加えた。)

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2014.04.22

オバマ大統領の訪日

主要点は次の通りだと思う。

○国賓としての訪日
日本政府が国賓にこだわった理由。
米国の大統領は実務的な訪問を好む。
天皇陛下との会見は政治の問題でないが、日本国としてオバマ大統領の訪日を重視していること示す意味がある。
 
○日程
日本が第1の訪問国であることに特別の意味があるとは、理屈からして思わないが、しかし、最初の訪問国であることは喜びたい。
米国は日本に2泊することに合意したのは日本との関係を重視しているからである。
迎賓館に宿泊しないのは孤立して、米大使館との協議などが不自由になると考えたからだ。

○目的
中国の台頭、ロシア(ウクライナ)の問題、があり、また、米国は太平洋における役割を見直し、軍事力をリバランスさせるという大きな戦略的枠組みの一環としての4カ国と訪問。
日本との同盟関係の重要性を再確認し、固めること。
日本との間では過去1年の間に慰安婦、安倍総理による靖国神社参拝などの関係で日米の考えが一致しなかったことも背景の一つ。

○TPP
オバマ大統領がTPPを重視していることは明らか。
今回の訪問で合意の発表にまでこぎつけることは困難であろうが、今後交渉を進めていくのに弾みをつけたいという考えはある。

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2014.04.20

習近平の人事構想か

中国雑記として記載したほうがよいかもしれないが、一つのトピックとして、4月18日付『多維新聞』の報道を紹介する。

「習近平が最高指導者となって以来、自分に近い人物を抜擢していることは周知のことである。しかるにロイター社は7人の消息通の話として、習近平は今後数年間に200名近い浙江省の優れた人材を抜擢し、中央政府の要職につける計画であると報じており、注目を集めている。確認されていないことであり、可能性は低いと見るべきかもしれないが、多維新聞はこの報道より先に、習近平は行政、組織(人事)、党建設、経済、宣伝などキーポストに、多数の「よく知っている人」を起用していることを報じていた。そのなかには、大学の同窓生である陳希(党中央組織部常務副部長 つまり同部のナンバー2)、中学時代から旧知の劉鶴(国家発展改革委員会副主任、中国経済の立て直しを託されているキーマン)、かつての部下であった何毅亭(中央党校常務副校長、同校のナンバー2)、李書磊(福建省委員会の宣伝部長)なども含まれている。しかしさらに多いのが、習近平が河北、福建、浙江、上海で勤務していた時の同僚、将官、近親であり、なかでも多いのが浙江である。なぜ浙江省の官吏が異彩を放っているかであるが、浙江省は習近平の施政の実験場という特殊な地位にあるからである。」

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