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2021.07.15
「重大な軍事活動」については、いったん発表され、すぐ取り消された後、6日間後に再び実施されることが発表されたのであり、異例の発表を行った中国当局の真意について憶測が生まれていた。
米系の『多維新聞』などは、麻生副首相が5日に行った台湾に関する発言、すなわち、「中国が台湾に侵攻した場合『存立危機事態』にあたる可能性がある」との趣旨の発言と関係があり、中国はその発言に不満であることを示そうとしたのではないかと報道している。
また中国外務省の趙立堅副報道局長は6日の定例会見で、麻生発言について、「強烈な不満と断固とした反対を表明する」、「(麻生氏の発言は)誤っており、危険だ」、「(過去の日本の侵略の歴史に触れて)現在の中国はすでに当時の中国ではない。いかなる方式であっても台湾問題に介入することは絶対に許さない」と述べ、日本側に抗議したことを明らかにした。
さらに台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室も同日、「台湾問題に干渉する一切の誤った言動をやめるよう求める」とする報道官のコメントを発表した。
麻生副首相の発言を中国がどのように見たかについては、これらの反応以上に我々が推測を加えるべきでないが、中国側では今後さらなる反応や反発があるか、また日本側でも類似の発言が続くか、注目しておく必要はあるだろう。
中国の演習予告取り消しと復活
中国海事局は7月12日、黄海の2つの地域において同日12時から16日12時まで、「重大な軍事活動」を行うので船舶はその期間中当該海域に進入できないと発表した。また、この発表に先立ち、同月5日と6日に、黄海中部においてミサイルの残骸が落下すること、および「重大な軍事活動」が行われることが発表されていたが、後者は6時間が経過しないうちに取り消された。「重大な軍事活動」については、いったん発表され、すぐ取り消された後、6日間後に再び実施されることが発表されたのであり、異例の発表を行った中国当局の真意について憶測が生まれていた。
米系の『多維新聞』などは、麻生副首相が5日に行った台湾に関する発言、すなわち、「中国が台湾に侵攻した場合『存立危機事態』にあたる可能性がある」との趣旨の発言と関係があり、中国はその発言に不満であることを示そうとしたのではないかと報道している。
また中国外務省の趙立堅副報道局長は6日の定例会見で、麻生発言について、「強烈な不満と断固とした反対を表明する」、「(麻生氏の発言は)誤っており、危険だ」、「(過去の日本の侵略の歴史に触れて)現在の中国はすでに当時の中国ではない。いかなる方式であっても台湾問題に介入することは絶対に許さない」と述べ、日本側に抗議したことを明らかにした。
さらに台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室も同日、「台湾問題に干渉する一切の誤った言動をやめるよう求める」とする報道官のコメントを発表した。
麻生副首相の発言を中国がどのように見たかについては、これらの反応以上に我々が推測を加えるべきでないが、中国側では今後さらなる反応や反発があるか、また日本側でも類似の発言が続くか、注目しておく必要はあるだろう。
2021.07.07
習主席は、「世界には国連を中核とする国際体系しかなく、国連憲章が唯一のルールだ」と米国を意識した発言を行いつつ、「中国が望むのは自らの発展であり、他人に取って代わることではない。『一帯一路』を唱える目的は共同発展のチャンスを作り出すことであり、欧州が平和と安定、発展と繁栄をともに守ることを希望する」などと訴えたという。ただし、これは中国国営中央テレビ(CCTV)のウェブサイトの報道であった。
中仏独の首脳会談が行われた背景には、中国に対し米国が欧州諸国と連携して厳しい態度で臨んでいることがある。欧州諸国は、基本的には米国と同様、香港や新疆における人権問題、南シナ海での国際ルールを無視した中国の行動に批判的であるが、米国と欧州が完全に一致しているわけではない。中国としては仏独両国が今まで以上に米国との足並みをそろえることを牽制し、また中国に対する各国の厳しい見方を緩和しようとしたのであろう。
欧州のビジネス界は中国の国家資本主義的行動に批判的でありながら、一方では中国企業との関係になお期待を抱いている。欧州の有力なビジネスロビー団体「欧州産業ラウンドテーブル(ERT)」が6月5日、EUの首脳に対し行った要請にも中国に対する硬軟両様の考えが表れていた。
中国ではこのような動きを注視し、ビジネス界にも働きかけている。習主席はマクロン仏大統領やメルケル独首相との会談で、中国としてはビジネス関係者などの往来を容易にする「ファストトラック」について制度を整える意向も示したという。
しかし、中国による仏独への働きかけが奏功するか、全般的な状況は不透明である。最大の懸案となっている中欧投資協定も成立の見込みは立っていない。
中仏独は3か月以内に第2回会談を行うこととしたというが、そこにも状況の不透明さが表われている。
中仏独首脳会談
中国の習近平国家主席、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相が5日、オンラインで会談した。習主席は、「世界には国連を中核とする国際体系しかなく、国連憲章が唯一のルールだ」と米国を意識した発言を行いつつ、「中国が望むのは自らの発展であり、他人に取って代わることではない。『一帯一路』を唱える目的は共同発展のチャンスを作り出すことであり、欧州が平和と安定、発展と繁栄をともに守ることを希望する」などと訴えたという。ただし、これは中国国営中央テレビ(CCTV)のウェブサイトの報道であった。
中仏独の首脳会談が行われた背景には、中国に対し米国が欧州諸国と連携して厳しい態度で臨んでいることがある。欧州諸国は、基本的には米国と同様、香港や新疆における人権問題、南シナ海での国際ルールを無視した中国の行動に批判的であるが、米国と欧州が完全に一致しているわけではない。中国としては仏独両国が今まで以上に米国との足並みをそろえることを牽制し、また中国に対する各国の厳しい見方を緩和しようとしたのであろう。
欧州のビジネス界は中国の国家資本主義的行動に批判的でありながら、一方では中国企業との関係になお期待を抱いている。欧州の有力なビジネスロビー団体「欧州産業ラウンドテーブル(ERT)」が6月5日、EUの首脳に対し行った要請にも中国に対する硬軟両様の考えが表れていた。
中国ではこのような動きを注視し、ビジネス界にも働きかけている。習主席はマクロン仏大統領やメルケル独首相との会談で、中国としてはビジネス関係者などの往来を容易にする「ファストトラック」について制度を整える意向も示したという。
しかし、中国による仏独への働きかけが奏功するか、全般的な状況は不透明である。最大の懸案となっている中欧投資協定も成立の見込みは立っていない。
中仏独は3か月以内に第2回会談を行うこととしたというが、そこにも状況の不透明さが表われている。
2021.06.29
開催が賭けであること、危険を冒さなければならない理由はいまだ何も示されていないこと、細かい規則を定めている「プレーブック」は完ぺきに実行することはできない危険が大きいことなどはすでに指摘したが、新たに水際対策の欠陥が露呈してきた。
東京五輪・パラリンピックに参加するため日本にすでに入国した選手や関係者の中に、新型コロナウイルスに感染していた人がまじっていることである。6月に入国したウガンダ選手団の2人、またそれより以前に入国したフランス1人(2月)、エジプト1人(4月)、スリランカ1人(5月)、ガーナ1人(6月)である。フランスは東京大会関係者、エジプトはコーチ、スリランカはスタッフ、ガーナはサッカー選手だという。
日本政府は外国人の入国を原則として認めていないが、「特段の事情」がある人、例えば帰国日本人は次の条件の下に認めている。
〇日本への出国前72時間以内の検査で「陰性」であった証明書の提出。
〇日本への入国後14日間、自宅などでの「待機」。
〇コロナ感染の危険が高いと疑われる場合、入国後3日~数日間の「隔離」。
東京五輪・パラリンピックで「特例入国」する選手や大会関係者については、14日間の「待機」を免除しているが、日本入国時にウイルス検査を行い、陽性者は隔離し、陰性者は入国させている。
しかし、この仕組みが機能していないことをウガンダの選手などは実証した。日本の水際対策は「ザル」だと言う人もいる。
水際対策が機能しない理由はさまざまだが、例えば、空港での検査が抗原検査という簡易検査であり、感染を発見できないことが一つの理由とされている。
どのような理由があっても、日本へのウイルスの持ち込みは防止しなければならない。それができなければ、選手たちを大会期間中無菌状態にしておくための、いわゆるバブルにもウイルスが持ち込まれることになる。
現在組織委員会で対策が検討中だというが、真に有効な対策を講じることは可能か。疑問は増大するばかりである。
根本的な問題は検査体制があまりにも弱いことである。今後日本に到着する五輪・パラリンピック関係者の数は、大会組織委員会は約9万4000人と見込まれている。最近は6万8000人くらいだという数字も出てきている。昨年の延期決定以前には20万人規模とされていたので、半減以下になっているが、それでも検査体制と対比してあまりにも多い。
空港での検査を抗原検査という簡易検査にせざるを得ないのはそのためであり、もし正規のPCR検査にすると空港は検査待ちの五輪・パラリンピック関係者であふれかえることになろう。
詳しくは述べないが、濃厚接触者の判断をどの機関が行うかという問題もある。ウガンダ選手団の場合、うち1人が検疫で新型コロナウイルス陽性となったにもかかわらず、同行者は事前合宿地の大阪府内に移動してから調査を受け、成田到着から3日後に全員が濃厚接触者と判定された。これではウイルスを保持している可能性が高い人が日本国内に散ってから、判断されることになる。だが、国は「滞在先の保健所が対応する」と言い、自治体は「政府の空港検疫で留め置くべきだ」と、足並みはそろっていない。濃厚接触者の判断を空港で行うことになれば、前述した空港での混乱はさらにひどい状況になる。
菅首相は6月28日、羽田空港を視察し、水際対策を徹底するよう指示した。それに対し検査の責任者が現場でどのような説明を行ったか不明であるが、推測するに、「徹底するよう努めます」という趣旨の応答ではなかったか。要するに、首相が現場を視察して水際対策の徹底を指示したのはよかったが、そこで問題点の解決にめどがついたとは到底思われない。
水際対策については、徹底すればするほど諸外国との矛盾も出てくるだろう。インドなどは不公平な措置であってはならないという声が上がっている。諸外国でのワクチン接種、ウイルス検査、証明状況はまちまちであり、日本側からどんなに細かい要望や指示を出しても対応は国によって異なる。
感染者を入国させないという大方針を実現するには、日本側で徹底した検査をするほかない。しかし、数万人の検査を短い時間内に行うことは困難である。そのように考えれば、新型コロナウイルスのパンデミックが収まらない状況下で五輪・パラリンピックという一大祭典を行うことが賢明かという問題に帰らざるを得ない。日本政府は万難を排してこの大会の中止または延期を決断すべきである。よくそれには遅すぎるというというが、危険を避けるのが日本にとってのみならず、世界にとっての優先課題である。
オリンピックの水際対策は解決困難でないか。
東京五輪・パラリンピックの開催による新型コロナウイルス感染拡大の危険はますます増大している。開催が賭けであること、危険を冒さなければならない理由はいまだ何も示されていないこと、細かい規則を定めている「プレーブック」は完ぺきに実行することはできない危険が大きいことなどはすでに指摘したが、新たに水際対策の欠陥が露呈してきた。
東京五輪・パラリンピックに参加するため日本にすでに入国した選手や関係者の中に、新型コロナウイルスに感染していた人がまじっていることである。6月に入国したウガンダ選手団の2人、またそれより以前に入国したフランス1人(2月)、エジプト1人(4月)、スリランカ1人(5月)、ガーナ1人(6月)である。フランスは東京大会関係者、エジプトはコーチ、スリランカはスタッフ、ガーナはサッカー選手だという。
日本政府は外国人の入国を原則として認めていないが、「特段の事情」がある人、例えば帰国日本人は次の条件の下に認めている。
〇日本への出国前72時間以内の検査で「陰性」であった証明書の提出。
〇日本への入国後14日間、自宅などでの「待機」。
〇コロナ感染の危険が高いと疑われる場合、入国後3日~数日間の「隔離」。
東京五輪・パラリンピックで「特例入国」する選手や大会関係者については、14日間の「待機」を免除しているが、日本入国時にウイルス検査を行い、陽性者は隔離し、陰性者は入国させている。
しかし、この仕組みが機能していないことをウガンダの選手などは実証した。日本の水際対策は「ザル」だと言う人もいる。
水際対策が機能しない理由はさまざまだが、例えば、空港での検査が抗原検査という簡易検査であり、感染を発見できないことが一つの理由とされている。
どのような理由があっても、日本へのウイルスの持ち込みは防止しなければならない。それができなければ、選手たちを大会期間中無菌状態にしておくための、いわゆるバブルにもウイルスが持ち込まれることになる。
現在組織委員会で対策が検討中だというが、真に有効な対策を講じることは可能か。疑問は増大するばかりである。
根本的な問題は検査体制があまりにも弱いことである。今後日本に到着する五輪・パラリンピック関係者の数は、大会組織委員会は約9万4000人と見込まれている。最近は6万8000人くらいだという数字も出てきている。昨年の延期決定以前には20万人規模とされていたので、半減以下になっているが、それでも検査体制と対比してあまりにも多い。
空港での検査を抗原検査という簡易検査にせざるを得ないのはそのためであり、もし正規のPCR検査にすると空港は検査待ちの五輪・パラリンピック関係者であふれかえることになろう。
詳しくは述べないが、濃厚接触者の判断をどの機関が行うかという問題もある。ウガンダ選手団の場合、うち1人が検疫で新型コロナウイルス陽性となったにもかかわらず、同行者は事前合宿地の大阪府内に移動してから調査を受け、成田到着から3日後に全員が濃厚接触者と判定された。これではウイルスを保持している可能性が高い人が日本国内に散ってから、判断されることになる。だが、国は「滞在先の保健所が対応する」と言い、自治体は「政府の空港検疫で留め置くべきだ」と、足並みはそろっていない。濃厚接触者の判断を空港で行うことになれば、前述した空港での混乱はさらにひどい状況になる。
菅首相は6月28日、羽田空港を視察し、水際対策を徹底するよう指示した。それに対し検査の責任者が現場でどのような説明を行ったか不明であるが、推測するに、「徹底するよう努めます」という趣旨の応答ではなかったか。要するに、首相が現場を視察して水際対策の徹底を指示したのはよかったが、そこで問題点の解決にめどがついたとは到底思われない。
水際対策については、徹底すればするほど諸外国との矛盾も出てくるだろう。インドなどは不公平な措置であってはならないという声が上がっている。諸外国でのワクチン接種、ウイルス検査、証明状況はまちまちであり、日本側からどんなに細かい要望や指示を出しても対応は国によって異なる。
感染者を入国させないという大方針を実現するには、日本側で徹底した検査をするほかない。しかし、数万人の検査を短い時間内に行うことは困難である。そのように考えれば、新型コロナウイルスのパンデミックが収まらない状況下で五輪・パラリンピックという一大祭典を行うことが賢明かという問題に帰らざるを得ない。日本政府は万難を排してこの大会の中止または延期を決断すべきである。よくそれには遅すぎるというというが、危険を避けるのが日本にとってのみならず、世界にとっての優先課題である。
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