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2014.04.10

PKOと武力行使②

しかし、PKO協力法を改正し、武器を使用できる場合をある程度拡大しても、現地でのニーズにこたえるにはまだ不十分であることが指摘されている。4月9日付『朝日新聞』には次のような例が紹介されている。
○94年11月、アフリカ・ザイール(現コンゴ民主共和国)。神本光伸氏は、PKO協力法に基づいてルワンダの難民支援のために派遣された陸上自衛隊員約260人を率いる隊長だった。
 「日本の医療NGOが難民キャンプで物資を強奪され、動けなくなっているそうです」。部下の報告を聞いた神本氏は「ただちに救出を。小銃、鉄帽を忘れるな」と指示。宿営地から約30キロ離れた難民キャンプに隊員約20人を派遣し、NGOのメンバーを保護した。
 ところが、神本氏の指示は波紋を呼んだ。報道陣から「邦人の救出は(派遣部隊に認められた)業務の実施計画に入っていないのでは」と指摘された。部隊の活動は同法によって事前に定められている。武器持参での邦人救出とみなされれば、神本氏の判断は違法と判断される恐れもあった。
「やり過ぎたのかもしれない。俺の自衛官生活もこれで終わりか」。意気消沈していた時、東京から「官房長官が実施計画の中にある輸送業務だったと発表した」との連絡が届いた。政府の判断でとがめられることはなかったが、神本氏には今も釈然としない思いが残る。「自衛官がいるのに、日本人を助けないという選択肢はなかった」。
○2004年2月、イラク南部サマワ。イラク特別措置法に基づき、派遣された陸自の先遣隊長を務めた佐藤正久参院議員も「駆けつけ警護」の問題で悩んだ。
 サマワの中心部にも迫撃砲が撃ち込まれるなど、治安悪化が懸念されていた。日本の外務省職員や報道陣も現地にいたが、隊員と一緒にいる場合を除き、彼らが危険にさらされても武器で救援はできない。佐藤氏らは「情報収集」の名目でホテルを巡回し、日本人の安全確保に気を配った。
 佐藤氏はこの経験を踏まえて語る。「日本人だけでなく、自衛隊の近くにいる国際機関職員ら非武装の人を助けなくてもいいのか。他国の軍隊の警護より文民の安全確保がまずポイントになる。憲法論の中で、自衛隊の活動にどこで線を引けるかという議論を、冷静にしていくべきだ」。

この2つの例は、日本の制度が国際社会のニーズに適合していないことを示している。各国から見れば、装備も訓練も優れた日本の部隊が日本の法制上の理由で、部隊の近く、あるいは部隊の中にいる日本人は助けるが、そうでない限りは助けないというのは到底理解されない。日本のPKO部隊にこのような限界があると主張することは、具体的には次のような意味がある。
○日本人は助けるが、国際機関職員やNGOで多国籍人は助けない。
○にもかかわらず、何らかの理由で日本の部隊が日本人を助けられない場合、他の国の部隊に救援を要請する。

このようなことは国際的にあまりにも身勝手である。日本が日本人を助けるが外国人を助けないのは、一つ間違えば、日本の武器使用が日本の狭い目的達成のため乱用されるのを一切排除するためだと言っても、それは日本が自らを抑制すればよいことであると映るであろう。そもそも、PKOは国連の決議できめられた厳格な条件、制限の下で各国が協力している場であり、その場で各国がそれぞれの制度や方針を持ち出してそれに触れることはしないということになるとPKOの円滑な業務に支障が生じる。もし、各国においてその制度や方針がPKO決議に応えるのに適していないのであれば、それをあらためるべきであるというのが国際的な常識である。



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