平和外交研究所

ブログ

カレント

2014.11.22

北朝鮮とロシアの関係が活発化

金正恩第1書記の腹心の部下の一人であるチェ・リョンヘ(崔竜海 労働党中央書記)が金正恩の特使としてロシアを訪問した。そのことを朝鮮中央通信が報道したが、訪問の日時は発表されなかった。

かねてから北朝鮮関係の問題をよく扱っている香港の『大公報』紙(11月14日付)は、次の諸点を報じている。
○金正恩はロシアとの関係改善に意欲的であり、部分的にはすでに金日成や金正日時代よりも進んでいる。
○朝露間でハイレベルの相互訪問が進んでいる。中国との間ではまさにそのことが欠けている。
○ロシアの副首相兼在極東連邦管区大統領代表のトルトネフが4月に訪朝し、以前はチャン・ソンテク(張成沢)派と目されていた対外貿易担当の副首相と会談した。これに先立つ2013年9月、ロシアの鉄道部門の責任者が訪朝し、ロシアの国境都市ハサンから北朝鮮側の羅津にいたる54キロの路線開通のテープカットをした(注 この路線は2011年秋にはほぼ完成していた)。
○2014年9月にはリ・スヨン(李洙墉)外相が訪ロ。11日間もかけてロシア各地を視察した。
○チェ・リョンヘ特使は金正恩第1書記の親書あるいは口頭のメッセージをロシア側に伝えた。2013年、北朝鮮が中国の漁船を拿捕し、中国が不満を唱えた際もチェ・リョンヘは特使として中国へ赴き、習近平に会って金正恩が中朝関係を進展させることを希望していると伝え、中朝関係はいったん緩和した経緯がある。
○北朝鮮が受けている援助の大部分は中国からであり、最近のロシアへの接近は援助の多角化を図るものであろう。

2014.11.11

米国の核非人道性会議への参加

米国は、12月にウィーンで開かれる核兵器使用の人道的影響に関する国際会議に参加すると発表した。この会議は、5年に1回の核兵器不拡散条約(NPT)の再検討会議を2015年に開催するために準備を進める過程で、核兵器の非人道性を確立しようとする運動がスイスやノルウェーを中心に起こったのがそもそもの始まりであった。2012年5月NPTの第1回準備委員会でのことであり、その時は核廃絶に熱心な16ヵ国が「核軍縮の人道的側面に関する共同声明」を発表した。それ以来、国連総会の第1委員会(軍縮を審議)や各国がホストする国際会議が開催されるたびに声明に参加する国が増加し、今年の国連総会第1委員会では過去最多の155カ国(昨年は125カ国)が賛成した。
日本は当初参加しなかった。米国の核の傘にありながら、核兵器は非人道的であることを確立する運動には参加できないと考えたからである。しかし、これに対しては、唯一の被爆国としてあまりにも消極的であり、なんとか工夫して声明に参加すべきであるという意見が強まり、政府も改めて検討した結果、2013年10月、第1委員会で初めて参加した。
一方同じ第1委員会で、オーストラリア政府は同じ題名の声明を17カ国連名で発表したが、こちらは「核兵器を禁止するだけでは廃絶できない」「人道の議論と安全保障の議論の両方が重要だ」といったことが強調されており、日本はこの声明にも署名したので両方に署名したこととなり、論議を呼んだ。
これはともかく、米国は今年の第1委員会に至るまで一貫して声明に参加しなかったが、今年末にウィーンで開かれる会議には参加することとしたのである。この新しい決定について米国務省のスポークスマンは11月7日、次の説明を行なっている。
○米国はウィーン会議の議題を注意深く検討し、またホスト国のオーストリアと議論した結果、会議の参加国と建設的な協力(engagement)ができる見通しがあると判断した。
○この会議は核軍縮の交渉、あるいは予備交渉を行なう場ではないと考える。米国はそのような試みには与しない
○ウィーンの会議では米国の考えを説明したい。この会議は米国が達成した重要な進歩と核兵器が2度と使用されないための条件を作り出すのに米国が払った努力に光をあてるよい機会になるであろう。

これまで米国の他ほとんどすべてのNATO諸国は核兵器の非人道性に関する会議に参加しなかった。そのなかにあってノルウェーはこの運動の先頭に立つ異色の存在であった。
一方、フランスはかねてより独自の核戦略理論を持ち、ある意味では米国よりも核兵器の有用性を重視する国であった。米国のウィーン会議参加表明で他のNATO諸国にどのような変化が生じるか、とくにフランスの対応いかんが注目される。

2014.11.08

谷内国家安全保障局長と楊潔篪国務委員との合意

谷内(やち)正太郎国家安全保障局長が6日に訪中し、首脳会談の実現に向けて楊潔篪(ヤンチエチー)国務委員(副首相級)と調整した結果、合意に達し、日中両国はそれぞれ次の合意文書を発表した。

(日本側)
「日中関係の改善に向けた話し合いについて
              2014年11月7日
 日中関係の改善に向け、これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが、今般、以下の諸点につき意見の一致をみた。
1.双方は、日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守(じゅんしゅ)し、日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した。
2.双方は、歴史を直視し、未来に向かうという精神に従い、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた。
3.双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。
4.双方は、様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して、政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた。」

この合意に関し、日中両国でそれぞれ反応が出始めている。日本では、尖閣諸島に関し日本政府が従来一貫して維持してきた「領土紛争はない」とする立場を変え、譲歩したとする批判や、中国では、この合意では日本側は尖閣諸島について従来からの立場をなんら変えていない、したがって習近平主席が安倍首相に会うのは賢明でないという意見である(7日付の『多維新聞』が紹介している)。

これについてとりあえず気が付く点は次のとおりである。
○この合意により日中首脳会談開催の地ならしが行われたと見てよいが、首脳会談開催を確定したものではなく、予定されている外相会談でもその確定のために協議が行われる。そして実現することが望ましい。
○尖閣諸島に関し「領土問題は存在しない」という日本の立場は変わっていない。そのことは中国側でも明確に認識しているであろう。今後対話と協議が行われるが、「情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避する」ためである。領土問題を話し合うためでない。
○日中間で意見が異なることについては国際法に従って解決を図ることを双方で確認できておれば、今回の合意はよりいっそう良いものとなったであろう。
○全体として、中国側は一定程度譲歩しているとみてよい。

このページのトップへ

Copyright©平和外交研究所 All Rights Reserved.