平和外交研究所

中国

2014.09.03

中国の権力派閥

『多維新聞』9月1日付は、中国の権力派閥について次のように論じている。

今日の中国では、習近平を始めとする「太子党」と李克強をかしらとする共産主義青年団の系統(共青団派)が中央と地方の権力を握っている。経験豊富な官僚が再び重視され、過去二十年間政界で重きをなしていた石油系統の者、地方閥の官吏は、反腐敗運動のなかで、あるいは年齢が理由で続々と失脚している。地方閥の者が政治勢力を形成する傾向は中国の政治が現代化に向かって進む中で姿を消しつつある。毛沢東が「団結派」であったならば、習近平は「派閥破壊派」であり、中国は「無党無派」時代に入りつつある。

1989年から2012年の共産党第18回全国代表大会までは、中国の政界は「太子党」「共青団派」および「上海閥」の3大派閥によって動かされてきた。同大会はそのような観点の分析が最高潮に達した時であり、9人から7人に減少した政治局常務委員についてもそのような分析が行なわれた。習近平はもとより、張徳江(人民代表大会委員長)は建国の功労者であった高級軍人張志毅の子、兪正声の父母はともに建国の功労者、王岐山は姚依林元副総理の女婿であり、党大会の頃、「太子党」は中央を牛耳り、「共青団派」は地方を支配した、などと言われた。

しかし、「太子党」を政治結社のように考えるのは妥当でない。統一された政治綱領も主張もない。いずれも出身がよいということだけであるが、これらの人は政治権力の安定を支えている。彼らを結び付けるのは、共産党の赤い国の色が変色しない保証であり、彼らこそが中国を建設し、親の世代からの功績を引き継ぐことができる。

「共青団派」は党内の幹部が若年化していることを表している。第18回党大会以降を見れば、李克強は首相に、元党組織部長の李源朝は国家副主席に、湖南省委員会書記の周強成は最高検察院院長に、広東省委員会の書記であった汪洋は国務院副総理になるなど「共青団派」が枢要な地位についているのは事実であり、そのため胡錦濤以下の「共青団派」が巻き返したなどと言われた。中央の幹部が若返っているのは時代のせいであるが、李克強が彼らを率いて習近平に忠誠を誓えば、習近平もそれに応えるであろうし、そうなると「太子党」と「共青団派」が協力してどのように中国を動かすかということが中国政治の注目点となろう。

一方、「上海閥」「山東閥」「山西閥」という言い方は現在も存在している。しかし、現在山西には反腐敗の大々的取り締まりが始まっている。上海、山東、河北の出身者はまだ多いが、習近平政権の下でこれら「地方閥」が生き残る空間は次第に縮小している。

2014.09.01

中国雑記 8月31日まで

○8月22日、新華社は国家発展改革委員会財政金融部の張東生前部長が取り調べを受けたことを報道した。この部は企業債の発行を許可する部署である。張東生はその許可の過程で不正を働いた嫌疑をかけられているようである。
本件は反腐敗運動の火が金融部門にまで及びつつあることを示している。反腐敗の元締めである王岐山政治局常務委員は金融界の出身であり、今後その知識を使ってどんな暴露をし、運動を進めていくか注目される(『多維新聞』8月22日)。
○諸方面からの情報によると、北京市は課長級(处级)以上の幹部については、私用での出国は原則として許可しないこととするそうである。特殊な場合には厳格な審査を経て許可を受けることが可能である。さらに多くの単位では、課長級以上の幹部に私用旅券を提出させ、集中管理している。(『北京青年報』8月29日)
○8月29日開催された政治局会議で国営企業の責任者の給与体系を改革し、厳格に管理する方針が採択された。会議を主催したのは習近平主席であった(新華社8月29日)。

2014.08.30

軍内の習近平派

多維新聞8月30日付は、軍内の習近平派について次のようなことを報道している。

○軍内では許其亮、張又侠、房峰輝、劉源および劉亜洲の「五虎将」が習近平に近い人たちである。これらの人はいわゆる「紅二代」として習近平との関係が密接である。
○10月に開催される四中全会(中央委員会第4回全体会議)でこの5人は中央軍事委員会に入り、許其亮、張又侠および劉源は副主席に、劉亜洲は国防部長に、房峰輝は総参謀長に就任する。副主席にはこのほか劉福廉、総政治部長に張揚、総装備部長に蔡英挺などが就任する。
○劉少奇の子、劉源は習近平の盟友であり(ともに太子党)、現在総後勤部の政治委員として軍内の反腐敗運動に参謀的役割を果たした。その功績は非常に大きい。
○現国防大学の政治委員の劉亜洲は、インタビューに応じ、敏感な問題である政治闘争に言及し、中共政権の命運は清朝末期よりも悲惨である、巨大な内部闘争の危機があるなどと論じた。

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