ブログ記事一覧
2025.08.22
李在明氏は大統領に就任する以前、「共に民主党」の代表として反日的言動で知られており、日本との関係を重視する尹錫悦前とは非常に異なる立場を取っていた。しかるに李在明氏は大統領に就任後日本など対外関係を重視する姿勢を取り、日本の『読売新聞』とのインタビュー(8月19日)で、以下の注目すべき発言を行った。
「日本はとても重要な存在だ。韓国も日本にとって有益な存在になれると思う。双方にとって利益になる道を発掘して、協力できる分野を広げていかなければならない」。
日韓対立の原因となってきた慰安婦や元徴用工などの歴史問題に関しては、「なるべく現実を認め、お互いに理解しようと努力し、対立的にならないようにしながら解決していけばいい」。「韓国国民としては非常に受け入れ難い前政権による合意ではあるが、国家としての約束であるので、覆すことは望ましくない」。
信頼を積み重ねるため、日韓の首脳が頻繁に相互訪問する「シャトル外交」が有用である。
日本の小渕政権と韓国の 金大中(キムデジュン)政権が1998年に発表した「日韓共同宣言は韓日関係に新しい区切りをつけた。宣言を引き継ぎ、それを超える新しい共同宣言を発表することができればと思う」。
李在明大統領は日韓関係にとって積極な船出を行った。
李在明韓国大統領の来日
2025年6月、韓国の新大統領に就任した李在明(イ・ジェミョン)氏は、8月23-24日韓国大統領として来日し、石破茂首相と会談する。李在明氏は大統領に就任する以前、「共に民主党」の代表として反日的言動で知られており、日本との関係を重視する尹錫悦前とは非常に異なる立場を取っていた。しかるに李在明氏は大統領に就任後日本など対外関係を重視する姿勢を取り、日本の『読売新聞』とのインタビュー(8月19日)で、以下の注目すべき発言を行った。
「日本はとても重要な存在だ。韓国も日本にとって有益な存在になれると思う。双方にとって利益になる道を発掘して、協力できる分野を広げていかなければならない」。
日韓対立の原因となってきた慰安婦や元徴用工などの歴史問題に関しては、「なるべく現実を認め、お互いに理解しようと努力し、対立的にならないようにしながら解決していけばいい」。「韓国国民としては非常に受け入れ難い前政権による合意ではあるが、国家としての約束であるので、覆すことは望ましくない」。
信頼を積み重ねるため、日韓の首脳が頻繁に相互訪問する「シャトル外交」が有用である。
日本の小渕政権と韓国の 金大中(キムデジュン)政権が1998年に発表した「日韓共同宣言は韓日関係に新しい区切りをつけた。宣言を引き継ぎ、それを超える新しい共同宣言を発表することができればと思う」。
李在明大統領は日韓関係にとって積極な船出を行った。
2025.08.22
米ロ会談では、注目されていた停戦の合意は実現せず、トランプ氏は「和平合意を目指す」べきだという考えを示すにとどまった。欧米メディアは「ロシアに同調する劇的な方針転換だ」などと伝えた。また、トランプ氏は会談前、ロシアを標的とした「2次関税」の発動を示唆していたが、記者会見では触れず、結局この賦課は行われない、あるいは延期されることになった。プーチン大統領は何も失わずにかねてからの主張を述べ立てただけであり、会談はロシア側の一方的な成功であったといわれた。
しかし、米・ウクライナ・欧州会談で、ゼレンスキー氏は上機嫌であった。特に重要であったのは、領土問題と安全の保証であり、領土問題ではトランプ氏とプーチン氏は地図を前において協議したようだが、どんな話し合いを行ったのか、明らかになっていない。
ウクライナの安全の保証については、ウクライナと米欧諸国は合意に達した。これはウクライナにとってかなり満足できる内容であったようだ。ウクライナとしてはロシアが侵攻してきて以来、NATOへの加盟を最優先目的としてきたが、なかなか実現しなかった。しかし、今回の会談でそれが実現するならば、ウクライナはNATOに未加盟であるが、実質的には加盟したのと同じ保証をえることになる。NATOは全加盟国32か国が全会一致で決めなければならないので一部の国はウクライナの加盟に反対する可能性がある。この困難に比べれば、今回のような安全の保証はNATOへの加盟より実際的かもしれない。
ただし、事態はまだそこまで行っていない。米国は地上部隊を派遣せず、空軍を派遣するにとどまるそうである。また、欧州各国が派遣する兵力の規模はどうなるか。軍は常駐かなど保証の中身については不明な点がいくつか残っている。
米欧だけでも少なからぬ困難が待ち受けているのだが、ラブロフ露外相は、「ロシア抜きで解決しようとしていることには同意できない」などと述べ米欧を牽制した。ロシアが加わってウクライナの安全が保証されることはありえない。ロシアはウクライナに武力侵攻し、膨大な数の民間人を犠牲にした当事国である。
ウクライナに対する安全の保証
2025年8月15日、アラスカで米ロ首脳会談が行われた。引き続いて18日、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は米ワシントンを訪問してトランプ大統領と会談。その後、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、フィンランド、EU(欧州連合)、NATOの首脳を交えて会談が行われた。米ロ会談では、注目されていた停戦の合意は実現せず、トランプ氏は「和平合意を目指す」べきだという考えを示すにとどまった。欧米メディアは「ロシアに同調する劇的な方針転換だ」などと伝えた。また、トランプ氏は会談前、ロシアを標的とした「2次関税」の発動を示唆していたが、記者会見では触れず、結局この賦課は行われない、あるいは延期されることになった。プーチン大統領は何も失わずにかねてからの主張を述べ立てただけであり、会談はロシア側の一方的な成功であったといわれた。
しかし、米・ウクライナ・欧州会談で、ゼレンスキー氏は上機嫌であった。特に重要であったのは、領土問題と安全の保証であり、領土問題ではトランプ氏とプーチン氏は地図を前において協議したようだが、どんな話し合いを行ったのか、明らかになっていない。
ウクライナの安全の保証については、ウクライナと米欧諸国は合意に達した。これはウクライナにとってかなり満足できる内容であったようだ。ウクライナとしてはロシアが侵攻してきて以来、NATOへの加盟を最優先目的としてきたが、なかなか実現しなかった。しかし、今回の会談でそれが実現するならば、ウクライナはNATOに未加盟であるが、実質的には加盟したのと同じ保証をえることになる。NATOは全加盟国32か国が全会一致で決めなければならないので一部の国はウクライナの加盟に反対する可能性がある。この困難に比べれば、今回のような安全の保証はNATOへの加盟より実際的かもしれない。
ただし、事態はまだそこまで行っていない。米国は地上部隊を派遣せず、空軍を派遣するにとどまるそうである。また、欧州各国が派遣する兵力の規模はどうなるか。軍は常駐かなど保証の中身については不明な点がいくつか残っている。
米欧だけでも少なからぬ困難が待ち受けているのだが、ラブロフ露外相は、「ロシア抜きで解決しようとしていることには同意できない」などと述べ米欧を牽制した。ロシアが加わってウクライナの安全が保証されることはありえない。ロシアはウクライナに武力侵攻し、膨大な数の民間人を犠牲にした当事国である。
2025.07.21
今年はどうなるだろうか。中国の政治について軽々に論じたくないが、看過できない問題があると思われてならない。
特に不可解なのは習近平主席と軍の関係であり、2022年の第20回党大会で確認された軍の指導体制がはげしく動揺している。
中国には中央軍事委員会という最高の軍事指導機関があり、最近では7人がその委員となっていた。このうち習近平主席は中央軍事委員会の主席を兼ねており、別格であるが、あとの6人の委員のうち、1人を除く全員が失脚ないし、降格となった。
副主席の何衛東は、2022年に中央軍事委員会の副主席に就任した。党の幹部ではなかったにもかかわらず、いきなり軍のナンバー3(習近平氏は別格とすればナンバー2)にのぼりつめたのである。当時、大抜擢とも評された。
しかし、2025年3月頃から何衛東は問題があるとメディアなどで報道されるようになり、7月現在はすでに失脚しているとみられている。
李尚福は2023年3月に国防相に任命されたが、わずか半年後から動静が伝えられなくなり、2024年6月、重大な汚職などがあったとして党籍を剝奪されたと公表された。
失脚させられたのは習氏とのつながりが深い人物であったが、習氏はこの人事を承認した、あるいはせざるをえなかったらしい。軍のトップクラスの人事が習近平氏の了承なしに行われることはあり得ない。
軍事委員会の中では1人だけ地位が上昇した。副主席の張又侠(チャン・ヨウシア)であり、張又俠は根からの軍人であり、軍内部で習近平よりも強い人脈を築いているといわれる。張の父と習の父は共に陝西省出身で、1945年の爺台山反撃戦で共産党の紅軍に参加し、国民党軍と戦った人物である。
習は以前張の力を借りたこともあったというが、両人は現在、対立しているとみられている。もっともこれらの観測にはある程度推測が混じっている可能性があるが、中央軍事委員会の主要人事が短期間に大変動を起こしていることは明らかな事実である。
人事異動がすべてでない。「独裁体制」という言葉を使わなくなっていることも注目される。2024年10月30日、中央軍事委員会弁公庁が公布した「強軍文化繁栄発展のための実施綱領」では、「習近平」という名前すらいっさい出てこず、「党の指導」が繰り返し強調された。
軍以外で注目される問題が、2022年まで国務院総理を務めた李克強の処遇である。李については論じられることが少なくないが、本稿では3点だけ見ていこう。
中国共産党の機関紙である『人民日報』は2025年7月3日、突然、2023年に68歳で急死した李克強前首相の功績をたたえる記事を掲載した。李は習近平主席と同年であるが、習近平と異なり、2022年に引退し、それ以来李克強は共産党内で疎んぜられていた。だが、この度党の正式機関によってはじめて称賛されたのである。
中国では国家指導者の生誕記念に一文を掲載する習わしがある。その意味では『人民日報』の記事は特別のものでないかもしれないが、この記事による李の称賛ぶりは多数の人の注目を集めた。
『人民日報』の記事は、李克強の共青団(中国共産主義青年団)活動への尽力を称賛した。習近平政権下において共青団は繰り返し批判され、李克強前総理、胡錦涛前主席、さらには次期共産党総書記の呼び声もかかっていた胡春華などの共青団出身者は白い目で見られていた。しかるに今回の『人民日報』記事は李克強とともに共青団を称賛したのである。そのため、共青団出身者は復権しつつあるという見方が出てきた。
さらに、この記事は、李克強が「共産党の集団指導」を堅持したことを称賛した。本稿では簡単に述べておくが、「共産党の集団指導」という言葉は最近まで中国共産党の内部でタブーであった。軍内で「独裁体制」という言葉がタブーであることはは前述したが、人民日報の記事もタブーを恐れず書いたのである。
軍の動揺については重要な事実がすでに公表されている。一方、李克強や「集団指導」についてはかなり推測が混じる言説が多く、丁寧な観察と分析が必要であるが、本稿では概要を示すにとどめることとしたい。
北戴河会議が終わると、4中全会に注目が集まるだろう。4中全会とは中国共産党中央委員会全体会議のことであり、重要事項はここで正式に決定される。今年の場合、8月末頃に開催されるとのうわさもある。本稿で指摘した諸問題は見逃せない注目点である。
中国の政情 2025年夏
中国ではまもなく熱い政治の季節を迎える。北京市に近い渤海沿岸の避暑地・保養地である北戴河で約1か月間にわたって開かれる非公式の会議であり、すでに一部開催しているかもしれない。非公式であるだけに機微な問題が扱われる。かつて中国共産党の書記長の失脚が事実上決定されたこともあった。今年はどうなるだろうか。中国の政治について軽々に論じたくないが、看過できない問題があると思われてならない。
特に不可解なのは習近平主席と軍の関係であり、2022年の第20回党大会で確認された軍の指導体制がはげしく動揺している。
中国には中央軍事委員会という最高の軍事指導機関があり、最近では7人がその委員となっていた。このうち習近平主席は中央軍事委員会の主席を兼ねており、別格であるが、あとの6人の委員のうち、1人を除く全員が失脚ないし、降格となった。
副主席の何衛東は、2022年に中央軍事委員会の副主席に就任した。党の幹部ではなかったにもかかわらず、いきなり軍のナンバー3(習近平氏は別格とすればナンバー2)にのぼりつめたのである。当時、大抜擢とも評された。
しかし、2025年3月頃から何衛東は問題があるとメディアなどで報道されるようになり、7月現在はすでに失脚しているとみられている。
李尚福は2023年3月に国防相に任命されたが、わずか半年後から動静が伝えられなくなり、2024年6月、重大な汚職などがあったとして党籍を剝奪されたと公表された。
失脚させられたのは習氏とのつながりが深い人物であったが、習氏はこの人事を承認した、あるいはせざるをえなかったらしい。軍のトップクラスの人事が習近平氏の了承なしに行われることはあり得ない。
軍事委員会の中では1人だけ地位が上昇した。副主席の張又侠(チャン・ヨウシア)であり、張又俠は根からの軍人であり、軍内部で習近平よりも強い人脈を築いているといわれる。張の父と習の父は共に陝西省出身で、1945年の爺台山反撃戦で共産党の紅軍に参加し、国民党軍と戦った人物である。
習は以前張の力を借りたこともあったというが、両人は現在、対立しているとみられている。もっともこれらの観測にはある程度推測が混じっている可能性があるが、中央軍事委員会の主要人事が短期間に大変動を起こしていることは明らかな事実である。
人事異動がすべてでない。「独裁体制」という言葉を使わなくなっていることも注目される。2024年10月30日、中央軍事委員会弁公庁が公布した「強軍文化繁栄発展のための実施綱領」では、「習近平」という名前すらいっさい出てこず、「党の指導」が繰り返し強調された。
軍以外で注目される問題が、2022年まで国務院総理を務めた李克強の処遇である。李については論じられることが少なくないが、本稿では3点だけ見ていこう。
中国共産党の機関紙である『人民日報』は2025年7月3日、突然、2023年に68歳で急死した李克強前首相の功績をたたえる記事を掲載した。李は習近平主席と同年であるが、習近平と異なり、2022年に引退し、それ以来李克強は共産党内で疎んぜられていた。だが、この度党の正式機関によってはじめて称賛されたのである。
中国では国家指導者の生誕記念に一文を掲載する習わしがある。その意味では『人民日報』の記事は特別のものでないかもしれないが、この記事による李の称賛ぶりは多数の人の注目を集めた。
『人民日報』の記事は、李克強の共青団(中国共産主義青年団)活動への尽力を称賛した。習近平政権下において共青団は繰り返し批判され、李克強前総理、胡錦涛前主席、さらには次期共産党総書記の呼び声もかかっていた胡春華などの共青団出身者は白い目で見られていた。しかるに今回の『人民日報』記事は李克強とともに共青団を称賛したのである。そのため、共青団出身者は復権しつつあるという見方が出てきた。
さらに、この記事は、李克強が「共産党の集団指導」を堅持したことを称賛した。本稿では簡単に述べておくが、「共産党の集団指導」という言葉は最近まで中国共産党の内部でタブーであった。軍内で「独裁体制」という言葉がタブーであることはは前述したが、人民日報の記事もタブーを恐れず書いたのである。
軍の動揺については重要な事実がすでに公表されている。一方、李克強や「集団指導」についてはかなり推測が混じる言説が多く、丁寧な観察と分析が必要であるが、本稿では概要を示すにとどめることとしたい。
北戴河会議が終わると、4中全会に注目が集まるだろう。4中全会とは中国共産党中央委員会全体会議のことであり、重要事項はここで正式に決定される。今年の場合、8月末頃に開催されるとのうわさもある。本稿で指摘した諸問題は見逃せない注目点である。
アーカイブ
- 2025年9月
- 2025年8月
- 2025年7月
- 2025年6月
- 2025年5月
- 2025年4月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年10月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月