平和外交研究所

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2013.04.29

侵略を否定すべきでない

安倍総理は4月23日の参議院予算委員会で、「村山談話」について、「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国の関係でどちらから見るかで違う」と発言。
麻生財務相も、2月25日の朴槿恵大統領就任式直後の会見で「米国の南北戦争を引き合いに「北部では市民戦争というが、南部では『北部の侵略と教える』。同じ国でも歴史認識は違う。まして異なる国ではなおさらのこと…」と語ったと韓国紙(中央日報)によって報道された。
両者の発言には、「侵略」か否かは国によって違って見える可能性があるとする点で共通しており、現内閣の首脳に一致した考えであるようだ。その意味は、「日本が中国や韓国に対して行なった行動は侵略でなかったと日本は思っている」というように響くが、日本国民はそのような考えなのか疑問である。私は強く否定したいし、このような発言は国益を損なうと考える。

2013.04.24

北朝鮮の緊張緩和

ここ1~2週間、北朝鮮の激しい挑発的言辞が見られなくなり、条件付きではあるが北朝鮮は対話に応じる用意があるというサインを送っているようにも見える。対話は北朝鮮が欲しているのか、それとも国際社会が望んでいるのか、いつものことながらわけのわからない部分があるが、その問題はさておいて、米国が4月の第2週に予定していたICBM「ミニットマン3」の発射実験を5月に延期したことは北朝鮮にけんか腰の姿勢を和らげるちょうどよい口実を与えることとなったと思われる。対外面のみならず、北朝鮮の国内との関係においてもである。米国はそのような効果を期待して決定したのであろう。ケリー長官の日韓中歴訪の際は、少なくとも表向きは以前からの米国の方針しか示さなかったが、その一方でこのような措置を取ったのは賢明である。核ミサイルについて北朝鮮を動かせるのはやはり米国だ。

2013.04.19

アウンサンスーチー氏の訪日

アウンサンスーチー氏の訪日を機にミャンマーとスーチー氏への関心が高まっており、知りたいこと、はっきりさせたいことがいくつかある。一つは軍事政権時代、日本は欧米のように厳しい制裁を科するのではなく、可能な範囲で援助を継続し、そのためにスーチー氏らから「なぜ援助するのか、援助は軍事政権を支えることに役立つ」という趣旨の疑問を呈され、あるいは批判を受けた。このことをどう考えるかである。
根本的な問題の一つは、ミャンマーが最近民主化したのはどういう理由からか、であり、具体的には欧米から厳しく制裁措置を受けたためか、制裁措置は本当に効果的であったかなども問われる。
これは過去のことであり、人によっては、それより今後民主化がほんとうに定着し、国内が安定的に成長する条件が備わっていくかということに関心を持つであろう。具体的な問題としては、軍人に特権的議席を認めている反民主的憲法を民主的なものに改正できるか、などもある。
日本には、困難な立場にあるスーチー氏に広く理解はあるようだが、ミャンマーのことを直接経験したことがある人の中でもスーチー氏の評価は分かれている。今後は、幅広い観点からミャンマーの変化と発展を見守っていきたい。この国は変動期にあるだけに固定観念、先入観でものを見ていくと変化の全体像を正しくとらえられなくなる危険がある。

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