平和外交研究所

中国

2014.01.31

国有企業幹部の転職

中国の国有企業の幹部が民間に転職して、高給取りになることについて、1月28日付の『企業観察報』が報道している。主要点を拾って見た。

報道のきっかけとなったのは「中国联通(中国聯合通信有限公司 通信業者)」の李剛副総裁が「華翔联信(携帯電話会社)」に移ったことであった。
このような場合「転職代(転会費)」を払うのが一般的である(注 野球のポスティングに似ており、それを受け取るのは国有企業である)。
2013年に「山東黄金集団公司」の会長兼党委書記であった王建華は「紫金鉱業」へ移って年収500万元余(8500万円余)を得た。
過去2年の間に、500人以上の国有企業の幹部が民間に移った。安徽省だけでも2013年中に70人が移っている。
民間が国有企業の幹部を受け入れるのは、専門的知識の他、人的関係が広いためである。
中国人民大学公共管理学院院長助理,組織与人力资源研究所の劉昕教授によれば、国有企業の幹部が転身する原因は5つある。
第1に、国有企業の発展性が乏しいことであり、副社長はなかなか正社長になれない。
第2に、国有企業では内部の問題で消耗し、政治が多過ぎる。経営の腕を発揮できず、いやになることが多い。
第3に、個人として政府に対し就職に関する要望を提出できない。
第4に、高収入の誘惑である。
第5に、一部の幹部が国有企業において不正を働いたことが発覚するのを恐れ、事前に離職する場合がある。

2014.01.29

習近平の外交部人事

多維新聞(1月26日)は、外交部関係の一大人事異動について次のように報道している。

香港の雑誌報道によれば、楊潔篪前外相・国務委員は任期中職員の汚職を放任し、外交部内で規律違反がしばしば発生したことを問われ、引責辞職した由。李克強首相は外交部党委員会拡大生活会(注 「生活会」は批判・自己批判する会)に出席し、外交部に対し各方面から責任を問う声が上がっていることを明らかにし、「当面の問題を解決しなければならない。外交に関係する条件(注 外交人員のことか)、施設、保証(注 待遇のことか)は最も優れているが、政治素質、プロ素質、作風修養方面では問題が少なくない云々」と手厳しい発言をしたそうである。
また、広東の週刊誌『南方周末』は1月23日、次のような記事を掲載した。
「外交部の数百人に上る退職・休職幹部が、ここ十年来、非合法の投資案件に関わった。外交部の老幹部から成る顧問団はリベートや高額の利息の誘惑に負け、「緑源公司」に外交部の職員から1.5億元に上る資金を集めさせた。顧問団には局長級以上の元職員が含まれている」
「江沢民は総書記になって以来一貫して外交部を掌握してきた。銭其琛、唐家璇、李肇星、楊潔篪など歴代の外相は全員江沢民派である」
「最近、外交部内の江沢民派の勢力は弱体化している。外交部内は大幅に入れ替えられた。2014年1月9日発布されたマンパワー・社会保障部が発出した国務院工作人員の任免に関する通知によれば、王超商務部副部長(次官)が外交部副部長に転出、外交部部長助理の張明が副部長に昇格し、宋涛副部長は解任となる。王超は外交部で欧州関係、翻訳および文書事務を担当する。翟隽は駐仏大使に転出(注 すでに着任している)前駐仏大使の孔泉は党中央外事弁公室の副主任となる」
「従来外交部は特別で外交官だけで人事が行われていたが、一連の新人事は、他と交わらせ(掺沙子)、「近親繁殖」は許さないという習近平の考えによるものである」

2014.01.28

中国人研究者の対日報道批判

「日本新華僑報」という在日中国人のサイトがある。日本のことをよく知っている中国人たちの目でいろんな分野の中国の報道や雑誌記事を転載しているので大変参考になる。「中国の軍事支出には中国の原則がある」という文章などは、「中国の国防費は主に、「必要に応じた支出」「整然とした優先順位」「抑制的な増加」の原則に基づいて決定される」など中国軍の宣伝に近いものも掲載(軍事科学院国防政策研究センター研究員が書いた一文の転載)しているので、注意して読む必要があるが、それはどこの国のメディアについても多かれ少なかれ言えることであろう。

香港の『大公報』紙が1月25日に、日本新華僑報が前日(24日)に転載した、ある一文について報道した。この文章は中国メディア大学の講師兼「察哈尔学会」の研究員である趙新利が書いたものである。ややこしい説明になったが、要するに、趙新利の文章を日本新華僑報が転載し、そのことについて大公報が報道したのである。
大公報の報道によれば、中国のメディアには読者を刺激するために、対日報道において「過度に解読したり、一部分だけを取り出して論じるきらいがあり(中国媒体对日报道有过度解读和断章取义之嫌)、一部の評論はさらに、あきらかに言語の暴力を使っている(部分评论文章还出现明显的“语言暴力)、言語、文化、立場などの原因で誤読が生じることがあるが、中日間ではさらに、捏造された虚偽のニュースがしばしば流れている(除了因语言、文化、立场等原因引发的误读之外,中日之间还经常出现捏造的假新闻)。
これはまことに冷静な指摘であり、胸のすくような率直さが感じられる。また、大公報の記事も冷静である。これが中国人の読者に広く伝わることを期待したい。

「察哈尔学会」とは何か。これは2009年に設立されたNGOで、本部は河北省尚義県察哈尔の「牧場」に置かれている(注 なぜ「牧場」かは分からない)。これは「公共外交」を研究し、また、伝播することに努めており、「官産学」協力の一種である。設立総会の主席は全国政治協商会議外事委員会副主任の韓方明博士が勤めた。以上は「中国網」の説明である。

なお、日本新華僑報のサイトで大公報が報道した記事を探してみたが、どうも見つからなかった。そういうことは私自身の恥になる可能性が大きいので普通は言わないが、ITについてはいろんなことがあるのであえて記しておく。

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