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2013.10.11

核不使用声明への参加

日本政府は核兵器の不使用声明に参加することになったと11日付の各紙が報じている。この声明は昨年春の核兵器不拡散条約(NPT)の第1回準備委員会(2015年のNPT再検討会議のための準備委員会)から始められ、秋の国連総会第1委員会(軍縮を扱う)、本年春のNPT第2回準備委員会でも続けられ、現在開催中の国連総会第1委員会でも注目されていたものであり、内容的には、「核兵器の不使用」あるいは「核兵器の違法性」が主題であったりするが、「不使用」と「違法性」は密接な関係があり、一つの流れの運動である。本ブログでも4月26日に取り上げたことがある。
日本政府は、この声明に関して関係国、とくにニュージーランドなど急進派の国々と非公式に交渉し、双方の間で歩み寄ることができたようだ。その努力は称賛に値する。もし、これまでのように、この声明に不参加の態度を取り続けるならば、2015年のNPT再検討会議で、日本は核兵器問題について消極的であるという印象を各国に残すこととなると予想されるからである。実は、一部の国からは、日本は日米安保条約を大事にするが、核の廃絶や不使用については腰が据わっていないと思われていたきらいがあるだけに、核兵器不使用声明に参加して積極的姿勢をアピールできることは重要である。
米国のオバマ大統領は広島を訪問すると言い残してルース前駐日大使は帰っていった。これが実現することは歴史的な意義がある。核兵器問題はなかなか前進しないという印象が強いが、変化している面は確実にあるようだ。

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2013.10.09

習近平は決意を固めたか

10月8日付の多維新聞(海外中国人の新聞 中国によく通じている)は、香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(南華早報)を引用して、APECに出席のためバリ島に滞在中の習近平主席が、講演の中で「一挙に改革を深化させる。後ろ向きの道を歩む「転覆性過ち」が出てくるのを許さない」と語ったことを紹介した上、これは習近平が昨年11月に中共総書記に就任して以来、中国の改革の方向性について行ったもっとも重要な態度表明であると評している。
改革に前向きの表明を行なったことがよいことであるのは当然としても、この言葉がなぜそのように特別なのか。中国の外ではわかりにくい。習近平は革命路線重視か、改革のさらなる推進かという路線対立の真っ最中にあってどちらをより重視しているかよく分からない態度を取っているため、一部の人からは旗幟鮮明にすべきであると迫られていたのである。そのような背景とともにこの態度表明を聞けば、習近平がとうとう改革重視だと断言した、だから重要なのだということになりそうである。
しかし、この表明だけで路線対立の決着がついたか。ことは簡単でない。習近平は就任以来「大衆を尊重せよ」と呼びかけており、また数週間前には「毛沢東思想を大事にしなければ天下は大乱になる」と言っていた。今回の態度表明もどこまで実行されるか、まだよく分からない。

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2013.10.09

北朝鮮の大幅な人事異動

「金正恩は、北朝鮮の指導者となって以来、党政軍の幹部218人のうち97人を異動させるなど大幅な人事入れ替えを行なった」という趣旨の発表を韓国の統一院が10月8日に行なった。金正恩が高官の人事異動を頻繁に行なっていることはかねてから知られていたが、その激しさにあらためて印象づけられる。なかでも、金正日時代に任命されていた総参謀長の李英浩を玄永哲に代え,2013年5月には金格植に代え、さらに8月には李英吉に代えるなど立て続けに交代させている。総参謀長という軍のもっとも重要なポストをこれだけ頻繁に代えるのは異常であり、熟慮した人事とは思えず、金正恩の気まぐれによることかとも思われるが、金正恩が名実ともに北朝鮮の新しい指導者であることは軍によっても受け入れられているのであろう。
金正恩は若くて経験は浅いはずであるが、相当な実行力の持ち主であるようだ。しかし、これだけひどく人事に手をつけられると、軍が反発しても不思議でない。今後もこのような調子でやっていける保証はない。
この統一院の発表は大公網(香港の中国系『大公報』新聞のサイト)でも10月9日に掲載している。中国(の一部?)から見ても、金正恩の頻繁な人事異動は印象的なのであろう。

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