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2013.10.03

米韓軍事協力の確認

韓国を訪問中のヘーゲル米国防長官と韓国のキム・クワンジン国防相は、戦時の韓国軍の指揮を米軍から韓国軍に返還する取り決めの実行を2015年まで延期することを話し合ったと報道されている。この合意は最初2007年に結ばれ、2012年から実施されることになっていたが、いったん延期されていたので、今回最終的に決定されれば、2回目の延期となる。この延期は、米国軍を朝鮮半島から撤退させないために韓国側から要望したことであり、その理由は北朝鮮の脅威に対抗するためである。ヘーゲル長官は韓国滞在中に28500人の駐韓米軍兵士を減らさないとも表明している。
また、両者は、北朝鮮が核攻撃を始めることが明らかになれば、米韓両軍は北朝鮮に先制攻撃を加えることにも合意したと、韓国の新聞が伝えたが、ロイターやAPなどはそのような合意はないとするか、明らかでないと否定的に伝えている。常識的にはロイターやAPのほうが正しい。米軍が先制攻撃に合意するなどほぼありえないことである。
北朝鮮は、ヘーゲル長官とキム・クワンジン国防相の会談を「米国の対北朝鮮敵視政策」の証として喧伝するだろう。北朝鮮のパク・キルヨン(朴吉淵)外務次官は1日、国連総会の一般討論演説で、「朝鮮半島の緊張激化の悪循環は米国の敵視政策が原因」と、北朝鮮のかねてからの主張を繰り返したばかりである。
いずれにしても今回の出来事に新味はなさそうである。米韓としては、北朝鮮の反応を当然予想しつつも、今後の軍事協力を確認せざるをえなかったのであろう。これは半年前までは当然のことであったと思われるが、北朝鮮は、金正恩の不思議な采配の下で、今はかなり違う姿勢を見せていると考えれば、どうもちぐはぐな感じが残る。それだけでない。韓国としてもかなり我慢をしつつケソン工業団地の再開に協力していることとも平仄が合わないのではないか。

2013.10.01

朴槿恵大統領の対日批判

報道によれば、韓国の朴槿恵大統領は9月30日、訪韓中のヘーゲル米国防長官との会談で、日韓関係について「歴史や領土問題で後ろ向きの発言をする(日本の)指導部のせいで、信頼が形成できない」「(慰安婦問題については)日本が謝罪はおろか、侮辱を続けている」と非難したそうである。
会談の全貌が分からないので、一部だけを見て判断しないよう気をつけなければならないが、あえて想像を交えて考えれば、ヘーゲル長官が朴槿恵大統領に対し日本との関係改善を求めたことは大いにありうる。日韓両国は米国と価値観を共有する、東アジアの平和と安定の維持にとって重要な国である。東アジアのかなめである。それに対し、朴槿恵大統領は日本の指導者に対するかねてからの批判的姿勢をあらためて示したのであろう。今、その批判に異議を唱えるのではないが、あまりにも率直過ぎるのではないか。
韓国の大統領は5千万韓国人のさまざまな利益を代表している。慰安婦問題について、かりに5千万人の考えが一致していても、日本に対しどのような態度を取るかについては異なる意見があるはずだ。また、現在のみならず、将来も含めて考えれば、日韓関係をどのように改善し、発展させるか。多様な意見があるであろう。
朴槿恵大統領に、慰安婦問題について考えを変えてほしいと希望するのではないし、また、日本の指導者が歴史問題について立派に振舞っていると思うのでもないが、朴槿恵大統領にはもう少し幅のある対応を期待したい。そう期待する理由を論理的に説明することは困難であるが、経験的に、国家間ではある程度の幅のある対応、相手をねじ伏せるのではなく理解を求めるよう説得する姿勢が必要ではないか。朴槿恵大統領の姿勢には、一刀両断に切り捨てるようなところがあるが、日本の政治家を説得することを期待するのはないものねだりであろうか。

2013.09.25

シリアの化学兵器に関する安保理協議など

先般の国連の調査報告は、ダマスカス近郊で化学兵器が使用されたことを認め、どのような状況であったか、その種類などの分析は行なっているが、肝心の、誰が使用したのか、シリア政府か、反体制派かについては断定に至っていない。一部の西側政治家やメディアには、シリア政府が使用したことはほぼ間違いがないとするものもある。
国連は再度調査団を派遣すると言っている。本日(25日)中にも始めるそうであり、さらに事態が明らかになることを期待したい。
化学兵器の廃棄は合意に達するまではもちろん、その後も複雑なプロセスであり、時間もかかる。安保理での決議は早期に成立させなければならないが、米英仏とロ中の意見の溝はまだ大きいようだ。前者は、予定通り進捗しない場合強い行動も必要であることを決議に反映すべきだとし、ロシアは、もしそうなった場合はその時に検討するのがよいと主張している。シリア政府は化学兵器廃棄に同意しているが、米国などが武力行使をしないことが条件だとしているので、米英仏のような内容の決議案ではその点がクリアできないという考えなのであろう。シリア政府は引き延ばしの口実に使うかもしれない。
これらは、各国政府のみならず、我々一般国民も予測できたことであり、それが再び起こってしまったのは残念至極であるが、最近はイスラム原理主義者の活動が活発化しているそうであり、事態はさらに複雑化する危険もある。

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