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2015.11.10
選挙後にどのような新政権が生まれるかは、議会(上下両院)でNLDが過半数を獲得するかにかかっており、そのためには議会の選挙枠、つまり軍人に割り当てられる上下両院それぞれ4分の1を除く議席のうち3分の2を獲得することが必要であるが、その条件も突破すると見込まれている。
新しい議会が招集されるのは来年の1月であり、大統領が選出されるのは2月だ。上院と下院でそれぞれ1人の候補を立て、それに軍人議員が選んだ候補を合わせた3人の中から上下両院の全議員による投票で新大統領が決定される。
ミャンマーで長年民主化運動を指導してきたアウンサンスーチー氏は配偶者が外国人であったため、憲法上大統領になる資格がなく、代わりの人物を立てなければならない。アウンサンスーチー氏自身は大統領を超える存在になると述べているが、具体的にどのような地位になるか興味ある問題だ。いずれにしても同氏が新政権の実質的指導者となるのは間違いない。今回の総選挙によりミャンマーは民主化に向け大きな一歩を踏み出すことになった。まずはめでたいことである。
今後の最大の問題は、以前のように軍人が民主化を阻むか否かである。軍人はミャンマー憲法で、上下両院それぞれで4分の1の議席が別枠として確保されているので合法的に動いても大きな影響力がある。
ミャンマーの民主化は軍人に選挙なしで特別枠を認める憲法を改正しなければ完成しない。それを実現するには、上下両院を合わせた連邦議会の4分の3を超える賛成が必要であり、選挙で選ばれた議員全員が賛成しても、軍人議員が一致して反対すれば、これを拒否することができる。しかも、当選議員全員が憲法改正に賛成することは現実にはありえないことを考慮すると憲法改正の条件はさらに高くなる。
一方、軍人議員ははたして全員憲法改正に反対するかという問題もある。軍人の中には知識レベルの高い人が少なくないと言われており、軍人は4分の1の議席を持っているからと言って必ず憲法改正を阻止できるとは限らない。とくに今後はいつまでも高をくくっているわけにはいかないだろう。
軍人は合法的に反対するだけでなく、1990年の総選挙の際のように、選挙結果を無視することもありうる。また、いったん民主的に政権が成立してもクーデタのように非合法的に選挙結果を否定することもありうる。
しかし、1990年に起こったことは歴史的な事実であっても単純に今回の総選挙に当てはめることはできない。その時は、ミャンマーはまだ閉鎖体制にあり、いわば籠の中での軍政であった。しかし、ミャンマーはすでに対外的に開放されており、これを逆転することは困難だろう。
ミャンマーには日本を含め外国の人、資本が押し寄せており、他の東南アジアがかなりの発展を実現している中でミャンマーは最後のフロンティアなどと言われており、ミャンマーの経済は急速に成長する可能性がある。ミャンマーの人たちは資本主義の仕組み、経営方法などをどん欲に吸収しようとしている。これまでいびつな形になっていた国づくりが、開放体制になることにより効率的になってきている。このような変化は総選挙の前からすでに進行しており、今回の総選挙でさらに励みが付くだろう。現実に人々の暮らしが豊かになるのはそう簡単ではないが、ミャンマーは、政治、経済、社会のいずれの面でも質的な変化が起こりつつあるのではないか。
また、ミャンマーは2014年、ASEANの議長国としての役割をりっぱに果たした。ASEANの一員として他の国と対等な立場につくことはミャンマーの誇りであり、これも改革を後押しする大きな要因だ。
このような内外の状況は軍としても考慮せざるをえないはずだ。そのように考えると、今回の選挙結果を軍が無視したり、覆したりする可能性はかなり低いと思われる。
(短評)ミャンマーの総選挙
11月7日に行われたミャンマーの総選挙で、アウンサンスーチー氏が率いる野党の国民民主連盟(NLD)の大勝が確実になっている。与党の連邦団結発展党(USDP)の党首であるテイン・セイン大統領も、またミャンマーの民主化を阻んできた軍の指導者も与党の敗北を認めたそうだ。選挙後にどのような新政権が生まれるかは、議会(上下両院)でNLDが過半数を獲得するかにかかっており、そのためには議会の選挙枠、つまり軍人に割り当てられる上下両院それぞれ4分の1を除く議席のうち3分の2を獲得することが必要であるが、その条件も突破すると見込まれている。
新しい議会が招集されるのは来年の1月であり、大統領が選出されるのは2月だ。上院と下院でそれぞれ1人の候補を立て、それに軍人議員が選んだ候補を合わせた3人の中から上下両院の全議員による投票で新大統領が決定される。
ミャンマーで長年民主化運動を指導してきたアウンサンスーチー氏は配偶者が外国人であったため、憲法上大統領になる資格がなく、代わりの人物を立てなければならない。アウンサンスーチー氏自身は大統領を超える存在になると述べているが、具体的にどのような地位になるか興味ある問題だ。いずれにしても同氏が新政権の実質的指導者となるのは間違いない。今回の総選挙によりミャンマーは民主化に向け大きな一歩を踏み出すことになった。まずはめでたいことである。
今後の最大の問題は、以前のように軍人が民主化を阻むか否かである。軍人はミャンマー憲法で、上下両院それぞれで4分の1の議席が別枠として確保されているので合法的に動いても大きな影響力がある。
ミャンマーの民主化は軍人に選挙なしで特別枠を認める憲法を改正しなければ完成しない。それを実現するには、上下両院を合わせた連邦議会の4分の3を超える賛成が必要であり、選挙で選ばれた議員全員が賛成しても、軍人議員が一致して反対すれば、これを拒否することができる。しかも、当選議員全員が憲法改正に賛成することは現実にはありえないことを考慮すると憲法改正の条件はさらに高くなる。
一方、軍人議員ははたして全員憲法改正に反対するかという問題もある。軍人の中には知識レベルの高い人が少なくないと言われており、軍人は4分の1の議席を持っているからと言って必ず憲法改正を阻止できるとは限らない。とくに今後はいつまでも高をくくっているわけにはいかないだろう。
軍人は合法的に反対するだけでなく、1990年の総選挙の際のように、選挙結果を無視することもありうる。また、いったん民主的に政権が成立してもクーデタのように非合法的に選挙結果を否定することもありうる。
しかし、1990年に起こったことは歴史的な事実であっても単純に今回の総選挙に当てはめることはできない。その時は、ミャンマーはまだ閉鎖体制にあり、いわば籠の中での軍政であった。しかし、ミャンマーはすでに対外的に開放されており、これを逆転することは困難だろう。
ミャンマーには日本を含め外国の人、資本が押し寄せており、他の東南アジアがかなりの発展を実現している中でミャンマーは最後のフロンティアなどと言われており、ミャンマーの経済は急速に成長する可能性がある。ミャンマーの人たちは資本主義の仕組み、経営方法などをどん欲に吸収しようとしている。これまでいびつな形になっていた国づくりが、開放体制になることにより効率的になってきている。このような変化は総選挙の前からすでに進行しており、今回の総選挙でさらに励みが付くだろう。現実に人々の暮らしが豊かになるのはそう簡単ではないが、ミャンマーは、政治、経済、社会のいずれの面でも質的な変化が起こりつつあるのではないか。
また、ミャンマーは2014年、ASEANの議長国としての役割をりっぱに果たした。ASEANの一員として他の国と対等な立場につくことはミャンマーの誇りであり、これも改革を後押しする大きな要因だ。
このような内外の状況は軍としても考慮せざるをえないはずだ。そのように考えると、今回の選挙結果を軍が無視したり、覆したりする可能性はかなり低いと思われる。
2015.11.09
核兵器の廃絶を求める決議案は日本だけが提出しているのではなく、他の国(グループであることが多い)も同じ目的のために毎年独自の案を提出しているが、内容はまちまちだ。
日本の決議案は例年最も広範な支持を取り付けているが、急進的な国からは「ぬるま湯的だ」とみなされることがある。しかし、肝心の核兵器保有国がそっぽを向いてしまうのでは、どんなにパンチ力がある決議案でも自己満足にすぎないという見方も成り立つ。どの程度の内容にするかは悩ましい問題である。
日本は1994年以来ほぼ同様の内容の決議案を提出してきたが、今年は、世界の指導者に被爆地を訪問することを促す一文を追加した。この提案は最近日本が力を入れているものであり、半年前の核兵器不拡散条約(NPT)の再検討会議でも同様の提案を行なった。その目的は、核兵器の非人道性について世界の指導者が被ばくの現地で理解を深めてもらうことにあるが、中国はNPT再検討会議の際も、また今回の第1委員会においてもこの提案に激しく反対した。
中国のこの立場は特異なものであるが、これはさておき、米英仏などが昨年と違って棄権したのは、この追加文のためであろう。その背景には、過去2年来、核兵器の非人道性を確立しようとする動きが各国間で広がっており、核兵器国は警戒心を高めていたという事情がある。日本の新しい提案は非人道性を認識させる有力な方法なのだ。
核兵器国も「核兵器は非人道的だ」ということを正面から否定するのではないが、恐れているのは、核兵器が違法であり、したがってまたその使用を禁止されることだ。分かりやすく言えば、核兵器国も核兵器は廃絶すべきであるという点では非核兵器国と基本的には同じ考えだが、今直ちに使用を禁止されるのは困るということだ。
今年の国連総会で日本は健闘した。今後はどうするか、とくに来年の国連総会第1委員会でどのように臨むべきか。
世界の指導者が被爆地を訪問することは極めて重要なことであり、その考えは米国などが刺激されているからと言ってひっこめてはならないと思う。核兵器の非人道性を確立することは世界のためだ。日本では、核兵器の惨禍は体験で知っていることであり、説明する必要などないが、世界の人たちは同じでない。核兵器は他の兵器と変わらない、爆発の規模が大きいだけだと思っている人が少なくないのが現実だ。
日本が提出し、米国が棄権した核軍縮決議案
国連の第1委員会で11月2日、日本が提出した核軍縮決議案が採択されたが、昨年は日本案を積極的に支持し、共同提案国にもなった米国や英国は今年棄権した。フランスは昨年共同提案国にはならなかったものの賛成したが、今年は米英と同様棄権した。核兵器の廃絶を求める決議案は日本だけが提出しているのではなく、他の国(グループであることが多い)も同じ目的のために毎年独自の案を提出しているが、内容はまちまちだ。
日本の決議案は例年最も広範な支持を取り付けているが、急進的な国からは「ぬるま湯的だ」とみなされることがある。しかし、肝心の核兵器保有国がそっぽを向いてしまうのでは、どんなにパンチ力がある決議案でも自己満足にすぎないという見方も成り立つ。どの程度の内容にするかは悩ましい問題である。
日本は1994年以来ほぼ同様の内容の決議案を提出してきたが、今年は、世界の指導者に被爆地を訪問することを促す一文を追加した。この提案は最近日本が力を入れているものであり、半年前の核兵器不拡散条約(NPT)の再検討会議でも同様の提案を行なった。その目的は、核兵器の非人道性について世界の指導者が被ばくの現地で理解を深めてもらうことにあるが、中国はNPT再検討会議の際も、また今回の第1委員会においてもこの提案に激しく反対した。
中国のこの立場は特異なものであるが、これはさておき、米英仏などが昨年と違って棄権したのは、この追加文のためであろう。その背景には、過去2年来、核兵器の非人道性を確立しようとする動きが各国間で広がっており、核兵器国は警戒心を高めていたという事情がある。日本の新しい提案は非人道性を認識させる有力な方法なのだ。
核兵器国も「核兵器は非人道的だ」ということを正面から否定するのではないが、恐れているのは、核兵器が違法であり、したがってまたその使用を禁止されることだ。分かりやすく言えば、核兵器国も核兵器は廃絶すべきであるという点では非核兵器国と基本的には同じ考えだが、今直ちに使用を禁止されるのは困るということだ。
今年の国連総会で日本は健闘した。今後はどうするか、とくに来年の国連総会第1委員会でどのように臨むべきか。
世界の指導者が被爆地を訪問することは極めて重要なことであり、その考えは米国などが刺激されているからと言ってひっこめてはならないと思う。核兵器の非人道性を確立することは世界のためだ。日本では、核兵器の惨禍は体験で知っていることであり、説明する必要などないが、世界の人たちは同じでない。核兵器は他の兵器と変わらない、爆発の規模が大きいだけだと思っている人が少なくないのが現実だ。
2015.11.06
中国と台湾が接触する場合、正式にはお互いに国家として認めていないので、相手方を何と呼ぶかが問題になる。とくに中国の主席と台湾の総統の場合ごまかしがきかないが、7日の会談では、肩書を外して会うこととした。これであれば問題を回避できるだろう。
会談の場所も以前から問題であったが、双方が受け入れられるシンガポールにした。
今回の首脳会談開催の決定は、来年1月に予定されている台湾の総統選挙が最大の理由だと思われる。台湾の世論調査では、与党国民党の朱立倫候補は民進党の蔡英文候補にかなり引き離されており、勝ち目はないというのが大方の見方だ。国民党が敗ければ、2008年に民進党から奪い返した政権を再び手渡すことになる。
馬英九としてはなんとか国民党の候補に勝たせてやりたいので、中台のトップ会談を希望し、粘り強く交渉して会談の実現にこぎつけたようだ。
そもそも、2008年に民進党から総統の地位を奪回することができたのは、同党の独立志向が強く、それでは中国との経済関係に悪影響があることを台湾人が恐れたからであった。そのような傾向は現在もある程度続いているが、国民党政権の8年間に状況は大きく変化し、台湾企業の大陸への依存度は著しく低下している。また、民進党は勢力を回復し、政治的にも成熟度を高めている。
また、一般人の間では、「中国人」と呼ばれることを嫌い、「台湾人」でありたいとする人が顕著に増えている。
一方、中国は、依然として民進党を危険視し、今後も国民党の政権が続くことを望んでいる。しかし、現在の選挙戦の状況では国民党が負けそうなので、習近平は馬英九の求めに応じることとしたのだろう。中台のトップ会談は台湾人に中国の重要性を再認識させることに役立つと考えたわけだ。これまでは台湾の総統が会いたいと言ってきても対等の立場では会わないとはねつけてきたことにかんがみるとかなりの変わりようである。しかも、馬英九総統は任期の終わりに近づいており、常識的にはこのようなタイミングで首脳会談に応じるのは珍しいことである。
しかし、中台のトップ会談は両刃の剣である。台湾人に中国との関係の重要性をリマインドする以上に、台湾人をますます国民党嫌いにさせる危険がある。習近平としてもそのことは十分考慮しているはずであり、7日の会談では、中国は怖くないという印象を与えようと努めるだろうが、台湾人の中国嫌いの傾向を変えることは望みえないことである。
馬英九としても台湾人にマイナスの影響を与えないよう気を使っており、5日の記者会見では、台湾の民意は中台関係の「現状維持」を求めているとする一方、独立志向の強い民進党が政権を奪回した場合に現状を維持できるかと疑問を呈した。「現状維持」は多数の台湾人が望んでいることであり、民進党の蔡英文候補はそれを看板にしている。馬英九は相手の看板にすり寄り、逆手に取りながら攻撃したのだ。
なお、南シナ海での米中の対立に台湾は直接的には関与していないが、かりに南シナ海での中国の影響力が増大すれば台湾の安全は危うくなる。
しかし、この問題を話題にすれば中台の違いを際立たせることになる恐れがあり、それでは総統選で不利な状況にある国民党候補に肩入れするという目的に反することとなるのでおそらく話題としないだろうが、台湾の立場については問題がある(10月27日の当研究所HP「米艦による人工島から12カイリ内への立ち入りとインドネシア、台湾の反応」)。習近平・馬英九会談の一つの重要な背景である。
習近平主席と馬英九総統の会談
習近平中国主席と台湾の馬英九総統の会談が。7日、シンガポールで行われることとなった。国民党政府が1940年代後半に台湾へ移動して以来、中台のトップによる初めての会談なので注目されている。中国と台湾が接触する場合、正式にはお互いに国家として認めていないので、相手方を何と呼ぶかが問題になる。とくに中国の主席と台湾の総統の場合ごまかしがきかないが、7日の会談では、肩書を外して会うこととした。これであれば問題を回避できるだろう。
会談の場所も以前から問題であったが、双方が受け入れられるシンガポールにした。
今回の首脳会談開催の決定は、来年1月に予定されている台湾の総統選挙が最大の理由だと思われる。台湾の世論調査では、与党国民党の朱立倫候補は民進党の蔡英文候補にかなり引き離されており、勝ち目はないというのが大方の見方だ。国民党が敗ければ、2008年に民進党から奪い返した政権を再び手渡すことになる。
馬英九としてはなんとか国民党の候補に勝たせてやりたいので、中台のトップ会談を希望し、粘り強く交渉して会談の実現にこぎつけたようだ。
そもそも、2008年に民進党から総統の地位を奪回することができたのは、同党の独立志向が強く、それでは中国との経済関係に悪影響があることを台湾人が恐れたからであった。そのような傾向は現在もある程度続いているが、国民党政権の8年間に状況は大きく変化し、台湾企業の大陸への依存度は著しく低下している。また、民進党は勢力を回復し、政治的にも成熟度を高めている。
また、一般人の間では、「中国人」と呼ばれることを嫌い、「台湾人」でありたいとする人が顕著に増えている。
一方、中国は、依然として民進党を危険視し、今後も国民党の政権が続くことを望んでいる。しかし、現在の選挙戦の状況では国民党が負けそうなので、習近平は馬英九の求めに応じることとしたのだろう。中台のトップ会談は台湾人に中国の重要性を再認識させることに役立つと考えたわけだ。これまでは台湾の総統が会いたいと言ってきても対等の立場では会わないとはねつけてきたことにかんがみるとかなりの変わりようである。しかも、馬英九総統は任期の終わりに近づいており、常識的にはこのようなタイミングで首脳会談に応じるのは珍しいことである。
しかし、中台のトップ会談は両刃の剣である。台湾人に中国との関係の重要性をリマインドする以上に、台湾人をますます国民党嫌いにさせる危険がある。習近平としてもそのことは十分考慮しているはずであり、7日の会談では、中国は怖くないという印象を与えようと努めるだろうが、台湾人の中国嫌いの傾向を変えることは望みえないことである。
馬英九としても台湾人にマイナスの影響を与えないよう気を使っており、5日の記者会見では、台湾の民意は中台関係の「現状維持」を求めているとする一方、独立志向の強い民進党が政権を奪回した場合に現状を維持できるかと疑問を呈した。「現状維持」は多数の台湾人が望んでいることであり、民進党の蔡英文候補はそれを看板にしている。馬英九は相手の看板にすり寄り、逆手に取りながら攻撃したのだ。
なお、南シナ海での米中の対立に台湾は直接的には関与していないが、かりに南シナ海での中国の影響力が増大すれば台湾の安全は危うくなる。
しかし、この問題を話題にすれば中台の違いを際立たせることになる恐れがあり、それでは総統選で不利な状況にある国民党候補に肩入れするという目的に反することとなるのでおそらく話題としないだろうが、台湾の立場については問題がある(10月27日の当研究所HP「米艦による人工島から12カイリ内への立ち入りとインドネシア、台湾の反応」)。習近平・馬英九会談の一つの重要な背景である。
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