オピニオン
2022.07.02
この事業に日本からは三井物産と三菱商事がそれぞれ12・5%、10%、英石油大手のシェルが27・5%出資しているが、新会社はすべての権利と義務、従業員を無償で引き継ぐ。日本企業が新会社の株式を取得できる可能性もあるそうだが、ロシア側の条件通りに取得を申請し、承認を受ける必要がある。株式を取得しなかった場合は、売却資金を得られる仕組みだが、ロシア国内の口座に実質的に「凍結」されるうえ、減額される恐れもある。これらを勘案すると日本の企業が補償を受ける可能性は極めて低いと言わざるを得ない。
シェルはロシアのウクライナ侵攻後にいち早く撤退を決め、売却交渉を中国企業としているという。
関係企業にとっての損失と同時に、日本国についても甚大な影響が及ぶ恐れがある。日本は輸入するLNG全体の8・8%(2021年)をロシアに依存しており、その大半を占めているサハリン2からの供給がなくなるからである。今夏、日本は電力需給がひっ迫気味であるうえに、この問題が生じるわけであり、状況はますます悪化しそうだ。
ただし、新会社としても獲得したLNGをどこかに売却しなければならず、日本にも輸出を継続する可能性もないではないが、売却条件はロシア政府が完全に握っており、これまでのようにはいかないだろう。
ロシア政府は今回の措置を取った理由として、関係する外国企業や外国人の契約違反により、住民生活への脅威が発生したことなどをあげているが、だれもそんなことは信じない。かりにそういう問題が本当にあったとしても、関係の法規と国際慣習に従って解決を図るべきものであり、一方的に接収することは認められない。
日本としては今後もロシアとの友好関係を維持し、また信頼関係の構築に努めるべきは当然だが、ロシアに依存する関係は解消していかなければならない。
ロシアによるサハリン2の「接収」
ロシアのプーチン大統領は6月30日、ロシア極東サハリンの液化天然ガス(LNG)・石油開発事業「サハリン2」の運営を、新たに設立するロシア企業に譲渡させる措置を取った。表向きそうは言わないが、ウクライナ侵攻に関する対ロ制裁への対抗措置であることは間違いない。この事業に日本からは三井物産と三菱商事がそれぞれ12・5%、10%、英石油大手のシェルが27・5%出資しているが、新会社はすべての権利と義務、従業員を無償で引き継ぐ。日本企業が新会社の株式を取得できる可能性もあるそうだが、ロシア側の条件通りに取得を申請し、承認を受ける必要がある。株式を取得しなかった場合は、売却資金を得られる仕組みだが、ロシア国内の口座に実質的に「凍結」されるうえ、減額される恐れもある。これらを勘案すると日本の企業が補償を受ける可能性は極めて低いと言わざるを得ない。
シェルはロシアのウクライナ侵攻後にいち早く撤退を決め、売却交渉を中国企業としているという。
関係企業にとっての損失と同時に、日本国についても甚大な影響が及ぶ恐れがある。日本は輸入するLNG全体の8・8%(2021年)をロシアに依存しており、その大半を占めているサハリン2からの供給がなくなるからである。今夏、日本は電力需給がひっ迫気味であるうえに、この問題が生じるわけであり、状況はますます悪化しそうだ。
ただし、新会社としても獲得したLNGをどこかに売却しなければならず、日本にも輸出を継続する可能性もないではないが、売却条件はロシア政府が完全に握っており、これまでのようにはいかないだろう。
ロシア政府は今回の措置を取った理由として、関係する外国企業や外国人の契約違反により、住民生活への脅威が発生したことなどをあげているが、だれもそんなことは信じない。かりにそういう問題が本当にあったとしても、関係の法規と国際慣習に従って解決を図るべきものであり、一方的に接収することは認められない。
日本としては今後もロシアとの友好関係を維持し、また信頼関係の構築に努めるべきは当然だが、ロシアに依存する関係は解消していかなければならない。
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