オピニオン
2022.07.01
日本の女子バレーが金メダルを獲得して「東洋の魔女」と名をはせたのは1964年の東京オリンピックのこと。最近十数年は芳しくない状況が続いていた。2012年のロンドンオリンピックで銅メダルを獲得した時はそれでもちょっとしたニュースになったが、その後はまたランクが下がり、2016年のリオ五輪では準々決勝で敗退。2021年開催の東京五輪では25年ぶりの1次予選敗退となってしまった。そうなると選手には申し訳ないが、テレビをみることもなくなってしまった。
ところが、今回のネーションズリーグがはじまるや、日本チームは第1戦から勝ち続けた。私があれっと思い始めたのは4戦目で強豪米国に勝った後であり、第8戦目では中国を下して8戦全勝となった時には、「いったいどうなったのだ」と、うれしさのあまり唖然としてしまった。
この日本チームを率いているのは真鍋政義監督である。その下でチームが世界の強豪チームを撃破しているのは誠に喜ばしい。また中田前監督のご尽力にも敬意を表したい。十数人もの選手から成るチームがある日突然強くなることはありえない。今日の全日本女子チームは中田監督の下ではぐくまれ、鍛えられたのだと思う。
真鍋監督は手ごたえ以上の自信を感じているようである。当然である。それに、私は今回、真鍋氏がユーモアのセンスを持ちあわせていることに気づいた。試合後の会見の際などに全日本女子チームの元選手に冗談を飛ばして笑わせている。それも辛しのきいた冗談だ。これからもおおおいに楽しませていただきたいものである。
真鍋氏はリオ五輪後に監督を辞任し、その後、出身地の姫路で「ヴィットリーナ姫路」という女子バレーチームを立ち上げ、取締役球団オーナーとして選手の育成に尽力してきた。全日本のセッターとして大活躍した竹下佳江氏もヴィクトリーナ姫路の監督を経て現在も役員を務める傍ら全日本のアドバイザーを兼ねている。私は真鍋監督と同じ姫路出身である。20歳年長であり、真鍋氏にも竹下氏にもお目にかかったことはないが、両氏を通じて東京と姫路の関係がさらに発展すればよいなと期待している。
本稿は、実は、以上では終われない。選手の個人名を出すのは礼儀に反するかもしれないが、あえて名前を出して述べることとしたい。古賀紗理那選手であり、今でこそ「主将でエース」と尊敬されているが、今日に至る道は平たんでなかった。古賀は十代のころから嘱望されていたのだが、約1年前までは、そう言っては失礼千万だろうが、パッとしなかった。2016年真鍋監督が発表したリオデジャネイロ五輪の12人の代表メンバーの中に古賀紗理那の名前はなかった。代表落ちは大変なショックであり、目標としてきたものを逃したことは言葉では表せなかったという。当然であろう。昨年の東京五輪では初戦のケニア戦で右足を負傷し、抱かれて退場し、その後2試合を欠場。東京オリンピックでは、日本チームは25年ぶりの1次予選敗退となってしまった。これがわずか1年前のことである。
ところが、2022年に入るや状況はがぜん違ってきた。前述したように日本チームは宿敵の米国や中国のチームを次々に撃破した。古賀選手はその中心であり、後方からのバックアタック、側方からのクロスを面白いように決めた。中国には2メートルを超す選手がいる。ちょうど20センチ高いのだが、古賀選手はその高さをものともせず、強烈なスパイクで打ち抜いた。
日本チーム全体が一大変化を遂げたのだが、なかでも古賀選手は大化けして我々の(私の?)前に現れた。どうしてそんなことが可能であったのか。若いころから将来を嘱望されていただけに立ちはだかった茨はいたかったはずである。本当によくやったと思う。同氏は私の孫の世代だが、あらためて敬意を表したい。
日本のメディアではバレーボールの試合がすべて報道されるわけではないが、You tubeが補っている。映像技術の発達により細かい動作までカメラは追ってくれる。相手が勢いよく日本側のコートに打ち込んできてもボールはなかなか下に落ちない。文字通り指一本で拾い上げ、そして何倍も強いボールを相手側に打ち込む。ノリのよい外国の報道は日本チームの超人的なプレーに大興奮である。
今後日本チームは6月30日からカナダで4戦し、その後ファイナルラウンドへ進む。今の勢いを続けられれば優勝も夢でないという。楽しみである。カナダでの第一戦ではオランダチームに惜敗したが、力は互角であった。今後も勝ち進んでいくと信じている。
驚きの日本女子バレーボールチーム
日本の女子バレーボールチームは6月19日、中国チームと対戦し、3対1、つまりとられたのは1セットだけで、3セットをとり勝利を収めた。中国チームはリオ五輪で金メダルを獲得。現在の世界ランキングはネーションズリーグ開始前で3位であり、常に世界のトップクラスである。日本は6位であった。平均身長は、日本チームは約175センチだが、中国チームは日本より10センチ以上高い。しかし、日本はそんな高さの差などモノともせず圧勝したのだ。日本の女子バレーが金メダルを獲得して「東洋の魔女」と名をはせたのは1964年の東京オリンピックのこと。最近十数年は芳しくない状況が続いていた。2012年のロンドンオリンピックで銅メダルを獲得した時はそれでもちょっとしたニュースになったが、その後はまたランクが下がり、2016年のリオ五輪では準々決勝で敗退。2021年開催の東京五輪では25年ぶりの1次予選敗退となってしまった。そうなると選手には申し訳ないが、テレビをみることもなくなってしまった。
ところが、今回のネーションズリーグがはじまるや、日本チームは第1戦から勝ち続けた。私があれっと思い始めたのは4戦目で強豪米国に勝った後であり、第8戦目では中国を下して8戦全勝となった時には、「いったいどうなったのだ」と、うれしさのあまり唖然としてしまった。
この日本チームを率いているのは真鍋政義監督である。その下でチームが世界の強豪チームを撃破しているのは誠に喜ばしい。また中田前監督のご尽力にも敬意を表したい。十数人もの選手から成るチームがある日突然強くなることはありえない。今日の全日本女子チームは中田監督の下ではぐくまれ、鍛えられたのだと思う。
真鍋監督は手ごたえ以上の自信を感じているようである。当然である。それに、私は今回、真鍋氏がユーモアのセンスを持ちあわせていることに気づいた。試合後の会見の際などに全日本女子チームの元選手に冗談を飛ばして笑わせている。それも辛しのきいた冗談だ。これからもおおおいに楽しませていただきたいものである。
真鍋氏はリオ五輪後に監督を辞任し、その後、出身地の姫路で「ヴィットリーナ姫路」という女子バレーチームを立ち上げ、取締役球団オーナーとして選手の育成に尽力してきた。全日本のセッターとして大活躍した竹下佳江氏もヴィクトリーナ姫路の監督を経て現在も役員を務める傍ら全日本のアドバイザーを兼ねている。私は真鍋監督と同じ姫路出身である。20歳年長であり、真鍋氏にも竹下氏にもお目にかかったことはないが、両氏を通じて東京と姫路の関係がさらに発展すればよいなと期待している。
本稿は、実は、以上では終われない。選手の個人名を出すのは礼儀に反するかもしれないが、あえて名前を出して述べることとしたい。古賀紗理那選手であり、今でこそ「主将でエース」と尊敬されているが、今日に至る道は平たんでなかった。古賀は十代のころから嘱望されていたのだが、約1年前までは、そう言っては失礼千万だろうが、パッとしなかった。2016年真鍋監督が発表したリオデジャネイロ五輪の12人の代表メンバーの中に古賀紗理那の名前はなかった。代表落ちは大変なショックであり、目標としてきたものを逃したことは言葉では表せなかったという。当然であろう。昨年の東京五輪では初戦のケニア戦で右足を負傷し、抱かれて退場し、その後2試合を欠場。東京オリンピックでは、日本チームは25年ぶりの1次予選敗退となってしまった。これがわずか1年前のことである。
ところが、2022年に入るや状況はがぜん違ってきた。前述したように日本チームは宿敵の米国や中国のチームを次々に撃破した。古賀選手はその中心であり、後方からのバックアタック、側方からのクロスを面白いように決めた。中国には2メートルを超す選手がいる。ちょうど20センチ高いのだが、古賀選手はその高さをものともせず、強烈なスパイクで打ち抜いた。
日本チーム全体が一大変化を遂げたのだが、なかでも古賀選手は大化けして我々の(私の?)前に現れた。どうしてそんなことが可能であったのか。若いころから将来を嘱望されていただけに立ちはだかった茨はいたかったはずである。本当によくやったと思う。同氏は私の孫の世代だが、あらためて敬意を表したい。
日本のメディアではバレーボールの試合がすべて報道されるわけではないが、You tubeが補っている。映像技術の発達により細かい動作までカメラは追ってくれる。相手が勢いよく日本側のコートに打ち込んできてもボールはなかなか下に落ちない。文字通り指一本で拾い上げ、そして何倍も強いボールを相手側に打ち込む。ノリのよい外国の報道は日本チームの超人的なプレーに大興奮である。
今後日本チームは6月30日からカナダで4戦し、その後ファイナルラウンドへ進む。今の勢いを続けられれば優勝も夢でないという。楽しみである。カナダでの第一戦ではオランダチームに惜敗したが、力は互角であった。今後も勝ち進んでいくと信じている。
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