平和外交研究所

ブログ

朝鮮半島

2023.08.17

日米韓首脳会談2023年8月

 岸田首相、バイデン米国大統領および尹錫悦韓国大統領は18日、米ワシントン近郊のキャンプデービッド山荘で会談する。過去1年間、3首脳は複数回あってきた。岸田首相は1月に、尹錫悦大統領は4月に訪米し、また3人の首脳は5月のG7広島サミットで会談した。これだけでも決して少なくないが、さらに8月米国で会談することにしたのである。その会談目的についてブリンケン国務長官は経済安全保障、人道支援、途上国の開発支援、先端技術、公衆衛生、などに関する協力などに言及しつつ、「3か国の協力関係を制度化する」と説明している。この説明は興味深い。

 経済安全保障などブリンケン長官が示した個別の問題についての協力はもちろん重要であるが、過去1年の間に何回も会ってきた3首脳があらためて集まって協議するにはさらに大きな方向性があるはずである。

 韓国の尹錫悦大統領が登場して以来、米韓の同盟関係は前任の文在寅大統領時代に比べ顕著に改善された。文時代には米国との同盟か、中国との伝統的関係かいずれが重要か明確でなかったが、尹氏はその不正常な状態を明らかに同盟重視に戻した。北朝鮮との特別の関係についても文氏のような情緒的なとらえ方でなく、民主主義を貫くことが大事だとプライオリティを明確に示し、米国はもとより日本との関係も改善させた。文大統領に限らないが韓国の歴代大統領のどっちつかずの姿勢に米国は不満を募らせてきたが、尹錫悦大統領の登場とともにそれが解消される第一歩を踏み出したのである。

 このことは米国の外交にとっても、また日本を含む3者間の関係においても大きな前進であり、また中国と北朝鮮にとっては後退に他ならなかった。

 しかし、韓国の大統領は任期が5年であり、4年後には尹氏から新大統領となる。その交代後も日米韓の3国関係が現在のような良好な状態にあり続ける保証はない。また4年の間においても韓国はG7首脳国会議への参加を求め、日米などに支持を求めてくるかもしれない。そんな場合に日米両国はどのように対応できるか。

 そんなことも考慮すれば、日米韓3国にとって、とくに日米にとって決定的に重要なことは、現在の良好な関係を維持するのはもちろん、後戻りさせないことである。ブリンケン長官が言った「3か国の協力関係を制度化する」とはそのことを意味している。「制度化」とは言葉としては必ずしもパンチが効いていないが、その趣旨は、今後も後戻りさせないための努力を続けることにある。3者協議を毎年開催するのも結構だが、ポスト尹錫悦大統領を見越して手を打っていくことが肝要である。

アーカイブ

検索

このページのトップへ

Copyright©平和外交研究所 All Rights Reserved.