平和外交研究所

7月, 2017 - 平和外交研究所 - Page 4

2017.07.01

米韓両国首脳の初会談

 訪米した文在寅韓国大統領は6月29~30日、ドナルド・トランプ米国大統領と初めて会談した。会談後には共同声明が発出されたが、文在寅政権と米国はやはり重要な問題について考えが違うことをあらためて印象付けるものであった。
 米国は韓国に対し、高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)については両国間の合意に従い配備することを受け入れること(配備するのは米軍)、また米韓自由貿易協定(FTA)については再交渉に応じることを求めていた。今次会談では率直な議論が行われたものと推測されるが、明確な結論は出なかったようだ。共同声明ではいずれの点も直接には触れられなかった。これを見れば、文在寅氏の頑張りが成功したとも解しうる。
 一方、米国としては、この共同声明は100点満点ではないが、米韓両国の軍事防衛面での協力を両首脳が再確認したことを詳しく述べており、その中でTHAADの配備についても読めるという考えなのだろう。
 また、FTAの再交渉につても共同声明の文言は間接的だが、貿易に関する問題点はしっかりと言及していると見ているのだろう。トランプ氏は、共同声明発表の際に、米国がFTAの再交渉を強く要求したことを明らかにしている。文在寅氏が強く反対したのであれば、トランプ氏としてもそう言えなかったと思われる。
なお、米政府は、近く韓国に対し再交渉の開始を求める方針であるとも別途伝えられている。

 北朝鮮問題についても両者の考えは違っており、文在寅氏は何とかして北朝鮮との対話の途を開きたいとの考えであったが、トランプ氏は対話の開始には慎重であり、一定の条件、ないし環境が必要だとの考えであり、文在寅氏が突っ走ることを警戒していた。
 共同声明は、「北朝鮮との対話の門は、適切な状況の下であれば開かれている(The door to dialogue with North Korea remains open under the right circumstances.)」とした。これはトランプ氏の主張に近い。
 また、トランプ氏は中国が北朝鮮にこれまで以上積極的に働きかけることを望んでおり、共同声明には両首脳が「中国の重要な役割」について合意したと記載された。このことは、翻って考えれば、トランプ氏は韓国には北朝鮮の非核化問題で期待しなかったことを示唆しているのではないか。
 一方、トランプ氏は北朝鮮問題など北東アジアの安全保障について日本を含めた3国間の協力が必要であることを強調したらしく、共同声明は3国間協力についてかなりのスペースを割いた。また、7月末にドイツで行われるG20の際にこの3国間の協議を行うことまで記載した。これらのことを文在寅大統領が積極的に求めたとは考えられない。
 推測を交えてのことだが、以上のように見れば、今次首脳会談でトランプ氏は自説をかなり通したと解すべきであろう。

 一方、文在寅氏は今次首脳会談の結果をどのように受け止めているか。文在寅氏は今後も非核化を含め北朝鮮との関係改善に熱心な姿勢を見せるだろう。それは韓国の立場としてもっともなことであるが、それにしても米国と韓国はズレているのではないかと気になる。

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