5月, 2014 - 平和外交研究所 - Page 4
2014.05.14
(及川さん)今回、学内の人文科学研究所主催という形で、下記のイベントを企画しました。対外的にもオープンな企画で、事前の申し込みも特に必要ありませんので、ご関心とお時間がありましたら、ぜひご参加下さい。
第1部は、翰光監督の映画『亡命』(ダイジェスト版)を上映します。
すでに9日の東大でのイベントでご覧になっておられる方もいらっしゃると思います。今回は、上映会第二弾です!
29日は、第1、第2部の全体はもちろんですが、第2部のみのご参加も大歓迎です。
第2部は、天安門事件後に逮捕・投獄を経てアメリカに亡命した知識人、友人の陳破空さんが、今回ニューヨークから来日されるのに合わせた講演会です。陳破空さんは、昨年『赤い中国消滅』(扶桑新書)を刊行されました。今月は文春新書、今後は幻冬舎新書と出版予定も続き、ご活躍が注目されている方です。
今回は、翰光監督のご好意により、映画『亡命』の特別バージョンとして本編では公開されなかった陳破空さんのインタビューもあわせて上映する予定です。
なお、すでに報道もありますので、皆様ご存知の通りと存じますが、3日北京で、徐友漁さん、浦志強さんたちが、事件25周年記念の研究会を開催したことを理由に、現在、刑事拘留されています。とても厳しい状況です。
日本をはじめ、世界的にも注視され、支援の輪が広がっています。日本からのアピールについて、ご案内が重複している場合はお許しください。
最新情報として、本日18時のNHKニュースでの報道を、以下でご覧頂けます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140513/k10014417281000.html
29日の企画では、本件に関する最新情報の共有を含めて、みなさまとも議論できればと考えています。
ご参加を心よりお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 及川淳子
************ ご案内 *************
【映画と講演の集い】
天安門事件25周年によせて――活動家たちは今
【日時】2014年5月29日(木)14:45~17:30(最長18時まで)
【会場】日本大学文理学部 3号館3507教室
アクセス:http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/
キャンパスマップ:http://www.chs.nihon-u.ac.jp/about_chs/campus_map/
(3507教室は、3号館5階、エレベータ右手の大教室です)
【主催】日本大学文理学部人文科学研究所総合研究
「近現代におけるナショナリズムと歴史認識への各国の対応に関する研究」班
(代表:小浜正子・中国語中国文化学科教授)
【プログラム】
第一部 14:45~16:10
主旨説明(小浜正子) 講演者紹介(及川淳子・文理学部非常勤講師)
翰光監督講演「越境者・亡命者が語る近現代中国」(日本語)
映画『亡命 Outside the Great Wall』上映(ダイジェスト版、40分)
(16:10~16:20 休憩)
第二部 16:20~17:30
陳破空氏講演「My Story~民主化運動から亡命まで」(中国語、逐次通訳)
質疑応答、討論
このご案内は、転送大歓迎です!
ご関心のありそうな方に、ご案内頂けましたら嬉しいです。
天安門事件25周年 映画と講演の集い
及川淳子さん(研究分野は現代中国の言論空間。現在は、法政大学客員学術研究員、桜美林大学北東アジア総合研究所客員研究員、日本大学文理学部非常勤講師。著書『現代中国の言論空間と政治文化――「李鋭ネットワーク」の形成と変容』(御茶の水書房、2012年)など)から次の案内が来ています。転送歓迎ということですので掲載しました。(及川さん)今回、学内の人文科学研究所主催という形で、下記のイベントを企画しました。対外的にもオープンな企画で、事前の申し込みも特に必要ありませんので、ご関心とお時間がありましたら、ぜひご参加下さい。
第1部は、翰光監督の映画『亡命』(ダイジェスト版)を上映します。
すでに9日の東大でのイベントでご覧になっておられる方もいらっしゃると思います。今回は、上映会第二弾です!
29日は、第1、第2部の全体はもちろんですが、第2部のみのご参加も大歓迎です。
第2部は、天安門事件後に逮捕・投獄を経てアメリカに亡命した知識人、友人の陳破空さんが、今回ニューヨークから来日されるのに合わせた講演会です。陳破空さんは、昨年『赤い中国消滅』(扶桑新書)を刊行されました。今月は文春新書、今後は幻冬舎新書と出版予定も続き、ご活躍が注目されている方です。
今回は、翰光監督のご好意により、映画『亡命』の特別バージョンとして本編では公開されなかった陳破空さんのインタビューもあわせて上映する予定です。
なお、すでに報道もありますので、皆様ご存知の通りと存じますが、3日北京で、徐友漁さん、浦志強さんたちが、事件25周年記念の研究会を開催したことを理由に、現在、刑事拘留されています。とても厳しい状況です。
日本をはじめ、世界的にも注視され、支援の輪が広がっています。日本からのアピールについて、ご案内が重複している場合はお許しください。
最新情報として、本日18時のNHKニュースでの報道を、以下でご覧頂けます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140513/k10014417281000.html
29日の企画では、本件に関する最新情報の共有を含めて、みなさまとも議論できればと考えています。
ご参加を心よりお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 及川淳子
************ ご案内 *************
【映画と講演の集い】
天安門事件25周年によせて――活動家たちは今
【日時】2014年5月29日(木)14:45~17:30(最長18時まで)
【会場】日本大学文理学部 3号館3507教室
アクセス:http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/
キャンパスマップ:http://www.chs.nihon-u.ac.jp/about_chs/campus_map/
(3507教室は、3号館5階、エレベータ右手の大教室です)
【主催】日本大学文理学部人文科学研究所総合研究
「近現代におけるナショナリズムと歴史認識への各国の対応に関する研究」班
(代表:小浜正子・中国語中国文化学科教授)
【プログラム】
第一部 14:45~16:10
主旨説明(小浜正子) 講演者紹介(及川淳子・文理学部非常勤講師)
翰光監督講演「越境者・亡命者が語る近現代中国」(日本語)
映画『亡命 Outside the Great Wall』上映(ダイジェスト版、40分)
(16:10~16:20 休憩)
第二部 16:20~17:30
陳破空氏講演「My Story~民主化運動から亡命まで」(中国語、逐次通訳)
質疑応答、討論
このご案内は、転送大歓迎です!
ご関心のありそうな方に、ご案内頂けましたら嬉しいです。
2014.05.13
そもそも、住民投票で問われたことは「独立に賛成するか」という問いに限定されていたのでなく、さらに広く自治の拡大を求めるとも読める内容であったらしい。そうであれば、投票で示された住民の意思は何なのか。これら2州では多数を占めているロシア系住民が自治の拡大を求めていることはすでに知られていることである。
この他にも問題は多々ある。過激な行動に走っている者のなかには外からはいりこんでいるものがいる。1人で複数回、あるいは複数の投票をする者もいた。票の管理はかなり杜撰で、投票が終わった後さらに票を加えることも可能であった。これら報道されていることがどこまで確認されているか、問題がないわけではないが、今回の投票がかなりひどい状況の中で行なわれたことはほぼ間違いないであろう。
過激な親ロシア派はクリミアの例に味をしめ、これら2州でも同じことを起こそうとしたのであろう。その背景には、ソ連邦の解体後状況がまだ落ち着いておらず、とくに経済はひどい状況にあり、住民が不満を募らせるのは無理もないが、クリミアとは違う側面がある。クリミアにはロシアにとって重要な地中海艦隊基地があるが、東部ウクライナにはそのようなところはない。また、プーチン大統領が住民投票を延期するよう呼びかけたことも大きい。東ウクライナはロシアにとって、ロシア系住民が多いということもさることながら、下手をすればいわゆる「お荷物」になるおそれもある。クリミアの住民はロシアに併合されれば、給与や年金などが倍くらいになると期待感を膨らませているようだが、ロシアは金のなる木でない。エネルギー収入に大きく頼る経済であり、底は深くない。
さらに問題なのは、ロシアがウクライナを緩衝国として必要としていることである。もし、民族問題がさらに激しくなってウクライナ全体に影響がおよんで不安定化し、その結果欧米側に行ってしまうと困るのはロシアである。ロシアが西欧の影響力が強まることに非常に神経質に抵抗してきたのは歴史的事実と言えるであろう。親ロシア系住民の福祉は、残念ながらこの比ではない
また、ロシアは一方で、西側と相互依存の関係にある。天然ガスの供給はその一例にすぎず、ロシアは技術面でも経済面でも冷戦時代とははるかに密接に西欧と関係を結んでおり、政治的、戦略的な考慮から、米欧と対決したくても一定の抑制が働くのではないか。米欧の制裁措置の実効性については議論があるが、双方で依存しあっていることは事実であり、少なくともその限りにおいてロシアはウクライナ問題についても西側と協力関係を維持する必要がある。
ウクライナの東部2州では、今は、急進的な若者を中心に過激な行動が渦巻いているが、これら2州のみならずウクライナ全体がロシアと米欧のはざまにあり、政治、軍事、経済のいずれの側面でも完全な自立、自給は困難である。中長期的には親ロシア系住民も冷静に考え、より合理的に対処せざるをえなくなるものと思われる。
ウクライナ東部での住民投票
ウクライナの情勢は混迷を深めている。同国東部のドネツク州とルガンスク州で政府施設を占拠している親ロシア派は、プーチン大統領が5月7日、延期を呼びかけたにもかかわらず11日、住民投票を強行した。その結果、9割に近い圧倒的多数が独立に賛成したと発表されたが、これほど問題や不正があった投票はめずらしいのではないか。そもそも、住民投票で問われたことは「独立に賛成するか」という問いに限定されていたのでなく、さらに広く自治の拡大を求めるとも読める内容であったらしい。そうであれば、投票で示された住民の意思は何なのか。これら2州では多数を占めているロシア系住民が自治の拡大を求めていることはすでに知られていることである。
この他にも問題は多々ある。過激な行動に走っている者のなかには外からはいりこんでいるものがいる。1人で複数回、あるいは複数の投票をする者もいた。票の管理はかなり杜撰で、投票が終わった後さらに票を加えることも可能であった。これら報道されていることがどこまで確認されているか、問題がないわけではないが、今回の投票がかなりひどい状況の中で行なわれたことはほぼ間違いないであろう。
過激な親ロシア派はクリミアの例に味をしめ、これら2州でも同じことを起こそうとしたのであろう。その背景には、ソ連邦の解体後状況がまだ落ち着いておらず、とくに経済はひどい状況にあり、住民が不満を募らせるのは無理もないが、クリミアとは違う側面がある。クリミアにはロシアにとって重要な地中海艦隊基地があるが、東部ウクライナにはそのようなところはない。また、プーチン大統領が住民投票を延期するよう呼びかけたことも大きい。東ウクライナはロシアにとって、ロシア系住民が多いということもさることながら、下手をすればいわゆる「お荷物」になるおそれもある。クリミアの住民はロシアに併合されれば、給与や年金などが倍くらいになると期待感を膨らませているようだが、ロシアは金のなる木でない。エネルギー収入に大きく頼る経済であり、底は深くない。
さらに問題なのは、ロシアがウクライナを緩衝国として必要としていることである。もし、民族問題がさらに激しくなってウクライナ全体に影響がおよんで不安定化し、その結果欧米側に行ってしまうと困るのはロシアである。ロシアが西欧の影響力が強まることに非常に神経質に抵抗してきたのは歴史的事実と言えるであろう。親ロシア系住民の福祉は、残念ながらこの比ではない
また、ロシアは一方で、西側と相互依存の関係にある。天然ガスの供給はその一例にすぎず、ロシアは技術面でも経済面でも冷戦時代とははるかに密接に西欧と関係を結んでおり、政治的、戦略的な考慮から、米欧と対決したくても一定の抑制が働くのではないか。米欧の制裁措置の実効性については議論があるが、双方で依存しあっていることは事実であり、少なくともその限りにおいてロシアはウクライナ問題についても西側と協力関係を維持する必要がある。
ウクライナの東部2州では、今は、急進的な若者を中心に過激な行動が渦巻いているが、これら2州のみならずウクライナ全体がロシアと米欧のはざまにあり、政治、軍事、経済のいずれの側面でも完全な自立、自給は困難である。中長期的には親ロシア系住民も冷静に考え、より合理的に対処せざるをえなくなるものと思われる。
2014.05.12
実は、これまでの再検討会議はほとんどすべてが似たり寄ったりであり、実質的な進展があったのはわずかに1995年と2000年の2回くらいに過ぎない。こう言うと、一生懸命核軍縮を進めようとしている人たちから異論が出るかもしれない。私自身も2005年の再検討会議で日本政府の代表の一人として努力したつもりであったが、気持ちの問題と客観的にどうなったかは区別しなければならない。その時も核軍縮は進まなかった。
またその翌年には北朝鮮が初めて核実験を行なった。NPTの主要な目的は核の拡散、つまり、非核兵器国が核兵器を取得したり、実験したりするのを防止することにあるのだが、北朝鮮はそれを無視し、核兵器を開発・実験したのである。
今回の準備委員会においてはウクライナ問題が注目を集めた。クリミアの独立をめぐって、ウクライナを支持する人のなかには、ソ連邦が解体した際、ウクライナが核を放棄したことは誤りであり、もし現在でも核兵器を保持していればロシアといえどもウクライナに兵力を送り込むことなどできなかったという意見があるが、このような意見にはあまり説得力はない。
問題はそれより、ウクライナが核を放棄し、NPTに加盟するに際して、ロシア、米および英の3ヵ国が、ウクライナの独立と主権を尊重し、ウクライナに対して武力の行使や脅威をしないことを合意していた(ブダペスト覚書)のにロシアが違反したことであった。もっともこれは米欧諸国が主張したことで、ロシアは反論していたが、客観的にはロシアに分はなかった。
今次準備委員会では、中央アジア非核兵器地帯条約に米ロ英仏中の核兵器国が署名したことが発表された。「非核兵器地帯」とは世界的な核廃絶が実現するまでの間、部分的に核兵器のない地域を増やしていこうとするもので、中央アジア非核兵器地帯条約によりカザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタンおよびウズベキスタンの6カ国から核をなくすことになる。これらの国に現在核兵器があるという意味でなく、将来も保有、取得、開発などをしないという約束をしたことに意義がある。中央アジア非核兵器地帯条約は長い経緯を経て作成され、今回核兵器国がそれを支持することになったのであり、非核兵器地帯条約には核兵器国の支持が必要であるが、実際には支持していない条約もある。
中央アジア非核兵器地帯条約にウクライナは含まれていないが、将来はウクライナの加盟問題が出てくるかもしれない。
今次委員会のもう一つの注目点は、米ロ英仏中の核兵器国が初めて核軍縮の報告書を発表したことであり、核兵器国は非核兵器国から核軍縮の取り組みが弱いと批判されがちなので、核兵器国として一方的に報告書を発表することで批判を和らげる意図があったのであろう。
米英仏はそれぞれの保有核弾頭数を発表したが、ロシアと中国は発表しなかった。とくに中国は、軍事力に対する透明性が低いことは以前から指摘されていたが、今回もそのような姿勢は改善されなかった。
米国が発表したのは2013年9月時点での4804発であったところ、NGOのなかには、米国の保有核弾頭数を4650発と推計していたものもあった。国務省は、冷戦下のピーク時の3万1,255発(1967年)から85%の削減になると発表しており、FAS(Federation of American Scientists)はこの85%削減という数字から4,650発という数字を推計していた。これを比較的正確と見るか、不正確と見るかは考え方次第であるが、核問題を専門にフォローしているNGOの推計はかなり正確である。
米国政府が前回発表した時(2010年)には、前年の9月で5113発だったので、これより309発削減していたわけである。
核不拡散条約の準備委員会
5年に1回のNPT(核不拡散条約)再検討会議は2015年に開かれる。このための準備委員会第3回会議がさる5月9日閉幕したが、来年の会議に向けての勧告は合意されなかった。再検討会議は議題が多く、約1か月も開催される大会議なので準備が必要であり、5年の間に3回も準備委員会が開かれるのだが、核兵器国と非核兵器国との隔たりが大きすぎるため大事な勧告であるが、合意できなかった。実は、これまでの再検討会議はほとんどすべてが似たり寄ったりであり、実質的な進展があったのはわずかに1995年と2000年の2回くらいに過ぎない。こう言うと、一生懸命核軍縮を進めようとしている人たちから異論が出るかもしれない。私自身も2005年の再検討会議で日本政府の代表の一人として努力したつもりであったが、気持ちの問題と客観的にどうなったかは区別しなければならない。その時も核軍縮は進まなかった。
またその翌年には北朝鮮が初めて核実験を行なった。NPTの主要な目的は核の拡散、つまり、非核兵器国が核兵器を取得したり、実験したりするのを防止することにあるのだが、北朝鮮はそれを無視し、核兵器を開発・実験したのである。
今回の準備委員会においてはウクライナ問題が注目を集めた。クリミアの独立をめぐって、ウクライナを支持する人のなかには、ソ連邦が解体した際、ウクライナが核を放棄したことは誤りであり、もし現在でも核兵器を保持していればロシアといえどもウクライナに兵力を送り込むことなどできなかったという意見があるが、このような意見にはあまり説得力はない。
問題はそれより、ウクライナが核を放棄し、NPTに加盟するに際して、ロシア、米および英の3ヵ国が、ウクライナの独立と主権を尊重し、ウクライナに対して武力の行使や脅威をしないことを合意していた(ブダペスト覚書)のにロシアが違反したことであった。もっともこれは米欧諸国が主張したことで、ロシアは反論していたが、客観的にはロシアに分はなかった。
今次準備委員会では、中央アジア非核兵器地帯条約に米ロ英仏中の核兵器国が署名したことが発表された。「非核兵器地帯」とは世界的な核廃絶が実現するまでの間、部分的に核兵器のない地域を増やしていこうとするもので、中央アジア非核兵器地帯条約によりカザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタンおよびウズベキスタンの6カ国から核をなくすことになる。これらの国に現在核兵器があるという意味でなく、将来も保有、取得、開発などをしないという約束をしたことに意義がある。中央アジア非核兵器地帯条約は長い経緯を経て作成され、今回核兵器国がそれを支持することになったのであり、非核兵器地帯条約には核兵器国の支持が必要であるが、実際には支持していない条約もある。
中央アジア非核兵器地帯条約にウクライナは含まれていないが、将来はウクライナの加盟問題が出てくるかもしれない。
今次委員会のもう一つの注目点は、米ロ英仏中の核兵器国が初めて核軍縮の報告書を発表したことであり、核兵器国は非核兵器国から核軍縮の取り組みが弱いと批判されがちなので、核兵器国として一方的に報告書を発表することで批判を和らげる意図があったのであろう。
米英仏はそれぞれの保有核弾頭数を発表したが、ロシアと中国は発表しなかった。とくに中国は、軍事力に対する透明性が低いことは以前から指摘されていたが、今回もそのような姿勢は改善されなかった。
米国が発表したのは2013年9月時点での4804発であったところ、NGOのなかには、米国の保有核弾頭数を4650発と推計していたものもあった。国務省は、冷戦下のピーク時の3万1,255発(1967年)から85%の削減になると発表しており、FAS(Federation of American Scientists)はこの85%削減という数字から4,650発という数字を推計していた。これを比較的正確と見るか、不正確と見るかは考え方次第であるが、核問題を専門にフォローしているNGOの推計はかなり正確である。
米国政府が前回発表した時(2010年)には、前年の9月で5113発だったので、これより309発削減していたわけである。
最近の投稿
アーカイブ
- 2024年10月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月