平和外交研究所

8月, 2013 - 平和外交研究所 - Page 2

2013.08.29

シリアでの化学兵器使用の問題点

シリアでの化学兵器使用問題に関し気になること
○化学兵器を使用したのはシリア政府軍か、反政府軍か。米国は通信の傍受からシリア政府軍であることが明らかになったと発表しており、これは証拠になりそうだ。もっとも、米国の情報収集力はきわめて高いが、歪曲されて伝えられることはないと考えるのはやはりナイーブであろう。
○疑問は多少あっても、シリア政府軍が使用した可能性は非常に大きいと思う。2012年7月23日、シリア政府のマクディシ報道官は、同国が化学兵器や細菌兵器を保有していると認め、「国外からの侵略がない限り、シリア情勢がどのような状態に陥ってもこれらの兵器が使用されることはない」と述べている。シリアは化学兵器禁止条約に署名していない(世界で北朝鮮など5ヵ国)。シリア政府には何らかの状況下で化学兵器を使用する可能性があることを自認しているのであり、反政府軍に外国勢力が混入している場合使用しても、シリア政府の方針に反することにはならないと思っているかもしれない。
○中国の報道には、「米国製の化学兵器が使用されている」など米国が関わっていることを印象付けようとしている節が窺われる。

2013.08.28

シリアでの化学兵器ー中国の見方

8月27日の「新華網」は、26日付の米誌フォーリン・ポリシーが、25年前のイラン・イラク戦争の際イラクがイランに対して化学兵器を使用するのを米国は止めなかったと論じていると報道した。
先日の解放軍報といい、中国は、米国も化学兵器の使用に責任があるという印象を植え付けようとしているが、このような姿勢はどこまで維持できるか。

2013.08.27

シリアの化学兵器ーケリー長官発言

シリアにおける化学兵器使用問題について、国連の調査団に関し伝えられていることと米国の発表にはかなりの距離がある。
国連の調査団がシリアに入って調査を開始したのは実情を調査するためであり、化学兵器を使ったのはシリア政府か、反体制側か、断定できないとの前提に立っている。
一方、米国のケリー国務長官は26日の会見で、シリア政府が化学兵器を使用したと明確に指摘し、強く非難している。事態はこの2週間でかなり激しく動いており、我々に情報が伝わってくるにはタイムラグがありうることには注意が必要であるが、米国の明確な態度は、これまでかなりの期間にわたって、もっとはっきりとした態度をとるべきだと批判されていただけに、注目されるし、また、一部の報道で伝えられているように米政府が軍事行動に踏み切るのであれば、支持したいが、イラクなどの場合を想起すると、もう少し慎重に見守るべきだという気持ちもある。 
国務省高官によると、米政府は化学兵器使用に関して収集した情報や証拠を独自に精査しており、今週か来週には最終結論を出す。大統領が最終的な決断を下すのは、その後になるそうであり、ケリー長官の発言は若干政治的であったとも思われる。

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