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2023.08.04

処理水の海洋放出と韓国・中国

 韓国政府は7月12日、日本における処理水の海洋放出に関する資料を作成し、公開した。8月3日、韓国国務調整室のパク・クヨン(朴購然)第1次長は会見で、韓国メディアからの質問に答え以下のように説明した。処理水の問題は非常に専門性が高く、わかりにくいので、さわりだけを記しておく。

 「全ての原発からトリチウムが発生する。トリチウムを希釈して海に放流するのは、国際的に使用されている一般的な処理方式だ」。

 「韓国の年間トリチウム排出量は214兆ベクレルで、日本の175兆ベクレルより多い」。

 「(日本と韓国の基準年がずれているのは)国別に最も新しい資料の中で信頼できる資料を国民に公開しただけであり、統計上の錯覚を与えようとしたり、操作を加えたりした事実は全くない。基準を2019年に合わせても韓国のトリチウム放出量は205兆ベクレルで、日本より多いという事実は変わらない」。

注1 トリチウムの除去は技術的に難しく、各国は基準値以下に薄めてから海洋や大気中に放出している。各国のトリチウム排出量については当研究所HP「放射性物質処理水の排出-日本と中国、韓国、台湾などとの比較(メモ)」を参照願いたい。

注2 処理水放出に関する韓国政府の姿勢は客観的であるといえる。尹錫悦大統領は7月末に釜山(プサン)の水産市場を訪れ科学的根拠のないデマを飛ばすべきでないと強調し、また、魚を食して水産物の安全性をアピールしたという。

注3 中国の原発から出るトリチウムの量は韓国より多いが、中国は依然として一方的に日本の処理水放出を批判しており、税関当局は7月上旬から、日本から輸入されるすべての水産物を対象に、事実上の輸入制限措置に近い放射性物質検査を始めた。

注4 おりしも7月13日、欧州連合(EU)は日本産食品輸入に対する規制撤廃を発表した。この規制は2011年の福島原発事故後に導入されたもので、今回のEUの決定により欧米の対日水産物輸入制限はすべて撤廃されることとなった。

注5 中韓両国は2011年以来の輸入制限は現在も維持している。今回の処理水放出に関し、中国はさらに事実上の規制措置を加えたが、韓国はそれはしていないのである。

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