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2021.07.07

中仏独首脳会談

 中国の習近平国家主席、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相が5日、オンラインで会談した。

 習主席は、「世界には国連を中核とする国際体系しかなく、国連憲章が唯一のルールだ」と米国を意識した発言を行いつつ、「中国が望むのは自らの発展であり、他人に取って代わることではない。『一帯一路』を唱える目的は共同発展のチャンスを作り出すことであり、欧州が平和と安定、発展と繁栄をともに守ることを希望する」などと訴えたという。ただし、これは中国国営中央テレビ(CCTV)のウェブサイトの報道であった。

 中仏独の首脳会談が行われた背景には、中国に対し米国が欧州諸国と連携して厳しい態度で臨んでいることがある。欧州諸国は、基本的には米国と同様、香港や新疆における人権問題、南シナ海での国際ルールを無視した中国の行動に批判的であるが、米国と欧州が完全に一致しているわけではない。中国としては仏独両国が今まで以上に米国との足並みをそろえることを牽制し、また中国に対する各国の厳しい見方を緩和しようとしたのであろう。

 欧州のビジネス界は中国の国家資本主義的行動に批判的でありながら、一方では中国企業との関係になお期待を抱いている。欧州の有力なビジネスロビー団体「欧州産業ラウンドテーブル(ERT)」が6月5日、EUの首脳に対し行った要請にも中国に対する硬軟両様の考えが表れていた。
 
 中国ではこのような動きを注視し、ビジネス界にも働きかけている。習主席はマクロン仏大統領やメルケル独首相との会談で、中国としてはビジネス関係者などの往来を容易にする「ファストトラック」について制度を整える意向も示したという。
 
 しかし、中国による仏独への働きかけが奏功するか、全般的な状況は不透明である。最大の懸案となっている中欧投資協定も成立の見込みは立っていない。

 中仏独は3か月以内に第2回会談を行うこととしたというが、そこにも状況の不透明さが表われている。

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