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2015.07.17

(短評)イランの核協議で合意成立

 ウィーンで行われていたイランとp5+1(米英仏露中独)の核協議が、数回にわたる延長の末7月14日、最終合意に達し、イランは今後15年間高濃縮ウランを製造しない、現在保有している低濃縮ウランは大幅に減少する、IAEA(国際原子力機関)の査察は軍事施設に対しても行なう、イランに対する各国の制裁は一部を除き解除する、こととなった。
 日本にとってもこの合意は大きな意味がある。核不拡散の観点もさることながら、イラン原油の輸入を再開できるからである。
 オバマ大統領は就任以来イランとの対話を重視してきたが、その後の進展は芳しくなく、共和党の保守勢力からは、シリアとの関係、医療改革などとともに批判されがちであった。同大統領の残りの任期が短くなってきている中で、議会との関係では今後も困難な局面が出てくるであろうが、今回の協議成功がオバマ大統領の得点となることは間違いない。
 イスラエルとの関係では、ネタニヤフ首相が、四の五の言うイランに対して核協議の成立を待たず直ちに攻撃すべきであるという極論を唱え、また、米議会、とくに共和党との関係を重視し、オバマ政権は相手にしないと言わんばかりの姿勢を取るなどしたため米イスラエル関係は悪化していた。ネタニヤフ首相は今回の合意後も、「歴史的誤りだ」と評するなど相変わらずの姿勢であるが、各国としてはあまりにかたくななイスラエルを支持するのは困難になるはずである。
 最近、イスラエルとの関係強化に関心を見せている中国は、今回の協議で建設的な役割を果たしたと言っている(王毅外相)。当然中国としても今次合意を積極的に評価しているのでネタニヤフ首相との付き合いは簡単でないだろう。
 今回の協議は2002年の問題発生から数えると13年間かかった。その間のイランの対応を見ると、イランが国際協調的になったと判断するのは早すぎる。今回の交渉の最終段階でも歴史的、政治的な事情に起因する米国への警戒心が表れ、合意達成にブレーキとなっていた。
 ロハニ大統領が就任した2年前から本件協議が前進し始めた。協議の最終段階でも同大統領は国内の保守勢力を抑えつつ、対外的に協調的な姿勢を貫くことができた。複雑な状況にある中東で、今後、イランが積極的な役割を果たすことが期待される。

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